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第四章「集う変人と犯人への手掛かり」
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「仲がよろしいようで、私も嬉しいです。リリアンナ様もそれはそれはお幸せそうで」
繋がれた手を見つめながら、再び彼女の目尻に皺が寄る。
「もう、からかわないで」
どこか素直で子供っぽい受け答えをする姉を見るのは新鮮で、双子も一緒になって笑った。
「そういえば、あの夜も満月だったわね」
ふと思い出すリリアンナに、エマーニーが頷く。
「昔から男女の双生児が誕生する夜は、満月のかかる清夜と決まっているそうですよ。まるで天からも祝福を受けているようだと」
「そうなんだ、凄いなぁ」
「ひとつも例外はないってこと?」
自分達の出生話を聞くのはなんだか新鮮で、ルシフォードとケイティベルは思わず前のめりになる。その様子が可愛くて、リリアンナの鼻の下が無意識に伸びた。
「……ええ、そうですね。私の知る限りでは」
たった一瞬、いつでも穏やかなエマーニーの表情が陰った気がする。些細な異変も決して見逃さないよう常に気を張っているリリアンナは、やはり根が真面目な逸材であった。
「あら、つい長話をしてしまったわ。ごめんなさい、嬉しくて」
「僕達もエマーニーさんに会えて嬉しかったです」
「また今度、お話聞かせてくださいね」
はしゃぐ二人を見ていると、今この場で指摘する気にはなれない。たおやかに手を振る彼女を見送りながら、リリアンナだけが心を騒つかせていた。
とてつもなく不吉な何かが、こちらを覗いている気がしてならなかった。
そして数日後。リリアンナは、レオニルにサマンサ王子妃殿下への見舞いの許可を得てから再び王宮へと足を運んだ。あの時、助産婦エマーニーが最後の会話で一瞬浮かべた表情がどうしても胸に引っかかっており、杞憂でも構わないからもう一度話を聞いてみようと考えたのだ。
余計な心配をさせたくないと、愛する弟妹は屋敷にてお留守番。二人が姉を案じてついていきたいと駄々をこねたので、リリアンナは道中の馬車で咽び泣いた。
可愛い、可愛い、愛らしくてたまらない。ずっと昔からそう思っていたが、やはり懐いてくれると余計に愛着が湧いてくる。
あんなにも可愛らしい二人を、たとえ夢であっても手にかけるような不届者は、今すぐに剣で叩き斬ってやりたいと思う。剣術の心得はないが、愛さえあればきっとなんとかなるはずだ。
「あらまぁ、リリアンナ様。こんなにすぐお会い出来るなんて」
エマーニーはいつものように目尻に皺を寄せ、慈しみの瞳をリリアンナに向ける。サマンサは臨月の割にあっけらかんとしており、なんとかなるわと豪快に笑っていた。そんな様子を見ていると、リリアンナの方が励まされるような気がした。
無事にサマンサへの謁見を終えた後、少し話がしたいとエマーニーに声を掛ける。突然のことであったのに、彼女は快く部屋へと入れてくれた。
「私が一人で過ごすには素敵過ぎて、少し落ち着かないのよ」
「それだけ、王子妃陛下からの信頼が厚いということでしょう」
肩をすくめるエマーニーの正面に座り、リリアンナは淡々と口にする。内心緊張しているせいもあり、普段以上に表情筋を動かす余裕もない。が、エマーニーはまったく気にしていない様子で彼女に紅茶とお菓子を勧めた。
繋がれた手を見つめながら、再び彼女の目尻に皺が寄る。
「もう、からかわないで」
どこか素直で子供っぽい受け答えをする姉を見るのは新鮮で、双子も一緒になって笑った。
「そういえば、あの夜も満月だったわね」
ふと思い出すリリアンナに、エマーニーが頷く。
「昔から男女の双生児が誕生する夜は、満月のかかる清夜と決まっているそうですよ。まるで天からも祝福を受けているようだと」
「そうなんだ、凄いなぁ」
「ひとつも例外はないってこと?」
自分達の出生話を聞くのはなんだか新鮮で、ルシフォードとケイティベルは思わず前のめりになる。その様子が可愛くて、リリアンナの鼻の下が無意識に伸びた。
「……ええ、そうですね。私の知る限りでは」
たった一瞬、いつでも穏やかなエマーニーの表情が陰った気がする。些細な異変も決して見逃さないよう常に気を張っているリリアンナは、やはり根が真面目な逸材であった。
「あら、つい長話をしてしまったわ。ごめんなさい、嬉しくて」
「僕達もエマーニーさんに会えて嬉しかったです」
「また今度、お話聞かせてくださいね」
はしゃぐ二人を見ていると、今この場で指摘する気にはなれない。たおやかに手を振る彼女を見送りながら、リリアンナだけが心を騒つかせていた。
とてつもなく不吉な何かが、こちらを覗いている気がしてならなかった。
そして数日後。リリアンナは、レオニルにサマンサ王子妃殿下への見舞いの許可を得てから再び王宮へと足を運んだ。あの時、助産婦エマーニーが最後の会話で一瞬浮かべた表情がどうしても胸に引っかかっており、杞憂でも構わないからもう一度話を聞いてみようと考えたのだ。
余計な心配をさせたくないと、愛する弟妹は屋敷にてお留守番。二人が姉を案じてついていきたいと駄々をこねたので、リリアンナは道中の馬車で咽び泣いた。
可愛い、可愛い、愛らしくてたまらない。ずっと昔からそう思っていたが、やはり懐いてくれると余計に愛着が湧いてくる。
あんなにも可愛らしい二人を、たとえ夢であっても手にかけるような不届者は、今すぐに剣で叩き斬ってやりたいと思う。剣術の心得はないが、愛さえあればきっとなんとかなるはずだ。
「あらまぁ、リリアンナ様。こんなにすぐお会い出来るなんて」
エマーニーはいつものように目尻に皺を寄せ、慈しみの瞳をリリアンナに向ける。サマンサは臨月の割にあっけらかんとしており、なんとかなるわと豪快に笑っていた。そんな様子を見ていると、リリアンナの方が励まされるような気がした。
無事にサマンサへの謁見を終えた後、少し話がしたいとエマーニーに声を掛ける。突然のことであったのに、彼女は快く部屋へと入れてくれた。
「私が一人で過ごすには素敵過ぎて、少し落ち着かないのよ」
「それだけ、王子妃陛下からの信頼が厚いということでしょう」
肩をすくめるエマーニーの正面に座り、リリアンナは淡々と口にする。内心緊張しているせいもあり、普段以上に表情筋を動かす余裕もない。が、エマーニーはまったく気にしていない様子で彼女に紅茶とお菓子を勧めた。
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(追記2018.07.26)
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お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!
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