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第92話 久しぶりの教室に超緊張してます #3
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僕のは何だろう? 新しい魔法を教えてくれるのかな。
「君はセカンケイブダンジョンで時空間魔法を封じられたそうですね」
「そうなんです、『空間魔法禁止フィールド』とかっていうので」
「カルア君はそのフィールド、どういう仕組みだと思いました? 一体どうやって時空間魔法だけを発現出来なくしたのでしょう?」
「え? どう……やって?」
……そんな事全然考えなかったよ。
「うーーん、どうやって……って」
時空間魔法と他の魔法は何かが違う、って事……?
「時空間魔法と他の魔法との違い……」
何が違うんだろう……便利さとか?
「おっと、どうやら私の質問をちょっと違う方向に捉えちゃったみたいですね。時空間魔法が特別という意味ではなく、それぞれの魔法にそれぞれ差がある、という意味ですよ」
……それぞれの魔法にそれぞれの差?
「……ってあれ? これもうほとんど答え言っちゃってるじゃないか。まったく、私も教育者としてはまだまだですね、はぁ」
軽く落ち込んでる校長先生。でも何となく言いたい事が見えてきたような……
「それって、それぞれ魔法ごとに何か違いがある――って事ですか」
「ええ、その通りです。ここまで言ってしまったのでもう答えも言っちゃいますが、その違いと言うのは放出される魔力のパターン、いわゆる魔力波形なのです。この言葉、聞いたことはありますか?」
魔力波形……?
何だか聞いた事があるような無いような……
「この辺りはオートカさんの専門分野ですので、彼の調査に同行した際、彼の話に出てきたかと思っていたのですが」
オートカさんの調査……?
あ、そう言えば最初のフィラストダンジョンの調査の時に……
「言ってた気がします! 確か計測器を見ながら僕のスティールの波形がって……」
「ああやはり。そうです、恐らくその波形からスティールスキルが時空間属性だと判明したのでしょう?」
「はい! 確かそうだったと思います」
凄い! まるでその時の事を見てたみたいだ。
そんな校長先生はここでニッコリ笑って、ピンと人差し指を立てた。
「さて、ここまでの話で最初の質問の答えは分かりましたか?」
最初の質問、つまり――
「『時空間魔法禁止フィールド』では、時空間魔法の波形と同じ魔力だけが妨害されていた――って事ですか?」
よかった、正解だったみたい。校長先生は大きく頷いた。
「その通りです。そしてモリスさんがやろうとしているダンジョンコアの結界の改良、それもまた同じ原理を利用した物になるのでしょうね」
おお、なるほど! あれっ、でも――
「それだと属性しか判断出来ないんじゃ?」
「良い所に気付きましたね。ですので更に詳細に魔力波形を調査して、ダンジョンの精霊が使う通信の波形を抽出するつもりではないでしょうか。ただ実はそれ以外に、もう一つ別のやり方もあったりしますけど」
もう一つのやり方……?
「実は魔力の波形と言うのは、属性による違いだけではなく、使う人によっても少しずつ差があるのです。まるでその人の姿形のようにね」
同じ魔法を使っても、人によって波形が少しずつ違う?
「そしてその特性を利用する事で、魔道具に魔力の持ち主を特定する機能を持たせる事が出来るのですよ」
そうか、それを利用すれば……
「ダンジョンコアの結界に特定の人の魔力だけを通すように出来る……?」
「ふふふ、正解です。この仕組みの事をホワイトリストと言います。リストに登録された魔力波形だけに対して動作を許可する、そんな仕組みですね」
まだまだ僕の知らない事って沢山あるんだ。凄いや……
「さて、理屈が分かったところでここからが実技の訓練です。その内容は、魔道具などを使わずに自分の力だけで魔力の違いを感じ取る事。カルア君自身の魔力、そしてこの私の魔力、それから隣にいるアーシュさんの魔力、それぞれの魔力を感じ取ってその違いを探して下さい。これは魔力操作にも通じる技術で、会得すればこれからのカルア君の成長の糧となるでしょう」
こうして僕の実技授業が開始されたんだけど……これすっごく難しいよ!
魔力そのものを感じ取る事は出来るけど、それぞれの違いとかになると、もうさっぱり分からない。
何て言うか前やったギルマスの気配察知の訓練、あれがもっとずっと難しくなった感じ……?
「ふむ、苦労してるようですね。それでは、今日から日常生活においても色々な魔力を感じ取る事を習慣づけるようにしてみましょう。何度もやっているうちに段々違いが見えてくるようになると思いますよ」
何だかモリスさんと『収納』の訓練をした時の事を思い出すよ。
あれもこんなふうに苦労したから……
そうそう、あの時は確か、モリスさんの空間ずらしが切っ掛けになって理解できるようになったんだっけ。
今回も何かいい切っ掛けに出会えたらいいなあ……
「ああ、属性魔法の波形の違いを感じ取るのもいい訓練になりますよ? 折角だから、他の属性の指導を見て回ったらどうですか?」
これってもしかして切っ掛け? いきなり出会っちゃった!?
……と思ったけど、そう簡単じゃなかったみたい。
「二人とも中々苦戦しているようですね。時間ですので今日はここまでにしましょう。あなた達二人は明日も私が担当します。いいですね?」
「「はい、お願いします」」
アーシュと二人揃って校長先生に返事をして、今日の授業は全部終了。
久し振りで最初はちょっとドキドキしたけど、やっぱり学校は楽しいや。
うん、また明日も頑張ろー!
ヒトツメギルド、ギルドマスター執務室――
冒険者クラスに所属するアイ、ルビー、バックの3人は、今日から特別授業としてここヒトツメギルドに訪れていた。
「さて、今日から君達は私達二人が預かる事になった。これから2週間、ここで私の【気配察知】とピノ君の【身体強化】を学んでもらう。短期間で集中的に指導を受ける事になるが、頑張ってくれたまえ」
「「「よろしくお願いします!」」」
3人の元気のいい返事にブラックは軽く頷き、すぐ横のピノに視線を移した。
「ピノ君からは何かあるかね?」
その視線を受けたピノはブラックから発言を引き継ぎ、3名に話し掛ける。
「そうですね、まずアイさんとバック君、身体強化タイプのあなた達二人には『普通の中の最強』を目指してもらいます」
「普通の中の――」
「「最強!?」」
最強というパワーワードにテンションを上げる二人をピノは満足げに眺め、そしてもう一人の生徒に視線を移す。
「そしてルビーさん……あなたには【魔力譲渡】を会得してもらいます。この支援は【身体強化】する二人の要となるはずです。会得は難しいと思うけど、3人とも頑張って下さい」
そう微笑むピノにアイ達は一瞬見惚れ、そして――
「「「はいっ!」」」
やる気に満ち溢れた返事を返した。
これからの2週間で自らの殻を破る――それを『目標』ではなく『目的』としてこの場に来たのだ。当然3人とも意識は高い。
「ではギルマス、まずはギルマスの指導からと言う事でよろしいですか?」
「うむ。今日はもう午後だから【気配察知】のさわりまでとしよう。明日からが本格的な指導となるが、期間内にどこまで行けるかは君達の習得する早さ次第となる」
3人の期待に満ちた視線を受けたブラックは、ふと視線を落としポツリと――
「しかし今回、魔物部屋が使えないのがな……。周りを完全に魔物に埋め尽くされたあの空間は訓練には最適なのだが、実に残念だ」
……聞こえてしまった。
その呟きに、さーっと顔色を無くすアイ達。
この訓練、魔物部屋に放り込まれる可能性があった、だと!?
いくら意識が高くても限度というものがあるっ!
……とはいえ、どうやら魔物部屋行きは回避されたようで一安心だ。
そんな生徒達の様子に微笑まし気なピノ。
ふふっと笑みをこぼし、そして――
「でしたら優秀なギリーを呼びましょうか?」
余計な一言を。
「だが学校が……いや、週末であれば可能かもしれんな。よし、では魔物部屋をプランに組み込んで……うむ、実に効率的だ」
残念ながら、その未来は不可避であったようだ。
「そういう事で3人とも頑張って週末までに生存率を上げておいて下さいねっ」
そんな楽し気なブラックとピノとは正反対に、表情に絶望の色を浮かべるアイ達。
意識は……きっとまだ高いはずだ。はずだが……
この日訓練を終えた3人は、とある知り合いの少年への恨み言で大いに盛り上がったらしい。
「っくしゅん!」
「ふふっ」
▽▽▽▽▽▽
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「君はセカンケイブダンジョンで時空間魔法を封じられたそうですね」
「そうなんです、『空間魔法禁止フィールド』とかっていうので」
「カルア君はそのフィールド、どういう仕組みだと思いました? 一体どうやって時空間魔法だけを発現出来なくしたのでしょう?」
「え? どう……やって?」
……そんな事全然考えなかったよ。
「うーーん、どうやって……って」
時空間魔法と他の魔法は何かが違う、って事……?
「時空間魔法と他の魔法との違い……」
何が違うんだろう……便利さとか?
「おっと、どうやら私の質問をちょっと違う方向に捉えちゃったみたいですね。時空間魔法が特別という意味ではなく、それぞれの魔法にそれぞれ差がある、という意味ですよ」
……それぞれの魔法にそれぞれの差?
「……ってあれ? これもうほとんど答え言っちゃってるじゃないか。まったく、私も教育者としてはまだまだですね、はぁ」
軽く落ち込んでる校長先生。でも何となく言いたい事が見えてきたような……
「それって、それぞれ魔法ごとに何か違いがある――って事ですか」
「ええ、その通りです。ここまで言ってしまったのでもう答えも言っちゃいますが、その違いと言うのは放出される魔力のパターン、いわゆる魔力波形なのです。この言葉、聞いたことはありますか?」
魔力波形……?
何だか聞いた事があるような無いような……
「この辺りはオートカさんの専門分野ですので、彼の調査に同行した際、彼の話に出てきたかと思っていたのですが」
オートカさんの調査……?
あ、そう言えば最初のフィラストダンジョンの調査の時に……
「言ってた気がします! 確か計測器を見ながら僕のスティールの波形がって……」
「ああやはり。そうです、恐らくその波形からスティールスキルが時空間属性だと判明したのでしょう?」
「はい! 確かそうだったと思います」
凄い! まるでその時の事を見てたみたいだ。
そんな校長先生はここでニッコリ笑って、ピンと人差し指を立てた。
「さて、ここまでの話で最初の質問の答えは分かりましたか?」
最初の質問、つまり――
「『時空間魔法禁止フィールド』では、時空間魔法の波形と同じ魔力だけが妨害されていた――って事ですか?」
よかった、正解だったみたい。校長先生は大きく頷いた。
「その通りです。そしてモリスさんがやろうとしているダンジョンコアの結界の改良、それもまた同じ原理を利用した物になるのでしょうね」
おお、なるほど! あれっ、でも――
「それだと属性しか判断出来ないんじゃ?」
「良い所に気付きましたね。ですので更に詳細に魔力波形を調査して、ダンジョンの精霊が使う通信の波形を抽出するつもりではないでしょうか。ただ実はそれ以外に、もう一つ別のやり方もあったりしますけど」
もう一つのやり方……?
「実は魔力の波形と言うのは、属性による違いだけではなく、使う人によっても少しずつ差があるのです。まるでその人の姿形のようにね」
同じ魔法を使っても、人によって波形が少しずつ違う?
「そしてその特性を利用する事で、魔道具に魔力の持ち主を特定する機能を持たせる事が出来るのですよ」
そうか、それを利用すれば……
「ダンジョンコアの結界に特定の人の魔力だけを通すように出来る……?」
「ふふふ、正解です。この仕組みの事をホワイトリストと言います。リストに登録された魔力波形だけに対して動作を許可する、そんな仕組みですね」
まだまだ僕の知らない事って沢山あるんだ。凄いや……
「さて、理屈が分かったところでここからが実技の訓練です。その内容は、魔道具などを使わずに自分の力だけで魔力の違いを感じ取る事。カルア君自身の魔力、そしてこの私の魔力、それから隣にいるアーシュさんの魔力、それぞれの魔力を感じ取ってその違いを探して下さい。これは魔力操作にも通じる技術で、会得すればこれからのカルア君の成長の糧となるでしょう」
こうして僕の実技授業が開始されたんだけど……これすっごく難しいよ!
魔力そのものを感じ取る事は出来るけど、それぞれの違いとかになると、もうさっぱり分からない。
何て言うか前やったギルマスの気配察知の訓練、あれがもっとずっと難しくなった感じ……?
「ふむ、苦労してるようですね。それでは、今日から日常生活においても色々な魔力を感じ取る事を習慣づけるようにしてみましょう。何度もやっているうちに段々違いが見えてくるようになると思いますよ」
何だかモリスさんと『収納』の訓練をした時の事を思い出すよ。
あれもこんなふうに苦労したから……
そうそう、あの時は確か、モリスさんの空間ずらしが切っ掛けになって理解できるようになったんだっけ。
今回も何かいい切っ掛けに出会えたらいいなあ……
「ああ、属性魔法の波形の違いを感じ取るのもいい訓練になりますよ? 折角だから、他の属性の指導を見て回ったらどうですか?」
これってもしかして切っ掛け? いきなり出会っちゃった!?
……と思ったけど、そう簡単じゃなかったみたい。
「二人とも中々苦戦しているようですね。時間ですので今日はここまでにしましょう。あなた達二人は明日も私が担当します。いいですね?」
「「はい、お願いします」」
アーシュと二人揃って校長先生に返事をして、今日の授業は全部終了。
久し振りで最初はちょっとドキドキしたけど、やっぱり学校は楽しいや。
うん、また明日も頑張ろー!
ヒトツメギルド、ギルドマスター執務室――
冒険者クラスに所属するアイ、ルビー、バックの3人は、今日から特別授業としてここヒトツメギルドに訪れていた。
「さて、今日から君達は私達二人が預かる事になった。これから2週間、ここで私の【気配察知】とピノ君の【身体強化】を学んでもらう。短期間で集中的に指導を受ける事になるが、頑張ってくれたまえ」
「「「よろしくお願いします!」」」
3人の元気のいい返事にブラックは軽く頷き、すぐ横のピノに視線を移した。
「ピノ君からは何かあるかね?」
その視線を受けたピノはブラックから発言を引き継ぎ、3名に話し掛ける。
「そうですね、まずアイさんとバック君、身体強化タイプのあなた達二人には『普通の中の最強』を目指してもらいます」
「普通の中の――」
「「最強!?」」
最強というパワーワードにテンションを上げる二人をピノは満足げに眺め、そしてもう一人の生徒に視線を移す。
「そしてルビーさん……あなたには【魔力譲渡】を会得してもらいます。この支援は【身体強化】する二人の要となるはずです。会得は難しいと思うけど、3人とも頑張って下さい」
そう微笑むピノにアイ達は一瞬見惚れ、そして――
「「「はいっ!」」」
やる気に満ち溢れた返事を返した。
これからの2週間で自らの殻を破る――それを『目標』ではなく『目的』としてこの場に来たのだ。当然3人とも意識は高い。
「ではギルマス、まずはギルマスの指導からと言う事でよろしいですか?」
「うむ。今日はもう午後だから【気配察知】のさわりまでとしよう。明日からが本格的な指導となるが、期間内にどこまで行けるかは君達の習得する早さ次第となる」
3人の期待に満ちた視線を受けたブラックは、ふと視線を落としポツリと――
「しかし今回、魔物部屋が使えないのがな……。周りを完全に魔物に埋め尽くされたあの空間は訓練には最適なのだが、実に残念だ」
……聞こえてしまった。
その呟きに、さーっと顔色を無くすアイ達。
この訓練、魔物部屋に放り込まれる可能性があった、だと!?
いくら意識が高くても限度というものがあるっ!
……とはいえ、どうやら魔物部屋行きは回避されたようで一安心だ。
そんな生徒達の様子に微笑まし気なピノ。
ふふっと笑みをこぼし、そして――
「でしたら優秀なギリーを呼びましょうか?」
余計な一言を。
「だが学校が……いや、週末であれば可能かもしれんな。よし、では魔物部屋をプランに組み込んで……うむ、実に効率的だ」
残念ながら、その未来は不可避であったようだ。
「そういう事で3人とも頑張って週末までに生存率を上げておいて下さいねっ」
そんな楽し気なブラックとピノとは正反対に、表情に絶望の色を浮かべるアイ達。
意識は……きっとまだ高いはずだ。はずだが……
この日訓練を終えた3人は、とある知り合いの少年への恨み言で大いに盛り上がったらしい。
「っくしゅん!」
「ふふっ」
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