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22 怪しい気はするわね
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暗くなる前に急いで、見れる範囲は確認したけれど、結界が他に破られていそうな場所はなかった。
念の為、ドーム状の結界を張ったから、しばらくは大丈夫だと思われる。
でも、おかしい。
どういう事なの?
どうして、キュララが結界を張ってから、まだそんなに日にちが経っていないのに結界が破られてるの?
今まで、怪しいところは何個もあったけれど、あんな風に穴が開いた様に、はっきりと見える事なんてなかった。
もちろん、北の辺境の事もあるから、私が見た限りとしか言えないけど。
魔物を見たのは初めてではないけれど、私を見る目に憎しみの様なものがこめられていた気がして、とても怖かった。
今日は回復魔法をかけるだけだったので、泊まる事はせずに、魔道具でスコッチ邸に戻り、リュークと一緒に当主様に相談した。
「結界を張ったばかりなのに、弱まっている所があったという事か?」
「もしかしたら、ムラがあるのかもしれません。均等に張ったつもりが、そうでもないのかも…。何かに気を取られていたりして、集中力が欠けた時に、そういう事が起こる可能性はありますけど…」
「という事は、キュララ様の張った結界も、その可能性があるという訳だな?」
「はい。もしかすると、疲れが出たのかもしれません」
私にとって普通の事でも、今までサボっていたキュララ達にはハードなのかもしれない。
やっぱり、私が見回った方がいいの?
聖女に戻りたくはないけど、そんな個人的な理由で多くの人を危険に晒すわけにもいかない。
だから、元聖女のままで、出来るだけの事をしようかしら。
「実はミーファに話したい事がある」
当主様が暗い表情で続ける。
「結界が弱まるペースが速くなっているんじゃないかという報告が最近は上がっているらしい。そして、その報告があがっているのは、全て、キュララ様かトリス様が結界を張られた所だ」
「フランソワとエルセラの所では報告はないんですね?」
「今のところはないらしい。もちろん、ミーファが張った所もだ」
自分の張った所が大丈夫だと聞いて、不謹慎かもしれないけれど、ホッと胸を撫で下ろす。
「こんな事を言うのもなんですが、ミーファの張った結界が駄目なら、どの聖女様でも駄目でしょうね」
リュークが当主様に言ってくれた言葉が嬉しくて、ついつい笑みがこぼれる。
「ありがとう、リューク」
「本当の事だから」
「でも嬉しい」
にこりと笑うと、リュークも微笑んでくれた。
当主様の咳払いで慌てて我に返ってから、本題に戻す。
「原因はわかっているんでしょうか?」
「いや、やはり、結界が私達には見えない分、調査がしにくい」
「あの、その時の聖女達の様子はわからないでしょうか?」
「どういう意味だ?」
「聖女達が結界を張っている時の様子が知りたいんです。侍女にも聞いてみますが、結界を張っている間は、無防備になりますので、聖女には護衛を付けてもらっているはずです。キュララとトリンがどんな様子で結界を張っていたかを調べてもらう事は出来ませんか?」
「…わかった。ミーファは聖女様の侍女達から話を聞いてもらえるか?」
「わかりました」
国王陛下と王太子殿下が大人しくなったから、楽になると思ったのに、今度はキュララ達に悩まされる事になるなんて…。
頭が痛くなりそうだったけど、気持ちを切り替えて、侍女に連絡をとる事にした。
侍女から返ってきた返事は、やはり、私が予想していた通り、キュララとトリンは結界を張る際に、誰かと話をしていたり、驚く事に本を読みながらだったり、結界に集中しているものではなかった様だった。
二人は私に比べて、ドーム状の結界を張るにしても、藩医がとても狭い。
だから、ドーム状なら私が一回で張れる地域でも、何十回はしなければならないだろうし、広い領土なら、百箇所以上は場所を変えて結界を張らなければいけない。
これに関しては歴代の聖女ではありえないくらいに酷い。
私の様に一回で張る人間も少ないみたいだけど、彼女達の様に回数が多いのも普通ではない。
わざと手を抜いているのではないか、と侍女達は思っている様だった。
あの一件で、国王陛下の退位が決定し、王太子殿下の王位継承権も剥奪された。
キュララとトリンにとっては、王妃になる夢が潰えてしまった。
国王陛下になる予定のリーフ殿下は、まだ他国から戻って来ていないし、アプローチしようにも出来ないし、何より、彼女達は、リーフ殿下を今まで歯牙にもかけていなかったから、自分達がどんなに頑張っても、彼に選んでもらえない事は、さすがに理解できているみたい。
だから、ヤケクソになってしまっている?
もしくは、何か裏があったりするのかしら。
モーリス殿下は自分の王位継承権が剥奪されたと聞いた時は半狂乱になって暴れたと聞いたけど、それと関係したりする?
うーん。
それと結びつけるのは難しい?
聖女達からの返事を当主様に伝える前に、部屋に来てくれたリュークに話すと、彼は首を傾げながら言う。
「そういえば、聖女様達は、もう、今までのように、モーリス殿下に付きまとったりしてないのか?」
「そんな感じみたいだけど、侍女達が言うには、キュララとトリンは二人がモーリス殿下だけじゃなく、国王陛下とも会ってるんじゃないかと書いていたわ。ちょっと、怪しい気はするわね」
「…どういう事だ? それに、そういう事を書くと、検閲に引っかかるんじゃ?」
「私と侍女とのやり取りに関しては、宰相閣下が検閲して下さるという事になったのよ。さすがに、中身を読まない訳にはいかないらしいけど。それだけでも特別待遇だしね」
内情を知らない人間に確認されるよりも、信用している人に確認してもらうほうが安心な気がする。
手紙を読まれないのが、一番だろうけれど、そういう訳にもいかないだろうから。
「なら良いけど、聖女様達がなぜ、手を抜いているのか、その理由を調べないといけないな」
「そうね」
リュークと顔を見合わせてから頷いた。
念の為、ドーム状の結界を張ったから、しばらくは大丈夫だと思われる。
でも、おかしい。
どういう事なの?
どうして、キュララが結界を張ってから、まだそんなに日にちが経っていないのに結界が破られてるの?
今まで、怪しいところは何個もあったけれど、あんな風に穴が開いた様に、はっきりと見える事なんてなかった。
もちろん、北の辺境の事もあるから、私が見た限りとしか言えないけど。
魔物を見たのは初めてではないけれど、私を見る目に憎しみの様なものがこめられていた気がして、とても怖かった。
今日は回復魔法をかけるだけだったので、泊まる事はせずに、魔道具でスコッチ邸に戻り、リュークと一緒に当主様に相談した。
「結界を張ったばかりなのに、弱まっている所があったという事か?」
「もしかしたら、ムラがあるのかもしれません。均等に張ったつもりが、そうでもないのかも…。何かに気を取られていたりして、集中力が欠けた時に、そういう事が起こる可能性はありますけど…」
「という事は、キュララ様の張った結界も、その可能性があるという訳だな?」
「はい。もしかすると、疲れが出たのかもしれません」
私にとって普通の事でも、今までサボっていたキュララ達にはハードなのかもしれない。
やっぱり、私が見回った方がいいの?
聖女に戻りたくはないけど、そんな個人的な理由で多くの人を危険に晒すわけにもいかない。
だから、元聖女のままで、出来るだけの事をしようかしら。
「実はミーファに話したい事がある」
当主様が暗い表情で続ける。
「結界が弱まるペースが速くなっているんじゃないかという報告が最近は上がっているらしい。そして、その報告があがっているのは、全て、キュララ様かトリス様が結界を張られた所だ」
「フランソワとエルセラの所では報告はないんですね?」
「今のところはないらしい。もちろん、ミーファが張った所もだ」
自分の張った所が大丈夫だと聞いて、不謹慎かもしれないけれど、ホッと胸を撫で下ろす。
「こんな事を言うのもなんですが、ミーファの張った結界が駄目なら、どの聖女様でも駄目でしょうね」
リュークが当主様に言ってくれた言葉が嬉しくて、ついつい笑みがこぼれる。
「ありがとう、リューク」
「本当の事だから」
「でも嬉しい」
にこりと笑うと、リュークも微笑んでくれた。
当主様の咳払いで慌てて我に返ってから、本題に戻す。
「原因はわかっているんでしょうか?」
「いや、やはり、結界が私達には見えない分、調査がしにくい」
「あの、その時の聖女達の様子はわからないでしょうか?」
「どういう意味だ?」
「聖女達が結界を張っている時の様子が知りたいんです。侍女にも聞いてみますが、結界を張っている間は、無防備になりますので、聖女には護衛を付けてもらっているはずです。キュララとトリンがどんな様子で結界を張っていたかを調べてもらう事は出来ませんか?」
「…わかった。ミーファは聖女様の侍女達から話を聞いてもらえるか?」
「わかりました」
国王陛下と王太子殿下が大人しくなったから、楽になると思ったのに、今度はキュララ達に悩まされる事になるなんて…。
頭が痛くなりそうだったけど、気持ちを切り替えて、侍女に連絡をとる事にした。
侍女から返ってきた返事は、やはり、私が予想していた通り、キュララとトリンは結界を張る際に、誰かと話をしていたり、驚く事に本を読みながらだったり、結界に集中しているものではなかった様だった。
二人は私に比べて、ドーム状の結界を張るにしても、藩医がとても狭い。
だから、ドーム状なら私が一回で張れる地域でも、何十回はしなければならないだろうし、広い領土なら、百箇所以上は場所を変えて結界を張らなければいけない。
これに関しては歴代の聖女ではありえないくらいに酷い。
私の様に一回で張る人間も少ないみたいだけど、彼女達の様に回数が多いのも普通ではない。
わざと手を抜いているのではないか、と侍女達は思っている様だった。
あの一件で、国王陛下の退位が決定し、王太子殿下の王位継承権も剥奪された。
キュララとトリンにとっては、王妃になる夢が潰えてしまった。
国王陛下になる予定のリーフ殿下は、まだ他国から戻って来ていないし、アプローチしようにも出来ないし、何より、彼女達は、リーフ殿下を今まで歯牙にもかけていなかったから、自分達がどんなに頑張っても、彼に選んでもらえない事は、さすがに理解できているみたい。
だから、ヤケクソになってしまっている?
もしくは、何か裏があったりするのかしら。
モーリス殿下は自分の王位継承権が剥奪されたと聞いた時は半狂乱になって暴れたと聞いたけど、それと関係したりする?
うーん。
それと結びつけるのは難しい?
聖女達からの返事を当主様に伝える前に、部屋に来てくれたリュークに話すと、彼は首を傾げながら言う。
「そういえば、聖女様達は、もう、今までのように、モーリス殿下に付きまとったりしてないのか?」
「そんな感じみたいだけど、侍女達が言うには、キュララとトリンは二人がモーリス殿下だけじゃなく、国王陛下とも会ってるんじゃないかと書いていたわ。ちょっと、怪しい気はするわね」
「…どういう事だ? それに、そういう事を書くと、検閲に引っかかるんじゃ?」
「私と侍女とのやり取りに関しては、宰相閣下が検閲して下さるという事になったのよ。さすがに、中身を読まない訳にはいかないらしいけど。それだけでも特別待遇だしね」
内情を知らない人間に確認されるよりも、信用している人に確認してもらうほうが安心な気がする。
手紙を読まれないのが、一番だろうけれど、そういう訳にもいかないだろうから。
「なら良いけど、聖女様達がなぜ、手を抜いているのか、その理由を調べないといけないな」
「そうね」
リュークと顔を見合わせてから頷いた。
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