死に戻りぽっちゃり双子、悪役お姉様を味方につける。

清澄 セイ

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第六章「みんな、幸せに」

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 エトワナ家の両親を納得させるのは簡単だったが、やはりリリアンナに対しての厳しい態度は覆らなかった。
「お姉様はこんなに優しいのに!」と双子は憤ったが、こればかりはもう仕方がないとリリアンナは諦めている。特に母においては、第一子が女児であった為に理不尽に責められたらしいと知っている分、恨む気持ちは湧いてこない。
 彼女が感じているとすれば、それは寂しさ。一度くらいは「産まれてきてくれてありがとう」と抱き締められてみたかったが、それを憎しみに変える気はない。
 それよりも大切な弟妹をこの世に誕生させてくれたことに、感謝の念を抱いていた。
「私達は、いつまでもお姉様の味方だから!」
「そのままのお姉様が、ずっと大好きだよ!」
 ふかふかの毛布のような温かい体をいっぱいに広げて、ルシフォードとケイティベルは思いきり姉に抱きつく。リリアンナは二人の頭を撫でながら、どうかこの尊い存在に幸せが降り注ぐようにと、涙ながらに祈りを捧げた。
 その後は誕生日パーティーの準備でエトワナ家は忙しなく、リリアンナも積極的に表立って指揮を取った。母ベルシアとは何度か衝突しながらも、以前はそれさえなかったのだから大いなる進歩と言えるだろう。
 双子の記憶では、以前のリリアンナはパーティー当日ベルベットのドレスに身を包んでいた。普段露出を好まない彼女があえてこの日に派手な装いをしていたのは、おそらく自身をより悪役に見せる為だと、双子は推理する。
 婚約者の交換によりケイティベルに好奇の目が行かぬよう、わざと自分を目立たせたのだろうと。
 その証拠に、今回は三人お揃いのレモンイエローのドレスとスーツをあつらえた。リリアンナは頭の上にぽんぽんと花を咲かせながら喜び、そんな姉を見て二人は飛び跳ねて喜んだ。
「一日早いけれど、私からの誕生日プレゼントよ」
 双子の子ども部屋に足を運んだリリアンナは、目の前に細やかな装飾が施されたジュエリーボックスを二つ置いた。ルシフォードとケイティベルはそれを開けた瞬間、空色の瞳がこぼれ落ちそうなほどに目を見開く。
「これ、お姉様からのプレゼントだったんだ……」
「通りで私達にぴったりだったはずだわ」
 妹にはイエローダイヤモンドのペンダント、弟には同じ宝石を加工した飾りボタンとカフス。あの時はそれぞれの枕元にそれらが置かれており、二人はてっきり両親からの贈り物だとばかり思っていた。

――宝石言葉は、永遠の絆。

「お姉様はずっと前から、たくさんの愛を贈ってくれていたのね……」
「もしあの夜を体験しなかったら、きっと誤解したままだった……」
 二人は姉からのプレゼントを胸に抱きながら、ぽろぽろと大粒の涙を流す。なぜ自分達があんなにも怖い思いをしなければならないのだろうと、マイナスにばかり捉えていた。けれど今こうしてリリアンナと分かり合えたことは、ルシフォードとケイティベルにとっては最大の幸福だった。それは、死の恐怖をも凌駕するほどに尊く大切な宝物。
「ま、まぁ!どうしたの二人とも!お腹が痛いの、それとも頭?ああ、可哀想に……」
 突然泣き出した弟妹を案じ、リリアンナはおろおろと慌てふためく。そんな彼女を見ながら、双子は目を見合わせて破顔する。
「違うよ、これは嬉し涙!」
「お姉様、ありがとう。ずっとずっと大切にするわ!」
 目に見えることだけが真実とは限らない。リリアンナがそうであったように、もしかしたら暗殺を企んだ犯人にも隠された何かがあるかもしれない。
 二人は互いのふっくらとした手をぎゅうっと握り締めながら、明日に迫った運命の日に思いを馳せる。きっと大丈夫、すべては上手くいく、そう信じようと。
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