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21 どうして…?
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その日の話し合いは、長い時間続いた。
当主様が先に帰っても良いと言ってくださったのが、後になってわかった。
冷静に考えてみれば、国王の退位、王太子の王位継承権の剥奪なんて議論が簡単に終わるわけもなかったのだ。
リュークと談話室で話をしていると、聖女の侍女がやって来て、私とリュークに差し入れだと言って、飲み物や食べ物をたくさん持ってきてくれた。
緊張感がとけて、お腹が減っていたので、本当に有り難かった。
そして、それから数時間後、当主様が私達が待っている談話室まで来てくださったけれど、お顔が本当に疲れ切っていて、会議が大変なものだったのだと伝わってきた。
結果、国王陛下の退位は、リーフ殿下が学園を卒業する約2年後に決まった。
王太子殿下の王位継承権の剥奪についても、貴族の賛成多数で決定事項となり、明日、王太子殿下に話がいくらしい。
これはこれで揉めそうな気はするけれど、宰相が何とかしてくれると思われる。
モーリス殿下は王子である事にかわりはないけれど、リーフ殿下が国王に即位した時には、肩身が狭くなるはずだし、性格の改善が見られないようなら、王都からかなり離れた場所にある、王族のみの静養地に送られる可能性もある。
それに関しては、国王陛下もありえる話だ。
退位とは言っているけれど、実際は、廃位のようなものなのだから。
そして、私の聖女復帰に関しての話はなくなった。
国王陛下の罪が暴かれると同時に、北の辺境伯のフランソワへの脅しや、彼女に頼まれたからとはいえ、皆が探している聖女を内緒で匿っていた事が明らかになったから。
フランソワは王城に連れ戻され、また聖女の生活を続ける事になった。
もちろん、北の辺境伯とフランソワの愛人の話も消え、北の辺境伯は、聖女を独り占めしようとしたとして、貴族内での評判は一気に下がり、発言力も弱まった。
これで一件落着。
今度こそ、私の事は放っておいてもらえるだろうと、私は安易な考えをしていた。
実際、穏やかな日が続いていたというのもあるし、まさか、そこまでするとは思ってもいなかった。
話し合いから一ヶ月程経った日の事だった。
私はリュークと共に、結界を張りに来た、のではなく、回復魔法をかけに来ていた。
なぜなら、結界はつい最近、キュララが張りにきたらしく、領主からは、結界は今のところは大丈夫だろうと言われた。
ただ、キュララは回復魔法をかけるのにお金を取るから、ほとんどの平民の人が回復魔法をかけてもらえなかったので、来てもらえないかという依頼だった。
相変わらず、キュララとトリンは回復魔法をかけるのにお金をもらっているだけではなく、今まで以上に値上げしているそうだ。
さすがにフランソワとエルセラは取っていないと、侍女達から教えてもらった。
フランソワも気持ちを入れ替えて、今は聖女の仕事を頑張っているらしい。
自分のせいでもあるけれど、ここのところ、聖女の評判が落ちていくばかりなので、さすがにこれでは駄目だと気が付いたらしい。
「聖女様にも色々な方がいらっしゃるんですね」
回復魔法をかけていると、そんな言葉を色んな人から言われた。
キュララは、結界を張りに来た時に、どんな様子だったのかしら。
こんな事を言われると言うことは、よっぽど、横柄な態度をとっていたのかしら?
一箇所では多くの人に回復魔法をかけてあげられないので、少しずつ場所を移動しながら、人を集めて回復魔法をかけていった。
仕事中で来れないという人の所には、近くであれば、そこへ行って回復魔法をかけて、その周りの人で、回復魔法をかけてほしいと言う人がいれば、回復魔法をかけていった。
そんな事を続けていると、すぐに日が落ちてきたので、今日はお腹も減ったし、終わりにしようと、リュークと話をしていた時だった。
何だか理由はわからないけれど、淀んだ空気が私の身体を包んだ気がした。
その瞬間、リュークが私の身体を引き寄せて言う。
「ミーファ、結界を張る力は残ってるか?」
「大丈夫だけど…」
「あれ…」
リュークが空を見上げるので、同じように顔を上げると、何かと目があった。
近くの家の二階の屋根付近のところに、トカゲを大きくした様な魔物が張り付いているのが見えた。
私には結界の向こうも見えるから、魔物の姿が見えるけれど、魔物の体のほとんどはぼんやりとしか見えていないので、実際に結界が破られてているのは、魔物の目と、その周りが見えるくらいだった。
「大丈夫か?」
「あ、うん!」
リュークに声を掛けられて、慌てて、結界の穴をふさぐと、魔物は、急に私達が見えなくなったからか、不思議そうにしながらも場所を移動した。
「見えなくなった。ありがとう、ミーファ」
「ううん。お礼を言われる事じゃないわ。だけど、キュララは最近、この地に結界を張りに来ているはず。なのに、どうして…?」
考えられるのは一つしかない。
だけど、そんな事、信じられない。
「まさか聖女様は結界を張る際に手抜きしたのか…?」
リュークの言葉に、私は無言で頷いた。
当主様が先に帰っても良いと言ってくださったのが、後になってわかった。
冷静に考えてみれば、国王の退位、王太子の王位継承権の剥奪なんて議論が簡単に終わるわけもなかったのだ。
リュークと談話室で話をしていると、聖女の侍女がやって来て、私とリュークに差し入れだと言って、飲み物や食べ物をたくさん持ってきてくれた。
緊張感がとけて、お腹が減っていたので、本当に有り難かった。
そして、それから数時間後、当主様が私達が待っている談話室まで来てくださったけれど、お顔が本当に疲れ切っていて、会議が大変なものだったのだと伝わってきた。
結果、国王陛下の退位は、リーフ殿下が学園を卒業する約2年後に決まった。
王太子殿下の王位継承権の剥奪についても、貴族の賛成多数で決定事項となり、明日、王太子殿下に話がいくらしい。
これはこれで揉めそうな気はするけれど、宰相が何とかしてくれると思われる。
モーリス殿下は王子である事にかわりはないけれど、リーフ殿下が国王に即位した時には、肩身が狭くなるはずだし、性格の改善が見られないようなら、王都からかなり離れた場所にある、王族のみの静養地に送られる可能性もある。
それに関しては、国王陛下もありえる話だ。
退位とは言っているけれど、実際は、廃位のようなものなのだから。
そして、私の聖女復帰に関しての話はなくなった。
国王陛下の罪が暴かれると同時に、北の辺境伯のフランソワへの脅しや、彼女に頼まれたからとはいえ、皆が探している聖女を内緒で匿っていた事が明らかになったから。
フランソワは王城に連れ戻され、また聖女の生活を続ける事になった。
もちろん、北の辺境伯とフランソワの愛人の話も消え、北の辺境伯は、聖女を独り占めしようとしたとして、貴族内での評判は一気に下がり、発言力も弱まった。
これで一件落着。
今度こそ、私の事は放っておいてもらえるだろうと、私は安易な考えをしていた。
実際、穏やかな日が続いていたというのもあるし、まさか、そこまでするとは思ってもいなかった。
話し合いから一ヶ月程経った日の事だった。
私はリュークと共に、結界を張りに来た、のではなく、回復魔法をかけに来ていた。
なぜなら、結界はつい最近、キュララが張りにきたらしく、領主からは、結界は今のところは大丈夫だろうと言われた。
ただ、キュララは回復魔法をかけるのにお金を取るから、ほとんどの平民の人が回復魔法をかけてもらえなかったので、来てもらえないかという依頼だった。
相変わらず、キュララとトリンは回復魔法をかけるのにお金をもらっているだけではなく、今まで以上に値上げしているそうだ。
さすがにフランソワとエルセラは取っていないと、侍女達から教えてもらった。
フランソワも気持ちを入れ替えて、今は聖女の仕事を頑張っているらしい。
自分のせいでもあるけれど、ここのところ、聖女の評判が落ちていくばかりなので、さすがにこれでは駄目だと気が付いたらしい。
「聖女様にも色々な方がいらっしゃるんですね」
回復魔法をかけていると、そんな言葉を色んな人から言われた。
キュララは、結界を張りに来た時に、どんな様子だったのかしら。
こんな事を言われると言うことは、よっぽど、横柄な態度をとっていたのかしら?
一箇所では多くの人に回復魔法をかけてあげられないので、少しずつ場所を移動しながら、人を集めて回復魔法をかけていった。
仕事中で来れないという人の所には、近くであれば、そこへ行って回復魔法をかけて、その周りの人で、回復魔法をかけてほしいと言う人がいれば、回復魔法をかけていった。
そんな事を続けていると、すぐに日が落ちてきたので、今日はお腹も減ったし、終わりにしようと、リュークと話をしていた時だった。
何だか理由はわからないけれど、淀んだ空気が私の身体を包んだ気がした。
その瞬間、リュークが私の身体を引き寄せて言う。
「ミーファ、結界を張る力は残ってるか?」
「大丈夫だけど…」
「あれ…」
リュークが空を見上げるので、同じように顔を上げると、何かと目があった。
近くの家の二階の屋根付近のところに、トカゲを大きくした様な魔物が張り付いているのが見えた。
私には結界の向こうも見えるから、魔物の姿が見えるけれど、魔物の体のほとんどはぼんやりとしか見えていないので、実際に結界が破られてているのは、魔物の目と、その周りが見えるくらいだった。
「大丈夫か?」
「あ、うん!」
リュークに声を掛けられて、慌てて、結界の穴をふさぐと、魔物は、急に私達が見えなくなったからか、不思議そうにしながらも場所を移動した。
「見えなくなった。ありがとう、ミーファ」
「ううん。お礼を言われる事じゃないわ。だけど、キュララは最近、この地に結界を張りに来ているはず。なのに、どうして…?」
考えられるのは一つしかない。
だけど、そんな事、信じられない。
「まさか聖女様は結界を張る際に手抜きしたのか…?」
リュークの言葉に、私は無言で頷いた。
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