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第34話 魔剣についてとベルベルさんです #2
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普段は必ず何人かいる訓練室だけど、着いた時にはもう誰もいなかった。人払い早っ。
その訓練室の壁際には剣とかの訓練用に鎧を着た案山子が並んでいて、先導するギルマスはそこに向かってるみたいだ。多分そうだろうなとは思ってたけど。
だって剣の試し斬りに来たんだしね。
「的はこれでいいだろう。じゃあ早速やってみてくれ」
少し離れた場所で立ち止まったギルマスから数歩進み、案山子の前に立って剣を構える。相手が人型だから、右上から袈裟斬りにするのがいいかな。
――そして。
昨日の薪と同様に、剣は案山子に当たってそのまま何の抵抗感もなく振り抜けた。
斜めに切断された鎧は少しだけそのままの形を保っていたけど、やがて上半分が滑るように動き出し、そのまま地面に落下した。うん、カッコイイ。
「どうです? 結構切れ味いいと思いませんか? これだったら魔剣ですって言ってもギリギリ笑われたりしないかなあって思ってるんですけど、ギルマスはどう思います? もしそうだったら嬉しいなあ」
――あれ、返事がない?
やっぱり魔剣って言うにはちょっと物足りなかったのかな。
残念だけど、まあ初めて作ったんだし仕方ないかぁ。これはきっと今よりもっと魔剣らしい工夫が必要って事か。でも魔剣らしさかぁ、うーん……
魔剣って言ったら、やっぱり魔法を飛ばしたりとかなんだろうけど、僕の使える魔法でやるとなるとどうすれば……?
そんな事を考えてると、ようやくギルマスが動き出した。
「ピノ君、モリス氏を呼んでくれ、大至急訓練室に来て欲しいと。――全くあの人は……これを私一人に押し付けるとか有り得んだろう! カルア君、すまんがモリス氏が来るまで少し待っていてくれ。何かがあったという事はモリス氏は既に把握しているから、呼べばすぐに来るはずだ」
パタパタと掛けて行くピノさんの後ろ姿を見送り、モリスさんが来るまで暫く待つ事になった。でも……
モリスさんを呼ぶのは別にいいんだけど、その剣って物語に出てくる魔剣みたいに炎とか雷とかが出る訳でもない、ちょっと切れ味がいいだけの地味な剣だよ?
一応付与とかしたから魔剣って呼んでもいいかなあ――くらいの剣だから、見たらちょっとガッカリされちゃうと思うんだ。
「やあ、多分呼ばれるだろうとは思ってたよ。さてカルア君、想定外センサーがあれだけ激しく反応したんだ。見たくないような見たくないような――実に怖いねえ。さて僕を呼んだのはブラック君なんだから、何があったのかはブラック君から聞くべきかな。ではさっそく僕に教えてくれるかい?」
「魔剣、だ」
「魔――――え?」
「昨夜カルア君が魔剣を作った。そして今日それを持って来た」
「――――魔剣って……ちょっと想定外過ぎやしないかい?」
モリスさんはゆっくりと首を動かした。……僕の方へ。
「ええっとカルア君? 君はまたどうして突然剣を作ろうなんて思ったんだい?」
理由? それは――
「昨日王都で武器工房のマイケルさんに会ったんです。そこでミッチェルさん――あ、マイケルさんとミッチェルさんが兄弟って話になって、ミッチェルさんに錬成を習ったって話をしたら、マイケルさんがインゴッドをくれて、自分で剣を作ってみたらどうだって話になったんです」
「ふーん、なるほど。それで家に帰った君はそのインゴッドから剣を作ってみたと。でもそれは剣を作った理由で魔剣を作った理由じゃないよね? その辺りは?」
「えっと……最初にこの前折れた剣の修復をやったんですけど、普通に【融解】して【凝固】するだけの手順だったから、折角新しく作るなら何か違う工夫が出来ないかなあって。それで『じゃあ付与かな』って思ったんです」
「うんうん、それは技術者としては非常に素晴らしい思考だね。カルア君、前から思ってたけど、君って技術者に向いてると思うよ。冒険者とも両立だって出来るから、ちょっと真剣に考えてみてよ。……とまあそれはそれとしてだ、普通にやったら剣に付与なんて出来ないと思うんだけど、どうやったのか教えてくれるかい?」
「はい、魔石を【混合】したんです。最初は魔石だけで作る事も考えたんですけど、強度とか分からなかったから金属に混ぜる方がいいかなって。それで少しずつ魔石の量を増やしていったんですけど、きちんと混合できる魔石の量が金属の2割くらいまでだったので、その分量にしました。それで付与ですけど――刃先は【空間ずらし】で切れ味を上げて、ブレードの腹にはその断面を付けて強度を上げました。後は僕の魔力以外は受け付けないようにしたんです。『人を選ぶ』とか魔剣っぽいかなって思って」
「成程、動機と実行内容についてはよく分かったよ。――それで被害者の方が『そちら』なのかな……?」
そう言ってモリスさんが視線を投げた先にはさっきの案山子が。
ていうか『被害者』って……
「あーブラック君、僕も試し斬りを見てみたいんだけど、いいかい?」
「ああ、もちろん。この恐ろしさは見てもらった方が伝わりやすいだろうからな」
そしてもう一つ案山子が用意され、僕がそれを袈裟斬りに。
さっきと同じように案山子はスパって斬れて――モリスさんとブラックさんの顔はスンってなった。
…………あれ?
その訓練室の壁際には剣とかの訓練用に鎧を着た案山子が並んでいて、先導するギルマスはそこに向かってるみたいだ。多分そうだろうなとは思ってたけど。
だって剣の試し斬りに来たんだしね。
「的はこれでいいだろう。じゃあ早速やってみてくれ」
少し離れた場所で立ち止まったギルマスから数歩進み、案山子の前に立って剣を構える。相手が人型だから、右上から袈裟斬りにするのがいいかな。
――そして。
昨日の薪と同様に、剣は案山子に当たってそのまま何の抵抗感もなく振り抜けた。
斜めに切断された鎧は少しだけそのままの形を保っていたけど、やがて上半分が滑るように動き出し、そのまま地面に落下した。うん、カッコイイ。
「どうです? 結構切れ味いいと思いませんか? これだったら魔剣ですって言ってもギリギリ笑われたりしないかなあって思ってるんですけど、ギルマスはどう思います? もしそうだったら嬉しいなあ」
――あれ、返事がない?
やっぱり魔剣って言うにはちょっと物足りなかったのかな。
残念だけど、まあ初めて作ったんだし仕方ないかぁ。これはきっと今よりもっと魔剣らしい工夫が必要って事か。でも魔剣らしさかぁ、うーん……
魔剣って言ったら、やっぱり魔法を飛ばしたりとかなんだろうけど、僕の使える魔法でやるとなるとどうすれば……?
そんな事を考えてると、ようやくギルマスが動き出した。
「ピノ君、モリス氏を呼んでくれ、大至急訓練室に来て欲しいと。――全くあの人は……これを私一人に押し付けるとか有り得んだろう! カルア君、すまんがモリス氏が来るまで少し待っていてくれ。何かがあったという事はモリス氏は既に把握しているから、呼べばすぐに来るはずだ」
パタパタと掛けて行くピノさんの後ろ姿を見送り、モリスさんが来るまで暫く待つ事になった。でも……
モリスさんを呼ぶのは別にいいんだけど、その剣って物語に出てくる魔剣みたいに炎とか雷とかが出る訳でもない、ちょっと切れ味がいいだけの地味な剣だよ?
一応付与とかしたから魔剣って呼んでもいいかなあ――くらいの剣だから、見たらちょっとガッカリされちゃうと思うんだ。
「やあ、多分呼ばれるだろうとは思ってたよ。さてカルア君、想定外センサーがあれだけ激しく反応したんだ。見たくないような見たくないような――実に怖いねえ。さて僕を呼んだのはブラック君なんだから、何があったのかはブラック君から聞くべきかな。ではさっそく僕に教えてくれるかい?」
「魔剣、だ」
「魔――――え?」
「昨夜カルア君が魔剣を作った。そして今日それを持って来た」
「――――魔剣って……ちょっと想定外過ぎやしないかい?」
モリスさんはゆっくりと首を動かした。……僕の方へ。
「ええっとカルア君? 君はまたどうして突然剣を作ろうなんて思ったんだい?」
理由? それは――
「昨日王都で武器工房のマイケルさんに会ったんです。そこでミッチェルさん――あ、マイケルさんとミッチェルさんが兄弟って話になって、ミッチェルさんに錬成を習ったって話をしたら、マイケルさんがインゴッドをくれて、自分で剣を作ってみたらどうだって話になったんです」
「ふーん、なるほど。それで家に帰った君はそのインゴッドから剣を作ってみたと。でもそれは剣を作った理由で魔剣を作った理由じゃないよね? その辺りは?」
「えっと……最初にこの前折れた剣の修復をやったんですけど、普通に【融解】して【凝固】するだけの手順だったから、折角新しく作るなら何か違う工夫が出来ないかなあって。それで『じゃあ付与かな』って思ったんです」
「うんうん、それは技術者としては非常に素晴らしい思考だね。カルア君、前から思ってたけど、君って技術者に向いてると思うよ。冒険者とも両立だって出来るから、ちょっと真剣に考えてみてよ。……とまあそれはそれとしてだ、普通にやったら剣に付与なんて出来ないと思うんだけど、どうやったのか教えてくれるかい?」
「はい、魔石を【混合】したんです。最初は魔石だけで作る事も考えたんですけど、強度とか分からなかったから金属に混ぜる方がいいかなって。それで少しずつ魔石の量を増やしていったんですけど、きちんと混合できる魔石の量が金属の2割くらいまでだったので、その分量にしました。それで付与ですけど――刃先は【空間ずらし】で切れ味を上げて、ブレードの腹にはその断面を付けて強度を上げました。後は僕の魔力以外は受け付けないようにしたんです。『人を選ぶ』とか魔剣っぽいかなって思って」
「成程、動機と実行内容についてはよく分かったよ。――それで被害者の方が『そちら』なのかな……?」
そう言ってモリスさんが視線を投げた先にはさっきの案山子が。
ていうか『被害者』って……
「あーブラック君、僕も試し斬りを見てみたいんだけど、いいかい?」
「ああ、もちろん。この恐ろしさは見てもらった方が伝わりやすいだろうからな」
そしてもう一つ案山子が用意され、僕がそれを袈裟斬りに。
さっきと同じように案山子はスパって斬れて――モリスさんとブラックさんの顔はスンってなった。
…………あれ?
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