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30 何を考えているんでしょうか
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この話は外出中のロード様にも伝えられ、ロード様は予定をキャンセルして屋敷に帰ってきてくれた。
「大丈夫か!?」
屋敷に入ってくるなり、ロード様はエントランスホールで出迎えていた私たちのところへ駆け寄ってきた。
「ワン!」
ハヤテくんが「おかえりなさい!」といった感じで元気に吠える。
「ハヤテ、ごめんな。怖かっただろう?」
「うぅ~」
ハヤテくんはロード様の言葉に応えるように鳴いて、ロード様の手や服に自分の顔を押し付けた。
さっきまではおやつをもらって元気そうにしていたけれど、ロード様の顔を見て恐怖を思い出したのか「あんなに怖い思いをしたのに、どうしてもっと早くに帰ってきてくれなかったの?」と言っているようにも見えた。
私にはこんな姿を見せてくれなかったから、やっぱり、ハヤテくんにとってのご主人はロード様なのね。
それって当たり前のことなんだけれど、ちょっと寂しく感じてしまう気持ちと、やっぱりそうよね、と納得してしまう気持ちとがあって両方だ。
そんな複雑な私の思いを感じ取ってくれたのか、メルちゃんが私の足に顔を寄せてくれた。
「ありがとう。メルちゃんは本当に優しいわね」
頭を撫でると、メルちゃんはふさふさと尻尾を振った。
*****
ロード様と側近の手によって、今回の詳しい話を調べた結果、ハヤテくんを捕まえようとした男性たちが全員、腕のある庭師であることは確認できた。
そんな彼らの一人にルシエフ邸での仕事が決まってから、ある男性が近づいてきて、こう話しかけてきたのだと言う。
『ルシエフ邸に飼われている犬を連れてこれたら高い値段を払う』
高い値段はいくらかと尋ねると、かなりの金額だった。
その金額を聞いた庭師は、協力してもらうために知り合いの仲間たちに連絡した。
犬がいなくなっても放し飼いにされているのであれば、勝手に外へ出ていってしまったと思ってくれるかもしれないという甘い考えが浮かんでしまったのだそうだ。
庭師たちはとても反省しているということで、今回の処分は保留にしたけれど、今回の庭の手入れについては無報酬とした。
このこともいけないことではあったけれど、ロード様たちが一番の問題視としたのは、騎士の警備体制だった。
庭師として庭園内に入っているので、敷地内に入らせたことは許されても、簡単に邸内に入りこまれた上に、好き勝手させていたことが問題だった。
この中に本当の賊が紛れ込んでいたら、ハヤテくんだけじゃなく、私や使用人たちにも危険があった。
しかも、調整すれば騎士の人数を増やせたにもかかわらず、毎日が平穏なため、人数が少なくても何とかなるだろうという、今日のチームリーダの甘い考えが原因だった。
そのチームリーダーは変更されたけれど、騎士団長たちには二度目はないとの警告だけで済んだ。
何でもかんでも連帯責任で処分すべきものではないと考えたみたい。
「気になるのがハヤテをさらうように言ったという男性なんだが、風体を聞いてみると、ジーギスに似ているんだよな」
「行方不明になっていると聞きましたけど、もし、そうだったとしたら、一体、何を考えているんでしょうか」
ジーギス様の考えていることは本当にわからない。
だけど、引き続き、気を引き締めていかなければならないと思った。
「大丈夫か!?」
屋敷に入ってくるなり、ロード様はエントランスホールで出迎えていた私たちのところへ駆け寄ってきた。
「ワン!」
ハヤテくんが「おかえりなさい!」といった感じで元気に吠える。
「ハヤテ、ごめんな。怖かっただろう?」
「うぅ~」
ハヤテくんはロード様の言葉に応えるように鳴いて、ロード様の手や服に自分の顔を押し付けた。
さっきまではおやつをもらって元気そうにしていたけれど、ロード様の顔を見て恐怖を思い出したのか「あんなに怖い思いをしたのに、どうしてもっと早くに帰ってきてくれなかったの?」と言っているようにも見えた。
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それって当たり前のことなんだけれど、ちょっと寂しく感じてしまう気持ちと、やっぱりそうよね、と納得してしまう気持ちとがあって両方だ。
そんな複雑な私の思いを感じ取ってくれたのか、メルちゃんが私の足に顔を寄せてくれた。
「ありがとう。メルちゃんは本当に優しいわね」
頭を撫でると、メルちゃんはふさふさと尻尾を振った。
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その金額を聞いた庭師は、協力してもらうために知り合いの仲間たちに連絡した。
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庭師たちはとても反省しているということで、今回の処分は保留にしたけれど、今回の庭の手入れについては無報酬とした。
このこともいけないことではあったけれど、ロード様たちが一番の問題視としたのは、騎士の警備体制だった。
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だけど、引き続き、気を引き締めていかなければならないと思った。
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