死に戻りぽっちゃり双子、悪役お姉様を味方につける。

清澄 セイ

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「第二章 この状況を、有効活用することにしました」

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 すっかり冷めてしまった紅茶を入れ直し、水に浸したタオルで目元を拭ってやる。双子の白い頬は赤く染まっているものの、リリアンナの手厚い介抱によりようやく落ち着きを取り戻した。
「まさかそんな……、貴方達が誰かに恨まれているなんて……!」
 姉を信じようと決めた二人は、これまで体験したことの全てを打ち明けた。リリアンナならきっと受け入れてくれると、素直にそう思える。
「今まで怖がってごめんなさい、お姉様」
「僕達、お姉様に嫌われてるって思ってたんだ」
 いつも元気で笑顔に溢れているルシフォードとケイティベルが、とても悲しそうにしゅんと肩を落としている。リリアンナは温顔を浮かべながら小さく首を振り、澄んだロイヤルブルーの瞳に二人を映した。
「私も、酷い態度を取ったことを謝るわ。本心ではなかったのに、どうしても上手く出来なくて……。本当にごめんなさい、ルシフォード、ケイティベル」
 丁寧に頭を下げる姉を見て、ますます申し訳なさが込み上げてくる。しばらくお互いが謝罪合戦のようになっていたけれど、結局「みんな悪いってことにしよう」というルシフォードの良案が採用された。
「お姉様は、信じてくれるんだね」
「当然でしょう?貴方達が誰かを傷付けるような嘘を吐くはずなないもの」
 確かにそれはにわかには信じ難い内容だったが、それでもリリアンナは疑わない。予知夢、時空の歪み、呪い、魔術、その他なんでも。たとえただの夢というオチだったとしても、愛する弟妹の恐怖や不安を取り除く為ならどんなことでもすると、彼女は決意している。
「ありがとう、お姉様」
「勇気を出して良かったわ」
 安心したような笑顔を浮かべる二人を見て、リリアンナの瞳からぽろりと涙が溢れた。自分まで泣くつもりはなかったのにと、慌てて手の甲でそれを拭う。
「ご、ごめんなさい。こんなに幸せなことがあっても良いのかと思うと、嬉しさのあまり勝手に涙が……」
 いつも無表情で人形のように整った美しい顔ではなく、これ以上泣くまいと小鼻が膨らみ頬が赤くなった人間らしい表情。リリアンナはこんなにも温かくて可愛らしい人だったのかと、二人は一瞬で虜になった。
 あの時姉が命を投げ出して庇ってくれたのは、決して幻でも勘違いでもない。悪夢だったというならそれで構わないが、もしも今現実に起こったとしても絶対に身を挺して守ってくれるだろうと、心からそう思える。
「すぐに許してほしいなんて都合の良いことを言うつもりは……」
「許すってさっき言ったわ!」
「そうだよ、みんな悪いことにしようって決めたじゃないか!」
 再び至高のマシュマロボディに挟まれたリリアンナは、気を抜けば昇天してしまいそうなほどの幸せに包まれていた。目の焦点が合わず、半開きの口から形容し難い音が漏れている。このまま時が止まってしまえばいいのに……、と本気で思ったが、二人は大きな悩みを抱えているのだから私がしっかりしなければと、自身の太ももを思い切りつねって我に返った。
「貴方達の誕生日まで後一ヶ月。その日までに、犯人を見つけるよう動かないといけないわ。万全の体制を期した上で何もなければそれでよし、あってからでは遅いもの」
 リリアンナの頼もしい言葉に、二人の胸に安堵が広がる。自分達だけで抱えるにはまだ幼く、けれど悪夢を騒ぎ立てるような年齢は過ぎた。こうして絶対的な味方が出来たことは嬉しく、しかもそれの相手がずっと不仲だと思っていた姉なのだから、喜びもひとしおだった。
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