私を愛すると言った婚約者は、私の全てを奪えると思い込んでいる

 お爺様は何時も私に言っていた。

「女侯爵としての人生は大変なものだ。 だから愛する人と人生を共にしなさい」

 そう語っていた祖父が亡くなって半年が経過した頃……。
 祖父が定めた婚約者だと言う男がやってきた。

 シラキス公爵家の三男カール。
 外交官としての実績も積み、背も高く、細身の男性。
 シラキス公爵家を守護する神により、社交性の加護を与えられている。

 そんなカールとの婚約は、渡りに船……と言う者は多いだろう。

 でも、私に愛を語る彼は私を知らない。
 でも、彼を拒絶する私は彼を知っている。

 だからその婚約を受け入れるつもりはなかった。
 なのに気が付けば、婚約を??

 婚約者なのだからと屋敷に入り込み。
 婚約者なのだからと、恩人(隣国の姫)を連れ込む。

 そして……私を脅した。

 私の全てを奪えると思い込んでいるなんて甘いのよ!!
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