生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう

文字の大きさ
64 / 86

閑話 夢の中の思い出①

しおりを挟む
 浮かんだのは、懐かしい景色。
 僕の目を通して、その景色は体現されていた。

 それは、僕が師匠たちと別れ、初めて町に来た時のこと。
 僕が初めて冒険者ギルドにやって来た日のこと。

「ここが冒険者ギルド?」

 僕が冒険者ギルドにやって来た日、その日はあまり冒険者がいなかった。
 時刻はちょうど十時頃。
 空模様は、澄み渡る青空。綺麗な空だ。

「よしっ!」

 僕は冒険者ギルドの中に入った。
 それからおどおどしていると、その様子を見ていた一人の女の人が声をかけてくれた。

「どうしたのかな?」
「えっ!?」

 冒険者ギルドの職員さんだ。
 制服を着ている。しかも、受付の女の人たちが全員同じ形の制服を着ていたから、多分受付嬢ってやつだ。

「あ、あの冒険者になりたくて」
「冒険者に? うーん、冒険者に憧れるのは、わかるけど、君幾つかな?」
「はい?」

 あれ、なんだろこれ。
 完全に僕のこと、子供だと思ってるのかな?

 確かに身長は百五十センチ台。
 だけどそんな風に見られるなんて、本当に子供扱いされてるのかな? 不安だ。

「あ、あの、冒険者になりたくて……」
「うんうん、憧れるのはわかるよ。でもね、冒険者ってかなり大変なお仕事で、ちょーっと考え直した方がいいと思うなー、お姉さんは」
「お、お姉さん?」
「そう、お姉さん! だからね、お姉さんからの忠告。考え直した方がいいと思うよ? 君、可愛いから」
「か、可愛い?」

 ヤバい。僕のこと、女のことだと思ってるのかな?
 確かに僕は童顔で、よく女の子に間違われて、師匠たちから着せ替え人形にされたこともあったけど、僕はちゃんと男だ。恋愛観はないし、筋トレと詰め込み勉強で、性欲とかないけどさ。

「あ、あの。僕、本気で冒険者になりたいんです! だから!」
「うわぁ、その目本気だね。うーん、十二歳は超えてる?」
「はい!」

 僕の威圧的な態度を感じてか、それとも僕の目を見てけ、女の人は、目の色を変えた。
 それは本気の目だった。

「じゃあ冒険者登録しよっか」
「いいんですか?」
「うん。別に止めるわけじゃないから。ただし無茶はしちゃ駄目だよ。お姉さんからの、約束」

 僕に女の人は、人差し指を向けた。
 完全に心配された子供だ。保護者みたいな感じで、ちょっと歯痒いけど、受けしかった。

 やっぱり、人に褒められたりすると嬉しい。
 それにこうやって優しくされるのも、嫌いじゃない。だからこそ、僕は僕のために、いつか師匠たちみたいな立派な冒険者になって、世界を見て回るんだ。
 そんな中、

「そうだ、君名前は?」
「僕ですか? 僕は天月です。天月・オボロナ」
「天月君かー。私は、エレナよ。よろしくね」

 女の人、エレナさんはにこやかに笑った。
 その阿賀野は素敵で、一目惚れとかではないけど、かわいらしかった。でも、やっぱり僕のこと、子供だと思っている感じで、ちょっと頬を膨らませた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

処理中です...