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31 どうかされましたか?
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ジーギス様の行方はわからないことと、例の王子様がいつやって来るのかわからないということ以外は、平穏な日々が続いていたよく晴れた日のことだった。
まだ早朝だというのに、ロード様が珍しく叫んでいる声が聞こえてきた。
目を覚ましていて着替えも終えていたので、慌てて部屋を出て様子を見に行くことにする。
「こら、ハヤテ、メル! 時間がないんだよ! いい子だからおいで」
エントランスホールのほうから声が聞こえてきたので、階段に向かう。
すると、ハヤテくんが階段を駆け上がってきて、助けてくれと言わんばかりに、前足を私の膝にのせて訴えてきた。
ハヤテくんを抱き上げてから尋ねる。
「どうかしたの?」
キューンキューンと鳴くハヤテくん。
「おやつでもほしいの?」
そうではないだろうなと思いながら聞いたのに、ハヤテくんは尻尾をパタパタと振った。
「ハヤテ! 戻ってこい!」
「ロード様、ハヤテくんは今、私が抱っこしています!」
「ミレニア! 悪いけど、そのまま抱っこしていてくれるかな」
「え? あ、はい!」
頷いたあと、メイドにハヤテくん用のおやつをもらい、「大人しくしてくれて偉いね」と声を掛けながら、おやつをあげる。
おかしを美味しそうに食べているハヤテくんを撫でながら、エントランスホールに向かって階段をおりていくと、ロード様が近寄ってくる。
「おはよう、ミレニア、そこにいるメイドにハヤテを渡してくれるかな。今日はメルとハヤテの健康診断をしてもらうから、病院に連れて行かないと駄目なんだ」
「おはようございます、ロード様。今日はハヤテくんたちの病院だったんですね」
ハヤテくんは特に病院が大嫌いだから、病院と言葉を聞くだけで逃げちゃうのよね。
だから、普段は病院には行かずに、お医者様に来てもらっているんだけど、今日は連れて行かないと駄目なようだった。
メルちゃんの姿を探すと、騎士がメルちゃんを何とか抱えあげて、外へ出ていこうとしていた。
メルちゃんの体が小刻みに震えていて、何だか見ていて可哀想になってくる。
そんなに病院って怖いものなのかしら。
人間とは違って何をされるか理解していないから、余計に怖いのかもしれないわね。
「ミレニア様、お預かりいたします」
メイドが手を出してくれたので、ハヤテくんを預けると、ハヤテくんは不安そうな顔で私を見つめてきた。
「ごめんね。ハヤテくんとメルちゃんには長生きしてほしいの。帰ってきたら、ご褒美をあげるからね」
ハヤテくんは何度も私のほうを振り返っていたけれど、メイドに外へ連れられていったのだった。
******
その日は、特にやることもなくのんびりした一日を過ごし、夕方に帰ってきたロード様たちを出迎えた。
「おかえりなさいませ」
「ただいま」
ロード様はかなり疲れ切った顔をしていた。
よっぽど大変だったのかしら。
メルちゃんとハヤテくんは、私の姿を見つけると「酷いよー!」と言わんばかりにタックルしてきた。
「ごめんね、偉かったね!」
褒めながら全身を撫で回してあげると、2匹とも機嫌を直してくれたのか、ごろんとひっくり返って、お腹を見せてくれた。
「お利口さんだったね。ご褒美もらおうね」
撫でながら話しかけていると、執事がロード様に手紙を渡している姿が見えた。
その内容に目を通したロード様が眉間にシワを寄せて、私を見た。
「どうかされましたか?」
「例の賓客の話だけど、色々と面倒なことになりそうだ」
そう言って、ロード様が話してくれたのは、手紙は隣国の第2王子殿下からで、内容は自分とその連れのメイドを、しばらくの間、この邸に置いてほしいということ、そして、自分は犬嫌いだから、犬を屋敷内で放し飼いさせないようにと書かれていた。
まだ早朝だというのに、ロード様が珍しく叫んでいる声が聞こえてきた。
目を覚ましていて着替えも終えていたので、慌てて部屋を出て様子を見に行くことにする。
「こら、ハヤテ、メル! 時間がないんだよ! いい子だからおいで」
エントランスホールのほうから声が聞こえてきたので、階段に向かう。
すると、ハヤテくんが階段を駆け上がってきて、助けてくれと言わんばかりに、前足を私の膝にのせて訴えてきた。
ハヤテくんを抱き上げてから尋ねる。
「どうかしたの?」
キューンキューンと鳴くハヤテくん。
「おやつでもほしいの?」
そうではないだろうなと思いながら聞いたのに、ハヤテくんは尻尾をパタパタと振った。
「ハヤテ! 戻ってこい!」
「ロード様、ハヤテくんは今、私が抱っこしています!」
「ミレニア! 悪いけど、そのまま抱っこしていてくれるかな」
「え? あ、はい!」
頷いたあと、メイドにハヤテくん用のおやつをもらい、「大人しくしてくれて偉いね」と声を掛けながら、おやつをあげる。
おかしを美味しそうに食べているハヤテくんを撫でながら、エントランスホールに向かって階段をおりていくと、ロード様が近寄ってくる。
「おはよう、ミレニア、そこにいるメイドにハヤテを渡してくれるかな。今日はメルとハヤテの健康診断をしてもらうから、病院に連れて行かないと駄目なんだ」
「おはようございます、ロード様。今日はハヤテくんたちの病院だったんですね」
ハヤテくんは特に病院が大嫌いだから、病院と言葉を聞くだけで逃げちゃうのよね。
だから、普段は病院には行かずに、お医者様に来てもらっているんだけど、今日は連れて行かないと駄目なようだった。
メルちゃんの姿を探すと、騎士がメルちゃんを何とか抱えあげて、外へ出ていこうとしていた。
メルちゃんの体が小刻みに震えていて、何だか見ていて可哀想になってくる。
そんなに病院って怖いものなのかしら。
人間とは違って何をされるか理解していないから、余計に怖いのかもしれないわね。
「ミレニア様、お預かりいたします」
メイドが手を出してくれたので、ハヤテくんを預けると、ハヤテくんは不安そうな顔で私を見つめてきた。
「ごめんね。ハヤテくんとメルちゃんには長生きしてほしいの。帰ってきたら、ご褒美をあげるからね」
ハヤテくんは何度も私のほうを振り返っていたけれど、メイドに外へ連れられていったのだった。
******
その日は、特にやることもなくのんびりした一日を過ごし、夕方に帰ってきたロード様たちを出迎えた。
「おかえりなさいませ」
「ただいま」
ロード様はかなり疲れ切った顔をしていた。
よっぽど大変だったのかしら。
メルちゃんとハヤテくんは、私の姿を見つけると「酷いよー!」と言わんばかりにタックルしてきた。
「ごめんね、偉かったね!」
褒めながら全身を撫で回してあげると、2匹とも機嫌を直してくれたのか、ごろんとひっくり返って、お腹を見せてくれた。
「お利口さんだったね。ご褒美もらおうね」
撫でながら話しかけていると、執事がロード様に手紙を渡している姿が見えた。
その内容に目を通したロード様が眉間にシワを寄せて、私を見た。
「どうかされましたか?」
「例の賓客の話だけど、色々と面倒なことになりそうだ」
そう言って、ロード様が話してくれたのは、手紙は隣国の第2王子殿下からで、内容は自分とその連れのメイドを、しばらくの間、この邸に置いてほしいということ、そして、自分は犬嫌いだから、犬を屋敷内で放し飼いさせないようにと書かれていた。
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