王太子妃クラリスと王子たちの絆【完】

mako

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王妃の裁きとパナン王太子の降伏

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項垂れるエリザベスに、容赦なくフリードリヒが告げる。

『極刑は免れないよ?』

驚愕する一同の中、王妃が側近に合図を送ると、両開きの扉が静かに開かれる。
その先には、パナン王国の王太子と側近たちが最上級の礼を取り、国王の前に跪いていた。

あれほどプライドの高い王太子が跪く光景に、王子たちは目を丸くする。
フリードリヒは不思議そうに王妃を見やる。

『お兄様…』

泣き崩れるエリザベスに目もくれず、王太子は低く言った。

『此度の件、誠に申し訳ありません。何卒穏便に。必要ならば、エリザベスの首を差し出します故』

『お兄様!』

叫ぶエリザベスを衛兵が取り押さえると、王太子の声が会場に響き渡る。

『黙れ!お前にパナン王国王女としてのプライドはないのか!己のやらかしたことの責任も取れぬのか!愚か者!』

気性の荒い王太子の言葉に、会場は張り詰める。

王妃は冷静なまま、淡々と告げた。

『貴方がた、そんなくだらないやり取りは他でやってください。
ところで、パナン王太子殿下?
今回の件、この者の首だけで済ませるつもりですの?』

…首だけで済むって?

王太子はうつむきながらも、毅然と答える。

『まずランズ王国王太子妃の地位を狙うため、関係のないスラムのお嬢さんまで巻き込む…。
そこまでして王太子妃にこだわるなんて、他国に知れたらとんだ恥さらし。
権威ある王族が、スラムの者を使うなんて…恥も外聞も、ねえ?』

…怖すぎる。

フリードリヒは母を見上げる。

『そしてこれが最大の罪。極刑に値する。王太子妃に堕胎薬を盛るなんて、貴方の国なら「ごめんなさい」で済むのですか?
仮に、貴方の妃が同じ目に遭っていたら?』

王太子は唇を噛み締める。

『極刑です』

『それで満足ですか?私は到底無理。最愛の息子の子ですのよ。私の孫になるのです。
ランズ王国の後継者としても許されませんが、それ以上に、息子の子を殺されていたとなれば――八つ裂きにしても足りませんわ』

エリザベスは目を見開き、昨日までの優雅な王妃の姿と今の冷徹な王妃を見比べる。

『勘違いしないで、エリザベス。貴女が嘘つきなのは知っている。でも、最愛の息子のお嫁さんを傷つけたことは、貴女の命より重いのよ』



『そうね、フリード。どうする?』

突然飛んできた矢に、フリードリヒは驚きつつも冷静に返す。

『まず慰謝料として、ラダン王国の借金で補填してもらいましょうか?』

王太子は言葉を失い、クラリスも驚く。
後ろに控えるテオドールを見ると、テオドールは真顔で首を横に振る。

王妃は微笑みながら続ける。

『我が国はお金に困っていませんもの。ラダンにはお世話になっているし、名案ね。
ついでにあのイチャモンつけてる金山の所有権からも手を引いて頂く。
そうすれば、嘘つき王女の首なんて必要ないわ!
仮にも私の大切なアルフレッドの妻として名を馳せていたのだから。
これが世に知られたら、アルフレッドの今後にも関わることよ』

…キャラ崩壊しそうな王妃だ。

クラリスは王妃を凝視する。
すると王妃はクラリスに向かって、お茶目に舌を出した。

パナン王国王太子は全てを受け入れ、エリザベスを連れて早々に王宮を後にした。

その様子を見届けると、フリードリヒは静かにリザに視線を向けた。
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