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5 不機嫌な公爵令息 ①
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浮気を問い詰めた日から、トータムだけでなくメイドたちの私への態度も冷たいものになった。
特に酷かったのはフララさんの友人だというメイドたちだった。
「義妹に寝取られるなんてやばぁ!」
「しかも、浮気だって認めてもらえないんだって! まあ仕方ないよね。だってブスだもん。フララはめちゃくちゃ可愛いし、浮気したくなる気持ちわかる!」
「浮気だって騒ぎ立てても絶対に味方しないでおこうね!」
私の部屋の前の廊下で、わざと大きな声で悪口を話すのが彼女たちの日課になった。
就職先のなかった彼女たちに職を斡旋したのがフララさんだから、彼女には恩義を感じているのでしょう。
その前に自分たちが就職できなかった理由を考えるべきだと言ってやりたいが、今は我慢しておく。
義母のウララ様は「夫を信じられない妻にはお仕置きをしなければならないわ!」と言い、私をトータムのいない日の数時間だけ、庭にある納屋に閉じ込めるようになった。
ずっとじゃないのは、私に侯爵家の仕事をやってもらわなければならないからだ。
いじめも閉じ込められることも、これくらい、どうってことはない。
木造の納屋には窓はなく、庭を手入れするための梯子やスコップなどがところ狭しと置かれており、人ひとりが入れるスペースくらいしかない。
その狭い空間は、私にとって落ち着くものでもあった。
私がファルナ様と仲が良いことを知っているのはトータムだけ。今の彼はそんなことに気が回らないし、メイドも義母も彼の前では良い子にしているから、トータムも彼女たちに私に馬鹿なことをするなと忠告する考えはないでしょう。
色々なことを公にしても良くなった時、メイドたちはメイドとしてどこにも雇ってもらえなくなるでしょうし、トータムたちの社会的地位はないに等しくなるはずだ。
トータムは『義妹との関係は浮気じゃない。同じ部屋で眠るのは家族だからおかしくない』と訴える。
納得できないから離婚してくれと言うと、彼は『僕の妻は君だけだ。機嫌を直してくれよ』とすり寄ってくる。
こういうタイプを許しても意味がないと、何かの本で読んだことを思い出し、余計にトータムへの愛は冷めていった。
トータムは浮気を指摘したアリム様にも浮気を否定しているらしいが、公爵邸は利用できなくなった。
今は新事業の下見だと言って堂々とデートを繰り返しているそうだ。
トータムが私と離婚してフララさんと再婚しようとしないのは血縁関係はなくても、家族だと思っているからでしょう。
生前の義父や役所に確認したところ、フララさんは義父との養子縁組をしていない。
そのことをトータムたちは知らない。
世界には相続税が発生する国があるが、私たちの住んでいる国、フォイール王国には存在しない。
それに、義父の場合は遺言書があったため、ウララ様とトータムが目録を確認しながら半分に分けた。だから、フララさんに相続する権利の有無を確認しなかったのだ。
この話をしてしまえば、私はすぐに離婚できるかもしれない。でも、それでは彼らをただ幸せにしてしまうだけだ。
家族とうまくいっていない私に帰る場所はない。それなら住む家や働く場所の確保が必要だ。
住む家の下見に行きたいが、ウララ様のせいで中々外に出ることができない。どんな理由をつければ怪しまれずに外出できるか考えていた時、納屋の外が騒がしくなった。
「初めて見たけど怖かったあ!」
「怖かったけど噂通り、整った顔立ちだったよねぇ。めちゃくちゃカッコ良かったぁ!」
「でもさ、こいつになんの用事なんだろ」
フララさんの友人であるメイドたちは話しながら、閂式の鍵がかけられている納屋の扉を開けた。
「ミアリナ様、お客様ですよ~!」
「お客様? どなたなの?」
急に明るくなった視界に目を細めて聞き返すと、メイドたちはニヤニヤ笑いながら答える。
「見たらわかりますよ」
「すごく偉い人でぇす。ミアリナ様、一体、どんな悪いことをしたんですかぁ?」
「誰が来たのかと聞いてるの!」
「ラフリード・ジゼル」
私の質問にに答えたのは、ジゼル公爵家の長男、ラフリード様だった。
特に酷かったのはフララさんの友人だというメイドたちだった。
「義妹に寝取られるなんてやばぁ!」
「しかも、浮気だって認めてもらえないんだって! まあ仕方ないよね。だってブスだもん。フララはめちゃくちゃ可愛いし、浮気したくなる気持ちわかる!」
「浮気だって騒ぎ立てても絶対に味方しないでおこうね!」
私の部屋の前の廊下で、わざと大きな声で悪口を話すのが彼女たちの日課になった。
就職先のなかった彼女たちに職を斡旋したのがフララさんだから、彼女には恩義を感じているのでしょう。
その前に自分たちが就職できなかった理由を考えるべきだと言ってやりたいが、今は我慢しておく。
義母のウララ様は「夫を信じられない妻にはお仕置きをしなければならないわ!」と言い、私をトータムのいない日の数時間だけ、庭にある納屋に閉じ込めるようになった。
ずっとじゃないのは、私に侯爵家の仕事をやってもらわなければならないからだ。
いじめも閉じ込められることも、これくらい、どうってことはない。
木造の納屋には窓はなく、庭を手入れするための梯子やスコップなどがところ狭しと置かれており、人ひとりが入れるスペースくらいしかない。
その狭い空間は、私にとって落ち着くものでもあった。
私がファルナ様と仲が良いことを知っているのはトータムだけ。今の彼はそんなことに気が回らないし、メイドも義母も彼の前では良い子にしているから、トータムも彼女たちに私に馬鹿なことをするなと忠告する考えはないでしょう。
色々なことを公にしても良くなった時、メイドたちはメイドとしてどこにも雇ってもらえなくなるでしょうし、トータムたちの社会的地位はないに等しくなるはずだ。
トータムは『義妹との関係は浮気じゃない。同じ部屋で眠るのは家族だからおかしくない』と訴える。
納得できないから離婚してくれと言うと、彼は『僕の妻は君だけだ。機嫌を直してくれよ』とすり寄ってくる。
こういうタイプを許しても意味がないと、何かの本で読んだことを思い出し、余計にトータムへの愛は冷めていった。
トータムは浮気を指摘したアリム様にも浮気を否定しているらしいが、公爵邸は利用できなくなった。
今は新事業の下見だと言って堂々とデートを繰り返しているそうだ。
トータムが私と離婚してフララさんと再婚しようとしないのは血縁関係はなくても、家族だと思っているからでしょう。
生前の義父や役所に確認したところ、フララさんは義父との養子縁組をしていない。
そのことをトータムたちは知らない。
世界には相続税が発生する国があるが、私たちの住んでいる国、フォイール王国には存在しない。
それに、義父の場合は遺言書があったため、ウララ様とトータムが目録を確認しながら半分に分けた。だから、フララさんに相続する権利の有無を確認しなかったのだ。
この話をしてしまえば、私はすぐに離婚できるかもしれない。でも、それでは彼らをただ幸せにしてしまうだけだ。
家族とうまくいっていない私に帰る場所はない。それなら住む家や働く場所の確保が必要だ。
住む家の下見に行きたいが、ウララ様のせいで中々外に出ることができない。どんな理由をつければ怪しまれずに外出できるか考えていた時、納屋の外が騒がしくなった。
「初めて見たけど怖かったあ!」
「怖かったけど噂通り、整った顔立ちだったよねぇ。めちゃくちゃカッコ良かったぁ!」
「でもさ、こいつになんの用事なんだろ」
フララさんの友人であるメイドたちは話しながら、閂式の鍵がかけられている納屋の扉を開けた。
「ミアリナ様、お客様ですよ~!」
「お客様? どなたなの?」
急に明るくなった視界に目を細めて聞き返すと、メイドたちはニヤニヤ笑いながら答える。
「見たらわかりますよ」
「すごく偉い人でぇす。ミアリナ様、一体、どんな悪いことをしたんですかぁ?」
「誰が来たのかと聞いてるの!」
「ラフリード・ジゼル」
私の質問にに答えたのは、ジゼル公爵家の長男、ラフリード様だった。
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