【完結】お姉様ごめんなさい。幸せになったのは私でした

風見ゆうみ

文字の大きさ
33 / 34

31  姉の終わり ② (シルフィーナSide)

しおりを挟む
 ファリアーナを連れてくることになっている部屋は、シルフィーナたちが待機している隣の部屋だった。
 隣の部屋で物音が聞こえ始めると、シルフィーナの表情がどんどん緩んでいく。

 そこへ、ブーディカがやって来た。

「誰かに様子を見させるのかと思ったが、本当に来たんだな」
「シルフィーナが見たいと言ってきかなかったんですよ」
「そうだったのか」

 疲れ切った様子のブーディカを見て、キッファンは、これからも彼を使って好き勝手しようと考えた。

「シルフィーナと言ったな」
「そうです」
「君の望みは何だ?」
「ファリアーナよりも幸せになることです。でも、今の私ではそれができない。だから、彼女に落ちてもらうんです」
「妹だろう? なぜ、そこまで憎む?」

 なぜ、この人にそんなことを答えなければいけないかと一瞬考えたが、今日のシルフィーナは機嫌が良かった。

「彼女が私の妹だからです。長男が優先されるように長女も優先すべきです。出来の悪い妹が私よりも幸せになるなんてありえません」
「……そうか。そんな………理由か」

 ブーディカはシルフィーナに聞こえないよう小さな声で「くだらない」と呟く。それと同時に「きゃっ! いやっ!」とファリアーナの叫ぶ声が聞こえてきた。

「始まったわ!」

 シルフィーナは部屋から出て、隣の部屋の扉に耳を押し当てる。

「は、離してくださいっ!」
「おとなしくしろ!」

 部屋の中から言い争う声が聞こえてきた。ファリアーナが必死に抵抗しているのかと思うと、シルフィーナは笑みがこぼれるのを抑えられなかった。

「君は本当に最低な人間なんだな」

 ブーディカはシルフィーナを憐れんだ目で見つめて言った。

「ファリアーナみたいな人間は姉と妹の関係じゃなくても、私にとっては下等な人間よ! 絶対に幸せになんてしてやらない!」

 シルフィーナが目を血走らせて叫んだ時、廊下に現れた人物がいた。それはアシュの父親であるレイン公爵だった。

 どうしてアシュではないのかと不思議に思いつつも、これはチャンスだとシルフィーナは訴える。

「レイン公爵! 大変です! 私の妹が浮気をしているんです!」
「……体調が悪いと連絡を受けたんだが?」
「そういうふりをしただけです! 今、まさに浮気の真っ最中ですよ!」

 キッファンも一緒になって言うと、扉が開かれ、若い男が顔を出した。

「何か御用ですか?」
「レイン公爵! 中に入りましょう!」

 シルフィーナは男を押しのけて部屋に入り、ベッドの上で寝転んでいる二人を指さしながら、レイン公爵に顔を向ける。

「見てください! ファリアーナが男性と浮気をしています!」
「浮気? 何を言っているんだ?」

 レイン公爵はわざとらしくため息を吐いて、シルフィーナに話を続けた。

「そこにいるのは息子夫婦なんだが?」
「……え?」

 シルフィーナとキッファンが慌てて、ベッドの上にいる二人に目を向けた。

 視線の先には身を寄せ合い、シルフィーナたちを睨んでいる、ファリアーナとアシュの姿があった。


 
しおりを挟む
感想 79

あなたにおすすめの小説

兄のお嫁さんに嫌がらせをされるので、全てを暴露しようと思います

きんもくせい
恋愛
リルベール侯爵家に嫁いできた子爵令嬢、ナタリーは、最初は純朴そうな少女だった。積極的に雑事をこなし、兄と仲睦まじく話す彼女は、徐々に家族に受け入れられ、気に入られていく。しかし、主人公のソフィアに対しては冷たく、嫌がらせばかりをしてくる。初めは些細なものだったが、それらのいじめは日々悪化していき、痺れを切らしたソフィアは、両家の食事会で……

【完結】お世話になりました

⚪︎
恋愛
わたしがいなくなっても、きっとあなたは気付きもしないでしょう。 ✴︎書き上げ済み。 お話が合わない場合は静かに閉じてください。

【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに

おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」 結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。 「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」 「え?」 驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。 ◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話 ◇元サヤではありません ◇全56話完結予定

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

溺愛されていると信じておりました──が。もう、どうでもいいです。

ふまさ
恋愛
 いつものように屋敷まで迎えにきてくれた、幼馴染みであり、婚約者でもある伯爵令息──ミックに、フィオナが微笑む。 「おはよう、ミック。毎朝迎えに来なくても、学園ですぐに会えるのに」 「駄目だよ。もし学園に向かう途中できみに何かあったら、ぼくは悔やんでも悔やみきれない。傍にいれば、いつでも守ってあげられるからね」  ミックがフィオナを抱き締める。それはそれは、愛おしそうに。その様子に、フィオナの両親が見守るように穏やかに笑う。  ──対して。  傍に控える使用人たちに、笑顔はなかった。

【完結】あの子の代わり

野村にれ
恋愛
突然、しばらく会っていなかった従姉妹の婚約者と、 婚約するように言われたベルアンジュ・ソアリ。 ソアリ伯爵家は持病を持つ妹・キャリーヌを中心に回っている。 18歳のベルアンジュに婚約者がいないのも、 キャリーヌにいないからという理由だったが、 今回は両親も断ることが出来なかった。 この婚約でベルアンジュの人生は回り始める。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

実兄の嘘で悪女にされた気の毒な令嬢は、王子に捨てられました

恋せよ恋
恋愛
「お前が泣いて縋ったから、この婚約を結んでやったんだ」 婚約者である第一王子エイドリアンから放たれたのは、 身に覚えのない侮蔑の言葉だった。 10歳のあの日、彼が私に一目惚れして跪いたはずの婚約。 だが、兄ヘンリーは、隣国の魔性の王女フローレンスに毒され、 妹の私を「嘘つきの悪女」だと切り捨てた。 婚約者も、兄も、居場所も、すべてを奪われた私、ティファニー16歳。 学園中で嘲笑われ、絶望の淵に立たされた私の手を取ったのは、 フローレンス王女の影に隠れていた隣国の孤高な騎士チャールズだった。 「私は知っています。あなたが誰よりも気高く、美しいことを」 彼だけは、私の掌に刻まれた「真実の傷」を見てくれた。 捨てられた侯爵令嬢は、裏切った男たちをどん底へ叩き落とす! 痛快ラブ×復讐劇、ティファニーの逆襲が始まる! 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

処理中です...