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28 ドキドキする理由
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家族会議はお姉様とお母様が出ていった事により、中断され、お姉様の気持ちが落ち着いた頃に、再度、話をしようという事になりました。
お父様も私達と別れた後に、お姉様の部屋に行って、話を聞きに行って下さったそうですが、お姉様が私を責めるばかりで聞く耳を持たなかったんだそうです。
弱かった自分が悪いのは自覚していますから、その点については反省しています。
ですから、お姉様にも腹が立つからという理由で、人をいじめたりしてはいけないという事を理解していただきたかったのですが、それはお姉様の中では認められないようです。
自分は姉であり立場が上で、なよなよしている人間は目障りでしかない。
そんな人間が自分に歯向かってくるなど許せない。
しかも、自分だけに注がれていた、お母様からの愛情を私が奪おうとしていると言っているんだそうです。
お姉様からお母様の愛情を奪うだなんて、今更、そんな事をするつもりはさらさらないのですが…。
味方がいなくなってきて、心細くなってきているのかもしれません。
だから、お母様には今まで通り、お姉様を可愛がって下さる様にお願いするつもりです。
それに、私に国花が出ているのですから、お姉様に国花が出ない事はもうわかりきっています。
この事実を知った時に、お姉様はどうなってしまうのでしょう。
心が壊れなければいいのですが…。
お父様は国花の事を知っていますので、お姉様に国花がリサに出たらどうするつもりなのか、という話をして下さった様ですが、それは絶対にありえない、と断言されたそうです。
その場合を考えなさい、と言っても、鼻で笑うだけだったみたいです。
そんな事を、朝、いつもより早くに目覚めたので考えていたら、いつもの時間になってしまい、フィアナが起こしに来てくれたので、考える事を止めました。
「おはよう」
最近はお姉様は部屋で朝食をとられる様になったので、逆に私達がダイニングルームで朝食を取る様になりました。
ダイニングルームに入ると、クレイが既に中にいて、挨拶をしてくれました。
「おはようございます」
ちゃんと挨拶は返せましたが、昨日から、何だかおかしいのです。
クレイを見ると、心臓の鼓動が早くなります。
どうしてなのでしょう?
病気なんでしょうか?
「どうかしたのか?」
「…最近、おかしいのですよ」
「何がだ?」
「クレイを見るとドキドキしてしまうんです!」
「……は?」
私の向かい側に座っているクレイが、きょとんとした顔をして聞き返してきます。
私の背中側の壁際に立っていたフィアナが「…っ!」と驚いた様な声を上げたので、やはり私は病気なのでしょうか?
「ドキドキするって?」
「なんといいますか、こう、胸がドキドキするんです」
「じゃあ、こうしたら?」
そう言って、向かいに座っていたクレイが、わざわざ立ち上がって、私の横に立つと私の左頬を触ってきました。
何だか、ドキドキして顔が熱くなってきました。
「少しの間、失礼いたします!」
フィアナが突然、私に頭を下げた後「よろしくお願い致します」とクレイに何かを頼みました。
クレイもそれだけで理解した様で首を縦に振り、フィアナが出て行き、二人きりになってから言います。
「顔、赤くなったな」
「ね? おかしいでしょう?」
「いや、おかしくはないと思うが、これ、マジだったら、やばいな」
なぜか、クレイが笑みをこらえる様な顔をします。
どうやら、馬鹿にされているようです!
ひどいです!
こっちは真剣に相談しましたのに!
「どうして笑うんですか!」
「いや、笑ってるんじゃなくて、なんというか…」
クレイは口を手でおさえて、私から顔を背けました。
でも、目が笑っているので、何かにやけている感じがします。
「その、病気ではないと思うが、それは、お前自身が気付かないと駄目というか…。というか、俺が思ってる事が合ってるかもわからないんだが」
「どう思っているのか教えて下さいよ」
「いや、これ俺が言うと、違ってたらただのうぬぼれ野郎だしな」
「うぬぼれ野郎の何が悪いんですか!」
「恥ずかしいだろ!」
どうしてクレイに答えがわかって、自分自身の事なのに、私には何かわからないのでしょうか。
気になります。
しかも、ニヤニヤしているのが余計に気になります。
「クレイは意地悪ですね」
「というか、お前はいつも恋愛小説を読みふけってるけど、どういう気持ちで読んでるんだ?」
「ヒロインを応援しています」
「そのまんまだな。感情移入はしないのか」
「私はいつでもヒロインの味方です」
「気持ちはわかるが…」
クレイはうーんと唸ったあと、顎に手を当ててブツブツ言います。
「今、俺から言っても無理だろうしなあ」
「諦めないで下さい!」
「何をだよ!?」
「クレイが言おうとした事ですよ」
「…じゃあ言うぞ」
クレイがこほんと咳払いをして、口を開こうとした時でした。
「あれ、フィアナ、何でこんなとこで突っ立ってんの? え?! もしかして、僕の事を待ってた?!」
「朝からうるさいんですよ! 静かにして下さい! どうして今日に限って、この時間に来るんですか!」
「別にいつ来てもいいだろ」
「ちょっといいから、こっち来て下さい!」
小声で話すフィアナとバーキン様の会話が気になってしまい、私が扉の方を見ていると、クレイがため息を吐いてから、扉の方に歩いていき、扉を開けて言います。
「入るなら入れ」
「あれ? もしかして、お邪魔だった?」
元気に中へ入ってきたバーキン様でしたが、クレイの顔を見て、少し焦った顔をされました。
「邪魔だった」
「申し訳ございませんでした」
クレイの言葉を聞いて謝るフィアナに、クレイが首を横に振ります。
「フィアナは悪くない」
「えーっと、じゃあ、帰ろうかな」
バーキン様がなぜか、部屋を出ていこうとされましたが、クレイが叫びます。
「もう遅いんだよ! とっとと座れ!」
クレイが叫んだと同時に、フィアナがバーキン様の分の朝食を用意してもらう為か「厨房に行ってきます」と言う声が聞こえたのでした。
お父様も私達と別れた後に、お姉様の部屋に行って、話を聞きに行って下さったそうですが、お姉様が私を責めるばかりで聞く耳を持たなかったんだそうです。
弱かった自分が悪いのは自覚していますから、その点については反省しています。
ですから、お姉様にも腹が立つからという理由で、人をいじめたりしてはいけないという事を理解していただきたかったのですが、それはお姉様の中では認められないようです。
自分は姉であり立場が上で、なよなよしている人間は目障りでしかない。
そんな人間が自分に歯向かってくるなど許せない。
しかも、自分だけに注がれていた、お母様からの愛情を私が奪おうとしていると言っているんだそうです。
お姉様からお母様の愛情を奪うだなんて、今更、そんな事をするつもりはさらさらないのですが…。
味方がいなくなってきて、心細くなってきているのかもしれません。
だから、お母様には今まで通り、お姉様を可愛がって下さる様にお願いするつもりです。
それに、私に国花が出ているのですから、お姉様に国花が出ない事はもうわかりきっています。
この事実を知った時に、お姉様はどうなってしまうのでしょう。
心が壊れなければいいのですが…。
お父様は国花の事を知っていますので、お姉様に国花がリサに出たらどうするつもりなのか、という話をして下さった様ですが、それは絶対にありえない、と断言されたそうです。
その場合を考えなさい、と言っても、鼻で笑うだけだったみたいです。
そんな事を、朝、いつもより早くに目覚めたので考えていたら、いつもの時間になってしまい、フィアナが起こしに来てくれたので、考える事を止めました。
「おはよう」
最近はお姉様は部屋で朝食をとられる様になったので、逆に私達がダイニングルームで朝食を取る様になりました。
ダイニングルームに入ると、クレイが既に中にいて、挨拶をしてくれました。
「おはようございます」
ちゃんと挨拶は返せましたが、昨日から、何だかおかしいのです。
クレイを見ると、心臓の鼓動が早くなります。
どうしてなのでしょう?
病気なんでしょうか?
「どうかしたのか?」
「…最近、おかしいのですよ」
「何がだ?」
「クレイを見るとドキドキしてしまうんです!」
「……は?」
私の向かい側に座っているクレイが、きょとんとした顔をして聞き返してきます。
私の背中側の壁際に立っていたフィアナが「…っ!」と驚いた様な声を上げたので、やはり私は病気なのでしょうか?
「ドキドキするって?」
「なんといいますか、こう、胸がドキドキするんです」
「じゃあ、こうしたら?」
そう言って、向かいに座っていたクレイが、わざわざ立ち上がって、私の横に立つと私の左頬を触ってきました。
何だか、ドキドキして顔が熱くなってきました。
「少しの間、失礼いたします!」
フィアナが突然、私に頭を下げた後「よろしくお願い致します」とクレイに何かを頼みました。
クレイもそれだけで理解した様で首を縦に振り、フィアナが出て行き、二人きりになってから言います。
「顔、赤くなったな」
「ね? おかしいでしょう?」
「いや、おかしくはないと思うが、これ、マジだったら、やばいな」
なぜか、クレイが笑みをこらえる様な顔をします。
どうやら、馬鹿にされているようです!
ひどいです!
こっちは真剣に相談しましたのに!
「どうして笑うんですか!」
「いや、笑ってるんじゃなくて、なんというか…」
クレイは口を手でおさえて、私から顔を背けました。
でも、目が笑っているので、何かにやけている感じがします。
「その、病気ではないと思うが、それは、お前自身が気付かないと駄目というか…。というか、俺が思ってる事が合ってるかもわからないんだが」
「どう思っているのか教えて下さいよ」
「いや、これ俺が言うと、違ってたらただのうぬぼれ野郎だしな」
「うぬぼれ野郎の何が悪いんですか!」
「恥ずかしいだろ!」
どうしてクレイに答えがわかって、自分自身の事なのに、私には何かわからないのでしょうか。
気になります。
しかも、ニヤニヤしているのが余計に気になります。
「クレイは意地悪ですね」
「というか、お前はいつも恋愛小説を読みふけってるけど、どういう気持ちで読んでるんだ?」
「ヒロインを応援しています」
「そのまんまだな。感情移入はしないのか」
「私はいつでもヒロインの味方です」
「気持ちはわかるが…」
クレイはうーんと唸ったあと、顎に手を当ててブツブツ言います。
「今、俺から言っても無理だろうしなあ」
「諦めないで下さい!」
「何をだよ!?」
「クレイが言おうとした事ですよ」
「…じゃあ言うぞ」
クレイがこほんと咳払いをして、口を開こうとした時でした。
「あれ、フィアナ、何でこんなとこで突っ立ってんの? え?! もしかして、僕の事を待ってた?!」
「朝からうるさいんですよ! 静かにして下さい! どうして今日に限って、この時間に来るんですか!」
「別にいつ来てもいいだろ」
「ちょっといいから、こっち来て下さい!」
小声で話すフィアナとバーキン様の会話が気になってしまい、私が扉の方を見ていると、クレイがため息を吐いてから、扉の方に歩いていき、扉を開けて言います。
「入るなら入れ」
「あれ? もしかして、お邪魔だった?」
元気に中へ入ってきたバーキン様でしたが、クレイの顔を見て、少し焦った顔をされました。
「邪魔だった」
「申し訳ございませんでした」
クレイの言葉を聞いて謝るフィアナに、クレイが首を横に振ります。
「フィアナは悪くない」
「えーっと、じゃあ、帰ろうかな」
バーキン様がなぜか、部屋を出ていこうとされましたが、クレイが叫びます。
「もう遅いんだよ! とっとと座れ!」
クレイが叫んだと同時に、フィアナがバーキン様の分の朝食を用意してもらう為か「厨房に行ってきます」と言う声が聞こえたのでした。
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