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第四章「集う変人と犯人への手掛かり」
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「不躾で申し訳ありませんが、早速本題へ入らせていただきます」
「まぁまぁ。私相手に、そんなに堅苦しい話し方はよしてくださいな」
「ありがとうございます」
彼女がサマンサの容態を気にして早く用事を済ませようとしているのだと、エマーニーには分かっている。張りついた喉を落ち着かせる為、リリアンナは差し出された紅茶を一口飲んだ。
「先日お話をした際に、エマーニーはおっしゃいましたよね?『この国では男女の双生児は例外なく満月の夜に誕生する』と」
「ええ、確かに」
「本当に、ひとつの例外もないのでしょうか?もちろん、貴女の知る限りで構いません」
その質問に、彼女の歳を重ねた深い瞳が揺れる。リリアンナがなんの意味もなくこんな質問をするとは思っていないが、決して軽々しく口に出していい話でもない。
「今日三人一緒ではないのは、この為だったのですね」
「はい、おっしゃる通りです」
リリアンナはぴんと背筋を伸ばし、いっぺんの曇りもない済んだロイヤルブルーの瞳でエマーニーを見つめる。彼女は穏やかで聡いが、とても思慮深く慎重な性分でもあった。そうでなければ、貴族や王族の子を何人も取り上げることなど出来ない。
「私は、ルシフォードとケイティベルをとても大切に想っています」
「ええ、そうでしょうとも。貴女が本当は優しい方だと、私にはよく分かりますから」
その答えを聞いたリリアンナは、覚悟を決めた。
「今、私達は岐路に立たされています」
「岐路、ですか?」
「あの二人が、何者かに命を狙われているのです」
その台詞を聞いたエマーニーは、大きく目を見開き息を呑んだ。もしも彼女が敵側の人間であったなら、リリアンナはかなりの悪手を選んだことになる。
けれども、死という大きな運命を変えるには、それなりの博打を打たねばならない。弟妹を守りたいと強く願う彼女の本能が、勝負どころは今しかないと背中を押していた。
「まさかそんな……、本当のことなのですか?」
「誰かに打ち明けたのは、これが初めてです。経緯を説明するのが非常に難しく、信用してもらえるかどうか分かりませんが」
あくまで淡々と説明するリリアンナだが、エマーニーは彼女がこんな嘘を吐くような人間ではないと理解している。先日会った時も、それは幸せそうな表情で弟妹と手を繋いでいた。きっと何か、のっぴきならない事情があるのだろうと、その心中を案じる。
「あの二人はまだ幼い上に、誰かの恨みを買うような子達ではありません。エトワナ家を憎んでいる人物がいないかも含め調べましたが、有力な情報はまだ掴めていないのです」
「リリアンナ様もさぞお辛いことでしょう。私も何かお役に立てれば良いのですが、いかんせん思い当たる節がありません」
確かに助産婦として数多の貴族邸に出入りして来たエマーニーだが、あまり個人的な付き合いは控えるようにしていた。それは自身の身を守る為であり、ひいては彼女が取り上げるであろう尊い命に繋がっている。
「王宮でお会いした日、最後の会話でほんの少し言葉を濁しましたよね?」
「はて、そうだったかしら?」
「古くからこの国に誕生する男女の双生児は、いずれも例外なく必ず満月の夜に産声を上げる、と」
リリアンナの鋭い指摘を受けた彼女は一瞬驚いたが、すぐにその瞳にうら悲しげな色を浮かべた。
「……おっしゃる通り、私は一瞬迷いました。例外なくと言った自分の言葉が、嘘だと分かっていたから」
エマーニーは膝の上で両手を重ねると、視線を下へ落とす。そしてゆっくりと、胸に秘めていた秘密を打ち明け始めたのだった。
「まぁまぁ。私相手に、そんなに堅苦しい話し方はよしてくださいな」
「ありがとうございます」
彼女がサマンサの容態を気にして早く用事を済ませようとしているのだと、エマーニーには分かっている。張りついた喉を落ち着かせる為、リリアンナは差し出された紅茶を一口飲んだ。
「先日お話をした際に、エマーニーはおっしゃいましたよね?『この国では男女の双生児は例外なく満月の夜に誕生する』と」
「ええ、確かに」
「本当に、ひとつの例外もないのでしょうか?もちろん、貴女の知る限りで構いません」
その質問に、彼女の歳を重ねた深い瞳が揺れる。リリアンナがなんの意味もなくこんな質問をするとは思っていないが、決して軽々しく口に出していい話でもない。
「今日三人一緒ではないのは、この為だったのですね」
「はい、おっしゃる通りです」
リリアンナはぴんと背筋を伸ばし、いっぺんの曇りもない済んだロイヤルブルーの瞳でエマーニーを見つめる。彼女は穏やかで聡いが、とても思慮深く慎重な性分でもあった。そうでなければ、貴族や王族の子を何人も取り上げることなど出来ない。
「私は、ルシフォードとケイティベルをとても大切に想っています」
「ええ、そうでしょうとも。貴女が本当は優しい方だと、私にはよく分かりますから」
その答えを聞いたリリアンナは、覚悟を決めた。
「今、私達は岐路に立たされています」
「岐路、ですか?」
「あの二人が、何者かに命を狙われているのです」
その台詞を聞いたエマーニーは、大きく目を見開き息を呑んだ。もしも彼女が敵側の人間であったなら、リリアンナはかなりの悪手を選んだことになる。
けれども、死という大きな運命を変えるには、それなりの博打を打たねばならない。弟妹を守りたいと強く願う彼女の本能が、勝負どころは今しかないと背中を押していた。
「まさかそんな……、本当のことなのですか?」
「誰かに打ち明けたのは、これが初めてです。経緯を説明するのが非常に難しく、信用してもらえるかどうか分かりませんが」
あくまで淡々と説明するリリアンナだが、エマーニーは彼女がこんな嘘を吐くような人間ではないと理解している。先日会った時も、それは幸せそうな表情で弟妹と手を繋いでいた。きっと何か、のっぴきならない事情があるのだろうと、その心中を案じる。
「あの二人はまだ幼い上に、誰かの恨みを買うような子達ではありません。エトワナ家を憎んでいる人物がいないかも含め調べましたが、有力な情報はまだ掴めていないのです」
「リリアンナ様もさぞお辛いことでしょう。私も何かお役に立てれば良いのですが、いかんせん思い当たる節がありません」
確かに助産婦として数多の貴族邸に出入りして来たエマーニーだが、あまり個人的な付き合いは控えるようにしていた。それは自身の身を守る為であり、ひいては彼女が取り上げるであろう尊い命に繋がっている。
「王宮でお会いした日、最後の会話でほんの少し言葉を濁しましたよね?」
「はて、そうだったかしら?」
「古くからこの国に誕生する男女の双生児は、いずれも例外なく必ず満月の夜に産声を上げる、と」
リリアンナの鋭い指摘を受けた彼女は一瞬驚いたが、すぐにその瞳にうら悲しげな色を浮かべた。
「……おっしゃる通り、私は一瞬迷いました。例外なくと言った自分の言葉が、嘘だと分かっていたから」
エマーニーは膝の上で両手を重ねると、視線を下へ落とす。そしてゆっくりと、胸に秘めていた秘密を打ち明け始めたのだった。
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