俺を好きになるな、お前を愛していない、極道の目覚めた独占欲

第四章 狙われた加子

⑥

愛華さん、この間のキャバ嬢の女の人だ。

加子は食事が無駄になったとしょぼんとしていた。

若林はキッチンのテーブルの上の料理に気づいて、社長のために

食事を作って待っていた加子を、なんて健気なんだと心惹かれた。

「若林さん、もしよければ、食事を一緒にどうですか」

「いや、でも……」

「どうぞ、一人じゃ食べられないし、捨てちゃうのもったいないですから」

「それでは頂きます」

加子はケンが教えてくれた、抗争に巻き込まれて命を落とした、

蓮也が愛した女の人のことを聞いてみることにした。

「あのう、ケンさんが教えてくれたんですが、蓮也さんの恋人ってどんな方だったんですか」

ケンの奴、余計なことを言いやがって……

「どんなって、そうですね、高野組のお嬢さんでした、気が強くて、
一本筋が通った、まっすぐな女性でした」

「そうですか」

「社長はあれ以来、お側に女性は置きませんでした」

若林は話しながら、スパゲッティを口にすると「美味いです」と言って、

食事を平らげた。