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34 クレイの気持ち
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仕事の合間に文献を確認してみようと思いましたが、なんだかんだと忙しく、日にちは過ぎてしまいました。
しかも、ご先祖様の日記もあったりしましたので、ついつい、そちらに脱線したりもしてしまいました。
最終的に流し読みにはなりますが、全てを確認したところ、やはり、お父様が確認して下さったもの以外、新しく得られた情報はありませんでした。
といっても、流し読みですので、見落としはあるかもしれませんが…。
お姉様の健康に関しては、お父様の方から、お姉様の主治医に確認してもらいましたが、特に何か変わった症状が見られるという事もない様で、その辺の心配はいらないみたいでした。
それはそれで良かったと思います。
病気になっていれば良い、だなんて、思う事は、相手が誰であれ良くない事ですから。
あの日、オッサムが私のところへやって来て、話していった内容については、クレイにも話をしたところ、国花の話をするタイミングを本格的に考えないといけない事と、オッサムがそれを知った時に、どう動いてくるかを予測して、対策を立てておかないといけないかもしれない、という話になりました。
「オッサムは私に国花が出たと知ったら、よりを戻そうとするのでしょうか」
「先日の様子ですと、そう言い出しかねない雰囲気でしたね」
文献を読み終えた日の夕食の後、クレイに私の部屋に来てもらって話をしていたのですが、ふとオッサムの事を思い出して、フィアナに聞いてみたところ、彼女は大きく頷きました。
それを聞いたクレイが言います。
「オッサムは馬鹿なのか? 結婚している人間によりを戻そうだなんておかしいだろ」
「何が何でも王配になりたいみたいですね」
「ドストコ公爵家は自分の血筋に王族がいるという事にしたいのかもしれないな」
クレイが呆れた顔で言った後、少し考える様な仕草をします。
「どうかしたのですか?」
「いや、もしかしたら…と思う事があって」
「何ですか?」
「もしかしたら、オッサム、いや、アールは俺とリサを別れさせようとしてるのかもしれないな」
「…どういう事です?」
首を傾げると、フィアナが「そういう事ですか…」と呟くので、後ろを振り返って尋ねます。
「フィアナには、クレイの言う意味がわかるのですか?」
「ええっと…。そうではないか、という予想くらいでしかないのですが」
苦笑するフィアナを見て、まだ見当がつかない私は、一生懸命考えてみます。
「私とクレイを別れさせようとしている…」
私はクレイが好きなので、別れるという選択肢はありません。
となると、クレイが私と別れたいと思う場合は、どんな時があるか…。
そこまで考えて思い付きました。
「それで、ポピー様があのイベントに来られていたという事ですか…?」
「ポピーと手を組んだのかもしれないな」
「手を組むってどういう事です?」
「リサと俺を別れさせる事が出来れば、バーキンとの仲を取り持つ、とか?」
「でも、バーキン様とアール様は大して関わりはないはずです」
「そんなの、ポピーは知らないだろ」
けろっとした顔で答えるクレイに、そう言われてみればそうかもしれない、と思って納得します。
「ポピー様って…」
楽観的な思考の持ち主なんですね、だなんて思って言いかけてしまい、慌てて言葉を止めました。
好きな人の事をそんな風に言われたら、クレイだって気を悪くするはずです。
なので、違う話題に変える事にします。
「オッサム達は、お姉様に国花が出ないのではないかと疑い始めているのは確かなのですよね」
「ああ。というか、不安になっているのは、ドストコ公爵のほうかもしれないな。オッサムはブランカに心酔しているんだろ? なら、そんな冷静な判断は下せないはずだ」
「…厄介になってきました。オッサムだけなら、簡単に騙せると思ったのですが…」
「まあ、俺がポピーにどうこうなるって事はないから、別れるだとかの心配はしなくていい」
「…本当に、その、クレイは良いんですか?」
恐る恐る聞いてみると、クレイが不思議そうな顔をします。
「何がだよ?」
「あ、いえ。クレイはポピー様と、両思いになれるならなりたいのではないんですか?」
「それは昔の話だろ。俺は今はリサの夫だぞ? 俺が浮気をするタイプに見えるのかよ? …って、まあ、見惚れてる事があったから、そう思うのか…。今は好きな訳じゃない。動揺してしまうだけだ。それに、少しずつマシになってるしな。今は話に出されたら思い出すくらいで、苦い思い出ってやつかな」
「そうなんですね」
クレイはもう、ポピー様に未練はないのですね!
笑顔がこぼれそうになるのをおさえて頷くと、クレイが笑います。
「安心したか?」
「あ、安心ですか?!」
「ああ」
「えっと…、そうですね。はい、安心しました」
素直に首を縦に振ると、クレイは満足そうに微笑みました。
「あの、お茶の用意をしてまいりますね」
フィアナが笑顔で出ていこうとしたのですが、クレイが止めます。
「ありがたいけど、もう部屋に戻るからいいよ」
「クレイ様…、そこはもうひと押し…」
「えっ?! 何だよ?!」
「どうかしたの?」
フィアナがクレイに何か訴えようとので、私とクレイが焦って尋ねると、彼女はがっくりと肩を落としました。
「何でもございません。クレイ様、無礼な態度を取りました事をお詫び申し上げます」
「気にしなくていい。だけど、何だったんだ?」
「それは…察していただけたら、と思います」
フィアナが小さく息を吐いてから答えてくれましたが、私もクレイもフィアナが何を考えたのかは、わからずじまいでした。
しかも、ご先祖様の日記もあったりしましたので、ついつい、そちらに脱線したりもしてしまいました。
最終的に流し読みにはなりますが、全てを確認したところ、やはり、お父様が確認して下さったもの以外、新しく得られた情報はありませんでした。
といっても、流し読みですので、見落としはあるかもしれませんが…。
お姉様の健康に関しては、お父様の方から、お姉様の主治医に確認してもらいましたが、特に何か変わった症状が見られるという事もない様で、その辺の心配はいらないみたいでした。
それはそれで良かったと思います。
病気になっていれば良い、だなんて、思う事は、相手が誰であれ良くない事ですから。
あの日、オッサムが私のところへやって来て、話していった内容については、クレイにも話をしたところ、国花の話をするタイミングを本格的に考えないといけない事と、オッサムがそれを知った時に、どう動いてくるかを予測して、対策を立てておかないといけないかもしれない、という話になりました。
「オッサムは私に国花が出たと知ったら、よりを戻そうとするのでしょうか」
「先日の様子ですと、そう言い出しかねない雰囲気でしたね」
文献を読み終えた日の夕食の後、クレイに私の部屋に来てもらって話をしていたのですが、ふとオッサムの事を思い出して、フィアナに聞いてみたところ、彼女は大きく頷きました。
それを聞いたクレイが言います。
「オッサムは馬鹿なのか? 結婚している人間によりを戻そうだなんておかしいだろ」
「何が何でも王配になりたいみたいですね」
「ドストコ公爵家は自分の血筋に王族がいるという事にしたいのかもしれないな」
クレイが呆れた顔で言った後、少し考える様な仕草をします。
「どうかしたのですか?」
「いや、もしかしたら…と思う事があって」
「何ですか?」
「もしかしたら、オッサム、いや、アールは俺とリサを別れさせようとしてるのかもしれないな」
「…どういう事です?」
首を傾げると、フィアナが「そういう事ですか…」と呟くので、後ろを振り返って尋ねます。
「フィアナには、クレイの言う意味がわかるのですか?」
「ええっと…。そうではないか、という予想くらいでしかないのですが」
苦笑するフィアナを見て、まだ見当がつかない私は、一生懸命考えてみます。
「私とクレイを別れさせようとしている…」
私はクレイが好きなので、別れるという選択肢はありません。
となると、クレイが私と別れたいと思う場合は、どんな時があるか…。
そこまで考えて思い付きました。
「それで、ポピー様があのイベントに来られていたという事ですか…?」
「ポピーと手を組んだのかもしれないな」
「手を組むってどういう事です?」
「リサと俺を別れさせる事が出来れば、バーキンとの仲を取り持つ、とか?」
「でも、バーキン様とアール様は大して関わりはないはずです」
「そんなの、ポピーは知らないだろ」
けろっとした顔で答えるクレイに、そう言われてみればそうかもしれない、と思って納得します。
「ポピー様って…」
楽観的な思考の持ち主なんですね、だなんて思って言いかけてしまい、慌てて言葉を止めました。
好きな人の事をそんな風に言われたら、クレイだって気を悪くするはずです。
なので、違う話題に変える事にします。
「オッサム達は、お姉様に国花が出ないのではないかと疑い始めているのは確かなのですよね」
「ああ。というか、不安になっているのは、ドストコ公爵のほうかもしれないな。オッサムはブランカに心酔しているんだろ? なら、そんな冷静な判断は下せないはずだ」
「…厄介になってきました。オッサムだけなら、簡単に騙せると思ったのですが…」
「まあ、俺がポピーにどうこうなるって事はないから、別れるだとかの心配はしなくていい」
「…本当に、その、クレイは良いんですか?」
恐る恐る聞いてみると、クレイが不思議そうな顔をします。
「何がだよ?」
「あ、いえ。クレイはポピー様と、両思いになれるならなりたいのではないんですか?」
「それは昔の話だろ。俺は今はリサの夫だぞ? 俺が浮気をするタイプに見えるのかよ? …って、まあ、見惚れてる事があったから、そう思うのか…。今は好きな訳じゃない。動揺してしまうだけだ。それに、少しずつマシになってるしな。今は話に出されたら思い出すくらいで、苦い思い出ってやつかな」
「そうなんですね」
クレイはもう、ポピー様に未練はないのですね!
笑顔がこぼれそうになるのをおさえて頷くと、クレイが笑います。
「安心したか?」
「あ、安心ですか?!」
「ああ」
「えっと…、そうですね。はい、安心しました」
素直に首を縦に振ると、クレイは満足そうに微笑みました。
「あの、お茶の用意をしてまいりますね」
フィアナが笑顔で出ていこうとしたのですが、クレイが止めます。
「ありがたいけど、もう部屋に戻るからいいよ」
「クレイ様…、そこはもうひと押し…」
「えっ?! 何だよ?!」
「どうかしたの?」
フィアナがクレイに何か訴えようとので、私とクレイが焦って尋ねると、彼女はがっくりと肩を落としました。
「何でもございません。クレイ様、無礼な態度を取りました事をお詫び申し上げます」
「気にしなくていい。だけど、何だったんだ?」
「それは…察していただけたら、と思います」
フィアナが小さく息を吐いてから答えてくれましたが、私もクレイもフィアナが何を考えたのかは、わからずじまいでした。
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