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30 姉の終わり ① (シルフィーナSide)
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ブーディカが指定した日時は、日没前の高級の宿屋だった。プライバシーが守られるため、高位貴族が愛人を連れ込んだりすることも可能だ。
ブーディカはキッファンにこんな話をした。
近々、ファリアーナが高級の宿屋と併設しているレストランに食事に行くことがわかったので、その際の食事に薬を入れるということ。眠ってしまったファリアーナを宿屋の一室に運び、雇った男にファリアーナ手ごめにさせるのはどうかと提案していた。
キッファンがその話をシルフィーナにしたところ、ファリアーナが不幸になる瞬間をどうしても見たいシルフィーナはこう言った。
「それなら、そこにアシュ様もお呼びしましょう。そして、ファリアーナが男性と自ら部屋に入ったと証言するの」
「そんなことをしたら、僕たちが関与しているのがバレるんじゃないか?」
「こんな時のための王弟殿下でしょう? 何とか誤魔化してもらいましょう」
シルフィーナは後ろ盾が王弟ということで、気が大きくなっていた。
このシルフィーナたちの考えは、ファリアーナたちにとっては予想外だったが好都合でもあった。
そして、ブーディカもこの連絡を受け、覚悟を決めて今回の計画を実行することにしたのだった。
◆◇◆◇◆◇
決行日当日、ファリアーナはサシャと一緒に例のレストランにいた。サシャにも王弟についての話以外は今回の計画を話し、協力してもらうことになった。
ブーディカが手配をしていないので、実際は薬など入れられていないのだが、ファリアーナは薬が効いて眠くなったふりをした。
そこへ、ウエイターに扮した男が話しかけ、ファリアーナを宿の一室に休ませるように提案した。
普通ならばサシャとしては、彼女に付いておき、アシュには宿屋側、もしくは自分の侍女やフットマンなどにお願いして連絡するものだが、今回は違った。
わざとファリアーナを1人にし、アシュを呼んでくると言って馬車を走らせた。
その姿を見たシルフィーナはほくそ笑んだ。
「神様は私に味方しているわ。ファリアーナだけ幸せになるなんて、絶対に許せない。知らない男に好きなようにされて、アシュ様に捨てられればいい」
「女ってのは怖いねぇ」
キッファンが肩を竦めると、シルフィーナは微笑む。
「これくらいの神経じゃないと生きていけないの。それにしても、イクフェ侯爵令嬢をどう退けようか考えていたけど、アシュ様を呼びに行ってくれて助かったわ」
「危険を感じたんじゃないか? しつこく拒むようなら、彼女も巻き添えにしなければならなかったんだから」
キッファンはイクフェ侯爵家には恨みがあった。それは自分たちが馬鹿なことをしたからなのに、それを認める気はない。そして、彼女を痛めつけることに躊躇の気持ちもない。
「他の男に穢されたファリアーナを見た時、アシュ様はどんな反応をするのか、今から楽しみだわ!」
シルフィーナは目を輝かせて言った。
実際はすでにアシュはこの宿屋にいるのだが、ブーディカが裏切るなど、微塵も考えていなかったシルフィーナたちにはその可能性を思いつくはずがなかった。
ブーディカはキッファンにこんな話をした。
近々、ファリアーナが高級の宿屋と併設しているレストランに食事に行くことがわかったので、その際の食事に薬を入れるということ。眠ってしまったファリアーナを宿屋の一室に運び、雇った男にファリアーナ手ごめにさせるのはどうかと提案していた。
キッファンがその話をシルフィーナにしたところ、ファリアーナが不幸になる瞬間をどうしても見たいシルフィーナはこう言った。
「それなら、そこにアシュ様もお呼びしましょう。そして、ファリアーナが男性と自ら部屋に入ったと証言するの」
「そんなことをしたら、僕たちが関与しているのがバレるんじゃないか?」
「こんな時のための王弟殿下でしょう? 何とか誤魔化してもらいましょう」
シルフィーナは後ろ盾が王弟ということで、気が大きくなっていた。
このシルフィーナたちの考えは、ファリアーナたちにとっては予想外だったが好都合でもあった。
そして、ブーディカもこの連絡を受け、覚悟を決めて今回の計画を実行することにしたのだった。
◆◇◆◇◆◇
決行日当日、ファリアーナはサシャと一緒に例のレストランにいた。サシャにも王弟についての話以外は今回の計画を話し、協力してもらうことになった。
ブーディカが手配をしていないので、実際は薬など入れられていないのだが、ファリアーナは薬が効いて眠くなったふりをした。
そこへ、ウエイターに扮した男が話しかけ、ファリアーナを宿の一室に休ませるように提案した。
普通ならばサシャとしては、彼女に付いておき、アシュには宿屋側、もしくは自分の侍女やフットマンなどにお願いして連絡するものだが、今回は違った。
わざとファリアーナを1人にし、アシュを呼んでくると言って馬車を走らせた。
その姿を見たシルフィーナはほくそ笑んだ。
「神様は私に味方しているわ。ファリアーナだけ幸せになるなんて、絶対に許せない。知らない男に好きなようにされて、アシュ様に捨てられればいい」
「女ってのは怖いねぇ」
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「これくらいの神経じゃないと生きていけないの。それにしても、イクフェ侯爵令嬢をどう退けようか考えていたけど、アシュ様を呼びに行ってくれて助かったわ」
「危険を感じたんじゃないか? しつこく拒むようなら、彼女も巻き添えにしなければならなかったんだから」
キッファンはイクフェ侯爵家には恨みがあった。それは自分たちが馬鹿なことをしたからなのに、それを認める気はない。そして、彼女を痛めつけることに躊躇の気持ちもない。
「他の男に穢されたファリアーナを見た時、アシュ様はどんな反応をするのか、今から楽しみだわ!」
シルフィーナは目を輝かせて言った。
実際はすでにアシュはこの宿屋にいるのだが、ブーディカが裏切るなど、微塵も考えていなかったシルフィーナたちにはその可能性を思いつくはずがなかった。
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