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37 新しい生活と夫の後悔 ⑤ ※視点変更あり
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※トータム視点の続きになります。
ミアリナがあのブローチにこだわっていたことや、母さんたちが大事にしていたことは確かだけど、たかがブローチだぞ。
そんなに怒ることでもないじゃないか!
「……そうですね。形見は他にもありますし、それをミアリナに渡そうと思ったんです」
「……父の形見は?」
「はい?」
「遺言状でお前の父はミアリナにブローチを渡すと書いていた」
「父の形見も他にありますから!」
「他のものはお前の継母が売り払ったと聞いたが?」
王妃陛下は冷ややかな目で僕を見つめる。明らかに馬鹿にされているし、王妃陛下は僕が何を言っても許す気はないように思える。
どうしたらいいんだ!?
それにしても、どうして王妃陛下がこんなに詳しく知っているんだろうか。
ミアリナか! ミアリナが王妃陛下に話したのか!? いや、彼女は王妃陛下と話すことができる身分じゃない。
……ということは。
「……ラフリード様から詳しい話を聞かれたのですか?」
「先に質問をしているのはこっちだ。質問したいなら答えてからにしろ」
ぎろりと睨まれて、僕の怒りの感情は一気に消え失せて冷静になれた。
やはり、王妃陛下だな。貫禄が違いすぎる。
「継母が父のものを売ったことについては、私が抗議するべきでした。ただ、ミアリナには両親との思い出があります。ですから、物がなくとも良いと思ったのです」
「その答えだと、お前の両親との思い出がない義妹にブローチをあげる意味がわからない」
「フララは父とは面識があります!」
「故人の希望を無視してまで、義妹に渡そうとする理由にはならん」
「わ……、私の中ではその……」
「もういい」
王妃陛下は不機嫌そうに言うと、傍らに置いていた扇を手に持ち、仰ぎながら続ける。
「お前の質問はラフリードから話を聞いたのか、だったな」
「はい! 妻はラフリード様と親しくしていたようで、もしかすると二人は」
「ラフリードではない。ファルナから話を聞いた」
「……あ、ああ……、そうですか」
そうだった。ミアリナはファルナ様と仲が良かった。ジゼル公爵家に行っていたことだって、アリムがファルナ様に話して、そこから伝わったんだ。
ファルナ様は公爵令嬢だから、王妃陛下と話そうと思えば時間をとってもらうことは可能だろう。
ミアリナ……、ファルナ様に話すなんて、どうしてそんな酷いことをするんだ? 君のせいで僕は王妃陛下に責められているじゃないか! 妻としてのやるべきことじゃない。
「本題に入るが、お前は命を狙われている。継母には気をつけろ」
「母が僕の命を狙うなんてありえません」
何を言っているんだろう。
苦笑して否定すると、王妃陛下は立ち上がり、扇の先を僕の鼻に突きつける。
「いいか。まじめに聞け。私は冗談など言っていない」
「も、も、申し訳ございません!」
「悪いと思うなら、自分の身を守れ」
「承知いたしました!」
何を言っているのかわからない。母が俺の命を狙っているなんて馬鹿馬鹿しい。
困惑していると、王妃陛下はソファに座り直して口を開く。
「それから、もう一つ私の質問に答えてほしい」
「……なんでしょうか」
「ミアリナは別れたがっているが、お前が承諾しないと聞いた。どうしてそんな嫌がらせをする?」
「嫌がらせではありません! 僕はミアリナを大事に思っています! 彼女は僕と義妹の仲を誤解しています。話し合ってやり直すつもりなんです」
「大事に……ねぇ」
王妃陛下は鼻で笑うと、ベルを鳴らしてメイドを呼んだ。そして、数枚の紙を持ってこさせると、テーブルの上に放り投げた。
「離婚してもらえない時のために、ミアリナが奥の手として用意した報告書だ。この内容を読む限り、お前は妻をないがしろにし、義妹と遊び呆けている愚かな男としか思えない」
僕は報告書と書かれた紙を手に取り、内容に目を通した。
そこには僕がフララと出かけた日時や場所、目撃者の証言などが事細かに整理されて書かれていた。
ミアリナ……。
こんなものを王妃陛下に見せるなんて、僕は終わりじゃないか……!
******
トータムの様子は私たちがいる部屋からは見えないが、会話の内容ははっきりと聞こえてきていた。
「報告書なんて用意していたんですのね」
小声で話しかけてきたファルナ様に頷く。
「離婚を認めないのなら、このことを新聞にリークすると脅そうと思っていました。そんなことを考えるなんて私は酷い女でしょう?」
苦笑すると、ファルナ様は首を横に振る。
「それくらいしないと聞かない相手ですわ」
報告書を王妃陛下に見せたほうが良いと背中を押してくれたのはラフリード様だ。
我慢して過ごしていた日々のうちに、人を使って調べていたことを、ラフリード様には伝えていたからだ。
王妃陛下は先ほど目を通したばかりだが、かなりご立腹だった。
それにしても、トータムのブローチへの言い訳は酷いものだった。浮気や離婚しないことについては、なんと言い訳するつもりかしら。
ミアリナがあのブローチにこだわっていたことや、母さんたちが大事にしていたことは確かだけど、たかがブローチだぞ。
そんなに怒ることでもないじゃないか!
「……そうですね。形見は他にもありますし、それをミアリナに渡そうと思ったんです」
「……父の形見は?」
「はい?」
「遺言状でお前の父はミアリナにブローチを渡すと書いていた」
「父の形見も他にありますから!」
「他のものはお前の継母が売り払ったと聞いたが?」
王妃陛下は冷ややかな目で僕を見つめる。明らかに馬鹿にされているし、王妃陛下は僕が何を言っても許す気はないように思える。
どうしたらいいんだ!?
それにしても、どうして王妃陛下がこんなに詳しく知っているんだろうか。
ミアリナか! ミアリナが王妃陛下に話したのか!? いや、彼女は王妃陛下と話すことができる身分じゃない。
……ということは。
「……ラフリード様から詳しい話を聞かれたのですか?」
「先に質問をしているのはこっちだ。質問したいなら答えてからにしろ」
ぎろりと睨まれて、僕の怒りの感情は一気に消え失せて冷静になれた。
やはり、王妃陛下だな。貫禄が違いすぎる。
「継母が父のものを売ったことについては、私が抗議するべきでした。ただ、ミアリナには両親との思い出があります。ですから、物がなくとも良いと思ったのです」
「その答えだと、お前の両親との思い出がない義妹にブローチをあげる意味がわからない」
「フララは父とは面識があります!」
「故人の希望を無視してまで、義妹に渡そうとする理由にはならん」
「わ……、私の中ではその……」
「もういい」
王妃陛下は不機嫌そうに言うと、傍らに置いていた扇を手に持ち、仰ぎながら続ける。
「お前の質問はラフリードから話を聞いたのか、だったな」
「はい! 妻はラフリード様と親しくしていたようで、もしかすると二人は」
「ラフリードではない。ファルナから話を聞いた」
「……あ、ああ……、そうですか」
そうだった。ミアリナはファルナ様と仲が良かった。ジゼル公爵家に行っていたことだって、アリムがファルナ様に話して、そこから伝わったんだ。
ファルナ様は公爵令嬢だから、王妃陛下と話そうと思えば時間をとってもらうことは可能だろう。
ミアリナ……、ファルナ様に話すなんて、どうしてそんな酷いことをするんだ? 君のせいで僕は王妃陛下に責められているじゃないか! 妻としてのやるべきことじゃない。
「本題に入るが、お前は命を狙われている。継母には気をつけろ」
「母が僕の命を狙うなんてありえません」
何を言っているんだろう。
苦笑して否定すると、王妃陛下は立ち上がり、扇の先を僕の鼻に突きつける。
「いいか。まじめに聞け。私は冗談など言っていない」
「も、も、申し訳ございません!」
「悪いと思うなら、自分の身を守れ」
「承知いたしました!」
何を言っているのかわからない。母が俺の命を狙っているなんて馬鹿馬鹿しい。
困惑していると、王妃陛下はソファに座り直して口を開く。
「それから、もう一つ私の質問に答えてほしい」
「……なんでしょうか」
「ミアリナは別れたがっているが、お前が承諾しないと聞いた。どうしてそんな嫌がらせをする?」
「嫌がらせではありません! 僕はミアリナを大事に思っています! 彼女は僕と義妹の仲を誤解しています。話し合ってやり直すつもりなんです」
「大事に……ねぇ」
王妃陛下は鼻で笑うと、ベルを鳴らしてメイドを呼んだ。そして、数枚の紙を持ってこさせると、テーブルの上に放り投げた。
「離婚してもらえない時のために、ミアリナが奥の手として用意した報告書だ。この内容を読む限り、お前は妻をないがしろにし、義妹と遊び呆けている愚かな男としか思えない」
僕は報告書と書かれた紙を手に取り、内容に目を通した。
そこには僕がフララと出かけた日時や場所、目撃者の証言などが事細かに整理されて書かれていた。
ミアリナ……。
こんなものを王妃陛下に見せるなんて、僕は終わりじゃないか……!
******
トータムの様子は私たちがいる部屋からは見えないが、会話の内容ははっきりと聞こえてきていた。
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苦笑すると、ファルナ様は首を横に振る。
「それくらいしないと聞かない相手ですわ」
報告書を王妃陛下に見せたほうが良いと背中を押してくれたのはラフリード様だ。
我慢して過ごしていた日々のうちに、人を使って調べていたことを、ラフリード様には伝えていたからだ。
王妃陛下は先ほど目を通したばかりだが、かなりご立腹だった。
それにしても、トータムのブローチへの言い訳は酷いものだった。浮気や離婚しないことについては、なんと言い訳するつもりかしら。
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