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第六章「みんな、幸せに」
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「お、お姉様……!」
「勝手なことをしてごめんなさい、ケイティベル」
微かに悲しげな表情を見せる姉に、ケイティベルはこれでもかと首を左右に振る。実は昨夜、女性二人は婚約について十分に話し合っていたのだ。
レオニルとの交流が増えるにつれ、ケイティベルが彼に感じていた畏怖は少しずつ消えていった。本当のレオニルはリリアンナそっくりで、一度既視感を感じるとそれからはもう心を開くだけ。
まるでお伽話のお姫様のように扱われたかと思えば、頬を赤く染めて俯いてみたり。レオニルはとにかく、ケイティベルの一挙手一投足に振り回されていた。もちろん、本人が自ら望んで。
それからリリアンナは、エドモンド殿下を好意的に見ていると妹に打ち明けた。まだ芽吹いたばかりのそれは恋愛とはほど遠いが、初恋もまだの彼女にとってはそれでも目覚ましい進歩だった。
いつだって家族が最優先だったリリアンナが少しずつ自身の感情を大切にし始めていることが、ケイティベルはとても嬉しかった。同時に、以前の自分はなんて愚かだったのだろうという後悔の念にも襲われた。
表面に見えているものだけがすべてではないと、姉を見ていればよく分かる。同様にレオニルに対する色眼鏡を外したら、鉄仮面だと思っていた彼の表情は意外にもころころと変わる。それを見ると歳の差を感じず、それどころか可愛らしい子どものように思えていた。
そうしてエトワナ姉妹は夜が明けるまで、リリアンナのベッドの上でいつまでも尽きないお喋りに花を咲かせた。互いの婚約者を交換しようと明言こそしなかったが、ケイティベルが他国への嫁入りを嫌がっていることは事実であるし、リリアンナも一度くらいは両親の言いつけに背いてみたかったという、ほんの悪戯心も芽生えた。
それに振り回される男性陣はたまったものではないだろうが、偶然にも互いの本音はぴったりと一致している。レオニルはケイティベルを想い、エドモンドはリリアンナに惹かれている。この場の誰一人として、婚約者の交換話に意を唱えるものはいない。
「皆が幸せになれるなら、それが一番だよ!」
唯一当事者ではないルシフォードはにこにこと満面の笑みを浮かべ、それは嬉しそうに何度も頷いたのだった。
結局、話し合いは大成功に終わった。ぽっちゃり双子はその愛らしさを発揮することにも余念がなく、何度も王宮に通う内に国王夫妻はすっかり二人の虜となっていた。それを温かく上品に見守るリリアンナの評判も鰻登りだったが、実際は鼻血を拭いてしまわないよう必死に鼻辺りを手で覆い隠していただけだった。
婚約者の交換に関しては、レオニルの方は「啓示を受けた双子を守る為」と銘打ち、まんまと護衛の増援に成功した。それとなく刺客の噂を流し、警戒を強めるとともにリリアンナにばかり非難が集中しないよう手を尽くすと言うレオニルは、実に頼もしい。
とはいえ彼の脳内はすでに流血騒ぎで、まさかあのケイティベルが自分の妻に……と考えただけで、歓喜と罪悪感の板挟みで押し潰されそうになった。
エドモンドの方も、次期国王である兄に相談をすれば上手く取り計らってくれるだろうとのこと。まさかリリアンナと婚約を結べるチャンスが来るとは夢にも思わず、あれだけうるさい腹の虫がぴくりともしないほど彼女のことで頭がいっぱいだった。
「勝手なことをしてごめんなさい、ケイティベル」
微かに悲しげな表情を見せる姉に、ケイティベルはこれでもかと首を左右に振る。実は昨夜、女性二人は婚約について十分に話し合っていたのだ。
レオニルとの交流が増えるにつれ、ケイティベルが彼に感じていた畏怖は少しずつ消えていった。本当のレオニルはリリアンナそっくりで、一度既視感を感じるとそれからはもう心を開くだけ。
まるでお伽話のお姫様のように扱われたかと思えば、頬を赤く染めて俯いてみたり。レオニルはとにかく、ケイティベルの一挙手一投足に振り回されていた。もちろん、本人が自ら望んで。
それからリリアンナは、エドモンド殿下を好意的に見ていると妹に打ち明けた。まだ芽吹いたばかりのそれは恋愛とはほど遠いが、初恋もまだの彼女にとってはそれでも目覚ましい進歩だった。
いつだって家族が最優先だったリリアンナが少しずつ自身の感情を大切にし始めていることが、ケイティベルはとても嬉しかった。同時に、以前の自分はなんて愚かだったのだろうという後悔の念にも襲われた。
表面に見えているものだけがすべてではないと、姉を見ていればよく分かる。同様にレオニルに対する色眼鏡を外したら、鉄仮面だと思っていた彼の表情は意外にもころころと変わる。それを見ると歳の差を感じず、それどころか可愛らしい子どものように思えていた。
そうしてエトワナ姉妹は夜が明けるまで、リリアンナのベッドの上でいつまでも尽きないお喋りに花を咲かせた。互いの婚約者を交換しようと明言こそしなかったが、ケイティベルが他国への嫁入りを嫌がっていることは事実であるし、リリアンナも一度くらいは両親の言いつけに背いてみたかったという、ほんの悪戯心も芽生えた。
それに振り回される男性陣はたまったものではないだろうが、偶然にも互いの本音はぴったりと一致している。レオニルはケイティベルを想い、エドモンドはリリアンナに惹かれている。この場の誰一人として、婚約者の交換話に意を唱えるものはいない。
「皆が幸せになれるなら、それが一番だよ!」
唯一当事者ではないルシフォードはにこにこと満面の笑みを浮かべ、それは嬉しそうに何度も頷いたのだった。
結局、話し合いは大成功に終わった。ぽっちゃり双子はその愛らしさを発揮することにも余念がなく、何度も王宮に通う内に国王夫妻はすっかり二人の虜となっていた。それを温かく上品に見守るリリアンナの評判も鰻登りだったが、実際は鼻血を拭いてしまわないよう必死に鼻辺りを手で覆い隠していただけだった。
婚約者の交換に関しては、レオニルの方は「啓示を受けた双子を守る為」と銘打ち、まんまと護衛の増援に成功した。それとなく刺客の噂を流し、警戒を強めるとともにリリアンナにばかり非難が集中しないよう手を尽くすと言うレオニルは、実に頼もしい。
とはいえ彼の脳内はすでに流血騒ぎで、まさかあのケイティベルが自分の妻に……と考えただけで、歓喜と罪悪感の板挟みで押し潰されそうになった。
エドモンドの方も、次期国王である兄に相談をすれば上手く取り計らってくれるだろうとのこと。まさかリリアンナと婚約を結べるチャンスが来るとは夢にも思わず、あれだけうるさい腹の虫がぴくりともしないほど彼女のことで頭がいっぱいだった。
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