『さよなら、彼に依存していた私―30日間の失恋回復ストーリー』

月下花音

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Day 8:さよなら、「毎朝泣いていた」私

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 目覚めた。

 朝の光が、カーテンの隙間から差し込んでいる。柔らかく、穏やかな光。

 いつもと同じ朝。でも、何かが違う。

 ◇

 顔を洗い、コーヒーを淹れ、窓を開ける。

 いつものルーティン。

 でも、今日は気づいた。

 涙が、出ていない。

 朝起きてから、一度も泣いていない。

 昨日までは、顔を洗う時も、コーヒーを淹れる時も、何かのきっかけで涙が溢れていたのに。

 今日は、違った。

 ◇

 午前中が過ぎた。

 まだ、涙は出ない。

 昼食を食べた。一人。

 でも、泣かなかった。

 午後、本を読んだ。優也との思い出が蘇る場面があった。

 胸は痛んだ。でも、涙は出なかった。

 夕方になった。

 一日中、涙が出なかった。

 その事実が、これまでにない達成感をくれた。

 ◇

 カレンダーを見る。

 別れてから、8日目。

 8日間、毎日泣いていた。

 でも、今日は違う。

 小さなペンで、カレンダーに「○」を書いた。

 泣かなかった日の印。

 たったそれだけのことなのに、なぜかすごく誇らしい気持ちになった。

 まるで、マラソンの最初の1キロを走り切ったような。

 小さな、でも確実な一歩。

 最初の1キロを走り切ったような、達成感。

 ◇

 夜、ベッドに横になる。

 今日一日を振り返る。

 泣かなかった。

 それは、悲しみが消えたわけじゃない。

 優也のことを忘れたわけでもない。

 ただ、涙を流さずに一日を過ごせた。

 それだけ。

 でも、それが大きな意味を持つ気がした。

 明日も、この印をつけられるだろうか。

 わからない。

 でも、試してみる価値はある。

 窓の外を見ると、星が瞬いていた。

 久しぶりに見た気がする。ずっと、涙で視界が滲んでいたから。

 深呼吸をする。

「明日も、頑張ってみよう」

 小さく呟いた。

 その言葉が、嘘には聞こえなかった。
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