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29 恋の病
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「ほんっと間が悪いんですから!」
朝食後、フィアナが部屋に帰る途中にプリプリして言うので、苦笑して尋ねます。
「クレイが何を言おうとしていたのか、フィアナはわかるのですか?」
「えーっと、そうですね。なんといいますか、答えを教える訳にはいきませんが、何を言おうとされていたかはわかると思います」
「本当ですか?!」
すごいです!
フィアナは病気の事がわかるのでしょうか?
「もしかして、バーキン様に病気の事を教えてもらっているの?」
「はい? 病気ですか? なぜ、今、病気の話が?」
フィアナは何故か不思議そうです。
「そういえば、フィアナとバーキン様の関係に何か進展はありましたか?」
「申し訳ございませんが、全くその様な事はございません」
「フィアナはバーキン様の事は好みではないのですか?」
「では、リサ様はサルケス様を恋愛対象者として見れますか?」
フィアナに聞かれ、少し考えてから答えます。
「良い方とは思いますが、そういう対象ではないですかねえぇ?」
「では、クレイ様の事はどう思われます?」
「クレイが何ですか?」
「クレイ様の事は、そういう対象として見れますか?」
「………」
クレイの事を考えると、なぜかまた、胸がドキドキしてきました。
こ、これは駄目です。
病気みたいです!
恋愛小説でよく読む様な胸のドキドキ…。
「……そ、そんなまさか…」
自分で気付いてしまい、私は思わず、廊下で立ち止まってしまいました。
「リサ様?!」
「そんな…ありえないです…。そんな事になったら大変です!」
「何が大変なのですか?」
「だって、迷惑じゃないですか…!」
「あれ、フィアナとリサ様、こんな所で何してるんです?」
バーキン様が長い髪を揺らしながら、笑顔で近寄って来られたので、思わず、バーキン様の腕をつかんで叫びます。
「お願いです、バーキン様! 私の病名を教えて下さい! 病気じゃないと困るんです!」
「はい?!」
バーキン様は困った様な声を上げた後、フィアナを見て尋ねます。
「一体、何があったんだよ?」
「お話を聞いてもらえればわかると思います」
「体調が悪いとかじゃないならいいけど…」
という訳で、私の部屋に来てもらい、正直に話をしてみたところ、バーキン様は遠慮なく言います。
「病は病でも恋の病だな」
「そ、そんなあ…」
「そんなあ、って、どうして悲しむんだよ? 夫婦なんだからいいだろ?」
「私とクレイは白い結婚なんです。恋をしてしまうのは契約違反じゃないですか!」
向かいのソファーに座るバーキン様に訴えると、彼は私の後ろに立ってくれているフィアナに目をやりました。
「契約結婚の話についてはお聞きしてます。あなたこそご存知なのですか?」
「クレイから聞いてる」
「ああ…、その事については二人にお話をしていませんでしたね…。フィアナには私から、バーキン様にはクレイから伝えてあるのを知っていますから、お話を続けていただいても大丈夫です」
二人共、お互いが知っているかわからなかったので、確認しあってくれたみたいです。
ですが、バーキン様の視線だけで、意味が通じたフィアナはすごいです。
やはり、二人はお似合いなのでは…?
「リサちゃん、僕にとっては嬉しい事を考えてくれていそうな顔だけれど、今は君の話をしようか」
「え?! あ、はい! お願いします!」
「リサちゃん、どうして契約違反になるわけ? 相手に恋をしちゃいけないっていう条件でもつけた?」
「そ、そういう訳ではありませんが…」
「なら別にいいだろ。夫婦なんだから。大体、君が子供を生まなかったら、君の次は誰が継ぐんだよ」
そう言われてみて気付きました。
「誰が継ぐんでしょう?」
「僕に聞くなよ。クレイは君に好きな人が出来たら…って、いや、何でもない」
私の背後から、バーキン様に対して圧がかかったみたいです。
「あの、何を言おうとされたんですか?」
「サルケス様が言わなくても良い事を言おうとされましたので止めただけですから、リサ様は気になさらなくて大丈夫ですよ?」
フィアナはバーキン様が何を言おうとしていたかわかっているようですが、私に教えてくれる気はないみたいです。
「あ、リサちゃん。僕も言う気はないからな?」
視線を向けたからか、バーキン様は苦笑しながら手を横に振りました。
バーキン様は、何を言おうとしたんでしょう?
私に好きな人が出来たら…。
その後、クレイは何と言ったのでしょう。
もしかして、別れる、とか、でしょうか…。
何より、私がクレイを好きになったりしたら、クレイは迷惑ですよね…。
だって、クレイはポピー様が好きなんですから…。
「リサ様。リサ様はそのお気持ちをどうされたいとかいう気持ちはあるのですか?」
「クレイに迷惑をかけたくないです。だから、そっと胸に閉じ込めておいたままで良いです」
「そうですか…」
フィアナが頷いたと同時、バーキン様が彼女の方を見ました。
そして、すぐに私の方に視線を戻して言います。
「リサちゃんの好きな様にしたらいい。ただ、どうしても気持ちを伝えたくなった時には伝えてもいいと思うけどな」
「…そんなものでしょうか?」
「それに、さっきも言ったけど、リサちゃんとクレイは夫婦なんだからさ。別に好きになってもおかしくないと思うけど」
「でも、クレイはポピー様の事が好きじゃないですか」
「あいつ、今も好きだって言ってた?」
バーキン様に尋ねられ、そう言われてみれば、クレイから今でもポピー様が好きだという話は聞いた事がない様な気がしてきました。
「もう、クレイはポピー様の事を忘れられたのでしょうか…?」
私の問いかけに、バーキン様がフィアナの方を見たので、私も彼女の方に視線を向けると、フィアナは視線をバーキン様から私に移して答えてくれます。
「それは私達では答えかねます」
「…という事は、フィアナ達はクレイの気持ちを知っているどいう事ですか?」
「……」
フィアナが困った様に笑うので、私はそれ以上、詳しく聞く事を止めたのでした。
朝食後、フィアナが部屋に帰る途中にプリプリして言うので、苦笑して尋ねます。
「クレイが何を言おうとしていたのか、フィアナはわかるのですか?」
「えーっと、そうですね。なんといいますか、答えを教える訳にはいきませんが、何を言おうとされていたかはわかると思います」
「本当ですか?!」
すごいです!
フィアナは病気の事がわかるのでしょうか?
「もしかして、バーキン様に病気の事を教えてもらっているの?」
「はい? 病気ですか? なぜ、今、病気の話が?」
フィアナは何故か不思議そうです。
「そういえば、フィアナとバーキン様の関係に何か進展はありましたか?」
「申し訳ございませんが、全くその様な事はございません」
「フィアナはバーキン様の事は好みではないのですか?」
「では、リサ様はサルケス様を恋愛対象者として見れますか?」
フィアナに聞かれ、少し考えてから答えます。
「良い方とは思いますが、そういう対象ではないですかねえぇ?」
「では、クレイ様の事はどう思われます?」
「クレイが何ですか?」
「クレイ様の事は、そういう対象として見れますか?」
「………」
クレイの事を考えると、なぜかまた、胸がドキドキしてきました。
こ、これは駄目です。
病気みたいです!
恋愛小説でよく読む様な胸のドキドキ…。
「……そ、そんなまさか…」
自分で気付いてしまい、私は思わず、廊下で立ち止まってしまいました。
「リサ様?!」
「そんな…ありえないです…。そんな事になったら大変です!」
「何が大変なのですか?」
「だって、迷惑じゃないですか…!」
「あれ、フィアナとリサ様、こんな所で何してるんです?」
バーキン様が長い髪を揺らしながら、笑顔で近寄って来られたので、思わず、バーキン様の腕をつかんで叫びます。
「お願いです、バーキン様! 私の病名を教えて下さい! 病気じゃないと困るんです!」
「はい?!」
バーキン様は困った様な声を上げた後、フィアナを見て尋ねます。
「一体、何があったんだよ?」
「お話を聞いてもらえればわかると思います」
「体調が悪いとかじゃないならいいけど…」
という訳で、私の部屋に来てもらい、正直に話をしてみたところ、バーキン様は遠慮なく言います。
「病は病でも恋の病だな」
「そ、そんなあ…」
「そんなあ、って、どうして悲しむんだよ? 夫婦なんだからいいだろ?」
「私とクレイは白い結婚なんです。恋をしてしまうのは契約違反じゃないですか!」
向かいのソファーに座るバーキン様に訴えると、彼は私の後ろに立ってくれているフィアナに目をやりました。
「契約結婚の話についてはお聞きしてます。あなたこそご存知なのですか?」
「クレイから聞いてる」
「ああ…、その事については二人にお話をしていませんでしたね…。フィアナには私から、バーキン様にはクレイから伝えてあるのを知っていますから、お話を続けていただいても大丈夫です」
二人共、お互いが知っているかわからなかったので、確認しあってくれたみたいです。
ですが、バーキン様の視線だけで、意味が通じたフィアナはすごいです。
やはり、二人はお似合いなのでは…?
「リサちゃん、僕にとっては嬉しい事を考えてくれていそうな顔だけれど、今は君の話をしようか」
「え?! あ、はい! お願いします!」
「リサちゃん、どうして契約違反になるわけ? 相手に恋をしちゃいけないっていう条件でもつけた?」
「そ、そういう訳ではありませんが…」
「なら別にいいだろ。夫婦なんだから。大体、君が子供を生まなかったら、君の次は誰が継ぐんだよ」
そう言われてみて気付きました。
「誰が継ぐんでしょう?」
「僕に聞くなよ。クレイは君に好きな人が出来たら…って、いや、何でもない」
私の背後から、バーキン様に対して圧がかかったみたいです。
「あの、何を言おうとされたんですか?」
「サルケス様が言わなくても良い事を言おうとされましたので止めただけですから、リサ様は気になさらなくて大丈夫ですよ?」
フィアナはバーキン様が何を言おうとしていたかわかっているようですが、私に教えてくれる気はないみたいです。
「あ、リサちゃん。僕も言う気はないからな?」
視線を向けたからか、バーキン様は苦笑しながら手を横に振りました。
バーキン様は、何を言おうとしたんでしょう?
私に好きな人が出来たら…。
その後、クレイは何と言ったのでしょう。
もしかして、別れる、とか、でしょうか…。
何より、私がクレイを好きになったりしたら、クレイは迷惑ですよね…。
だって、クレイはポピー様が好きなんですから…。
「リサ様。リサ様はそのお気持ちをどうされたいとかいう気持ちはあるのですか?」
「クレイに迷惑をかけたくないです。だから、そっと胸に閉じ込めておいたままで良いです」
「そうですか…」
フィアナが頷いたと同時、バーキン様が彼女の方を見ました。
そして、すぐに私の方に視線を戻して言います。
「リサちゃんの好きな様にしたらいい。ただ、どうしても気持ちを伝えたくなった時には伝えてもいいと思うけどな」
「…そんなものでしょうか?」
「それに、さっきも言ったけど、リサちゃんとクレイは夫婦なんだからさ。別に好きになってもおかしくないと思うけど」
「でも、クレイはポピー様の事が好きじゃないですか」
「あいつ、今も好きだって言ってた?」
バーキン様に尋ねられ、そう言われてみれば、クレイから今でもポピー様が好きだという話は聞いた事がない様な気がしてきました。
「もう、クレイはポピー様の事を忘れられたのでしょうか…?」
私の問いかけに、バーキン様がフィアナの方を見たので、私も彼女の方に視線を向けると、フィアナは視線をバーキン様から私に移して答えてくれます。
「それは私達では答えかねます」
「…という事は、フィアナ達はクレイの気持ちを知っているどいう事ですか?」
「……」
フィアナが困った様に笑うので、私はそれ以上、詳しく聞く事を止めたのでした。
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