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37 告白
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もし、クレイがやっぱりポピー様が好きだと言っても、それは悪くない事なんです。
だって、人が人を好きになってしまったら、止める事が難しい事を、私自身が身を持って知ってしまったんですから…。
「リサ」
クレイの声が聞こえます。
今は振り向けません。
顔を見たら泣いてしまいそうです。
「リサ、勝手に帰ろうとするな。俺はどうやって帰るんだよ?」
「置いていったりしません。先に、馬車の方に行って、待っていようと思っただけです」
振り返らずに答えて歩みを止めずにいると、クレイに腕を掴まれました。
ですので、私が足を止めると、彼は俯いている私の顔を覗き込みます。
「どうしたんだよ、何か、いつもと様子がおかしいぞ?」
泣くのをこらえている私の顔を見て、クレイは焦ったような顔になりました。
「放っておいて下さい。元からこんな感じですから」
「いや、そんな事ないだろ。一人にして悪かったよ。だけど一応、お前は気付いてないだろうけど、人を付けてたから」
待ってくれていた馬車に乗り込むと、クレイも乗ってきて、いつもは向かい側に座るのに、なぜか私の隣に座りました。
少しすると、馬車がゆっくりと動き始めました。
「どうした? 何かあったのか?」
「なんでもありません」
「何かあるような顔してるだろ。さっきは茶化して悪かった。謝るから、ちゃんと話せ。俺がいない間に何か嫌な事でも言われたのか?」
心配そうに顔を覗き込んでくるクレイを見て実感します。
ああ、やっぱり好きです。
たぶん、私は口が悪くて、子供みたいで、ちょっと無神経だけど、優しいところがある、クレイが好きなんです。
「好きです」
「え?」
「私、クレイが好きです。初恋は叶わないって、恋愛小説でよく読みました。だから…、伝えるだけで、聞いてもらうだけでいいんです」
お飾りの夫になってもらえれば、それだけで幸せです。
「お飾りの夫で十分です…。だから、あの方の所に戻るなんて言わないで」
ポロポロと涙が流れてきて、ハンカチを出すのも忘れて、必死にドレスの袖で拭う。
「リサ」
クレイが私の顔を両手でつかんで、親指で涙を拭ってくれると言います。
「恋愛小説には、こんな事も書いてなかったか?」
「……?」
「俺が初恋じゃないから大丈夫だ、とか、そういうの」
「え?」
意味がわからなくて聞き返すと、クレイは優しく微笑みます。
「俺も好きだよ」
「……恋愛小説がですか?」
「ここでボケてくるか」
「ボケてません!」
否定すると、クレイが唇を重ねてきました。
「……!」
「伝わったか?」
「え……、あ…、はい」
え?
これって、まさかの…。
「りょ、両思いって事ですか!?」
「そうだよ」
頷いてから、またキスをされてしまいました。
でも、全然、嫌ではありません。
「……嬉しいです!」
「俺も嬉しいよ」
また唇を重ねられました。
今度はとても長いキスです。
私の経験値では、もういっぱいいっぱいです。
「クレイ…」
頭がぼんやりした状態で彼を見つめると、微笑んで聞いてきます。
「誘ってんのか?」
「どこへ?」
「お前らしいな」
なぜかクレイが笑います。
私は大真面目なのに!
「まあいい。少しずつ、大人の階段をのぼっていくか」
「階段をのぼるのは足腰にきますね」
「まあ、そうだな。リサは運動不足みたいだから大変かもな」
クレイがなぜかにやりと笑いました。
階段くらいならのぼれます!
そりゃあ、何百段以上のぼれと言われたら辛いかもしれませんが…。
「なんで笑うんですか」
「リサはお子様だな、と思って」
指と指を絡めて握られたので、クレイを見上げて尋ねます。
「これ、恋人つなぎというやつですか?」
「そうだな」
「緊張します!」
「早く慣れろよ?」
「頑張ります!」
嬉しくて笑みを浮かべると、クレイがまたキスをしてきました。
1日の内のしかも、短い時間で4回もキスしてしまいました!
頭がパニックです!
「あの、人前ではやめて下さいね」
「それはわかってるよ。俺だって、ちゃんとわきまえてます」
「それで、お願いします」
今日はフィアナはお留守番だったので、帰ったら、お話しなくては…。
幸せな気持ちになっていましたが、ふと、先程の事が気になって聞いてみます。
「ポピー様とのお話は無事に終わったのですか?」
「ああ。リサの事が好きだから、もう君には興味はないって伝えた。ポピーと二人で話したいって言ったのは、リサの事が好きだから、ってのを、ポピーに言う時に、リサに知らせるんじゃなくて、ポピーとのケリをつけてから、ちゃんと言いたかったんだ。まあ、先にリサに言われたけど…」
「私が何も言わなければ、クレイから言ってくれてたんですか?」
「そのつもりだった。けど、リサはポピーとの話を一緒に聞きたかったか?」
「私は別に…。だって、その時はクレイがポピー様にメロメロになるんじゃないか、って思ってましたから。そんな所、わざわざ見たくないじゃないですか」
眉を寄せて言うと、クレイは苦笑してから謝ってくれます。
「悪かったよ。不安にさせてごめん」
「いいんです! 今、こうやっていられるのが幸せですから!」
全ての問題が解決した訳ではありませんので、浮かれている場合ではないのかもしれませんが、今日だけは、浮かれ気分でも良いですよね?
クレイの手をぎゅうっと握ると、彼も笑って握り返してくれたのでした。
だって、人が人を好きになってしまったら、止める事が難しい事を、私自身が身を持って知ってしまったんですから…。
「リサ」
クレイの声が聞こえます。
今は振り向けません。
顔を見たら泣いてしまいそうです。
「リサ、勝手に帰ろうとするな。俺はどうやって帰るんだよ?」
「置いていったりしません。先に、馬車の方に行って、待っていようと思っただけです」
振り返らずに答えて歩みを止めずにいると、クレイに腕を掴まれました。
ですので、私が足を止めると、彼は俯いている私の顔を覗き込みます。
「どうしたんだよ、何か、いつもと様子がおかしいぞ?」
泣くのをこらえている私の顔を見て、クレイは焦ったような顔になりました。
「放っておいて下さい。元からこんな感じですから」
「いや、そんな事ないだろ。一人にして悪かったよ。だけど一応、お前は気付いてないだろうけど、人を付けてたから」
待ってくれていた馬車に乗り込むと、クレイも乗ってきて、いつもは向かい側に座るのに、なぜか私の隣に座りました。
少しすると、馬車がゆっくりと動き始めました。
「どうした? 何かあったのか?」
「なんでもありません」
「何かあるような顔してるだろ。さっきは茶化して悪かった。謝るから、ちゃんと話せ。俺がいない間に何か嫌な事でも言われたのか?」
心配そうに顔を覗き込んでくるクレイを見て実感します。
ああ、やっぱり好きです。
たぶん、私は口が悪くて、子供みたいで、ちょっと無神経だけど、優しいところがある、クレイが好きなんです。
「好きです」
「え?」
「私、クレイが好きです。初恋は叶わないって、恋愛小説でよく読みました。だから…、伝えるだけで、聞いてもらうだけでいいんです」
お飾りの夫になってもらえれば、それだけで幸せです。
「お飾りの夫で十分です…。だから、あの方の所に戻るなんて言わないで」
ポロポロと涙が流れてきて、ハンカチを出すのも忘れて、必死にドレスの袖で拭う。
「リサ」
クレイが私の顔を両手でつかんで、親指で涙を拭ってくれると言います。
「恋愛小説には、こんな事も書いてなかったか?」
「……?」
「俺が初恋じゃないから大丈夫だ、とか、そういうの」
「え?」
意味がわからなくて聞き返すと、クレイは優しく微笑みます。
「俺も好きだよ」
「……恋愛小説がですか?」
「ここでボケてくるか」
「ボケてません!」
否定すると、クレイが唇を重ねてきました。
「……!」
「伝わったか?」
「え……、あ…、はい」
え?
これって、まさかの…。
「りょ、両思いって事ですか!?」
「そうだよ」
頷いてから、またキスをされてしまいました。
でも、全然、嫌ではありません。
「……嬉しいです!」
「俺も嬉しいよ」
また唇を重ねられました。
今度はとても長いキスです。
私の経験値では、もういっぱいいっぱいです。
「クレイ…」
頭がぼんやりした状態で彼を見つめると、微笑んで聞いてきます。
「誘ってんのか?」
「どこへ?」
「お前らしいな」
なぜかクレイが笑います。
私は大真面目なのに!
「まあいい。少しずつ、大人の階段をのぼっていくか」
「階段をのぼるのは足腰にきますね」
「まあ、そうだな。リサは運動不足みたいだから大変かもな」
クレイがなぜかにやりと笑いました。
階段くらいならのぼれます!
そりゃあ、何百段以上のぼれと言われたら辛いかもしれませんが…。
「なんで笑うんですか」
「リサはお子様だな、と思って」
指と指を絡めて握られたので、クレイを見上げて尋ねます。
「これ、恋人つなぎというやつですか?」
「そうだな」
「緊張します!」
「早く慣れろよ?」
「頑張ります!」
嬉しくて笑みを浮かべると、クレイがまたキスをしてきました。
1日の内のしかも、短い時間で4回もキスしてしまいました!
頭がパニックです!
「あの、人前ではやめて下さいね」
「それはわかってるよ。俺だって、ちゃんとわきまえてます」
「それで、お願いします」
今日はフィアナはお留守番だったので、帰ったら、お話しなくては…。
幸せな気持ちになっていましたが、ふと、先程の事が気になって聞いてみます。
「ポピー様とのお話は無事に終わったのですか?」
「ああ。リサの事が好きだから、もう君には興味はないって伝えた。ポピーと二人で話したいって言ったのは、リサの事が好きだから、ってのを、ポピーに言う時に、リサに知らせるんじゃなくて、ポピーとのケリをつけてから、ちゃんと言いたかったんだ。まあ、先にリサに言われたけど…」
「私が何も言わなければ、クレイから言ってくれてたんですか?」
「そのつもりだった。けど、リサはポピーとの話を一緒に聞きたかったか?」
「私は別に…。だって、その時はクレイがポピー様にメロメロになるんじゃないか、って思ってましたから。そんな所、わざわざ見たくないじゃないですか」
眉を寄せて言うと、クレイは苦笑してから謝ってくれます。
「悪かったよ。不安にさせてごめん」
「いいんです! 今、こうやっていられるのが幸せですから!」
全ての問題が解決した訳ではありませんので、浮かれている場合ではないのかもしれませんが、今日だけは、浮かれ気分でも良いですよね?
クレイの手をぎゅうっと握ると、彼も笑って握り返してくれたのでした。
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