夜の帝王の一途な愛

ラヴ KAZU

文字の大きさ
9 / 100
第ニ章 彼の秘密

あゆみ、ごめんってどう言う意味?

しおりを挟む
この時、私は彼を失う事の怖さを感じた。
私より若いから、絶対私が残される事は無いと確信していたが、でも手の震えが止まらない、すごく取り乱していた。
涙が溢れて、どうしていいか分からない。
彼はそんな私を優しく抱きしめてくれた。
「あゆみ、大丈夫だから、あっそうだ、子供作れば一人にならないよ」
私は、彼の言葉を冗談として交わす余裕は無かった。
「私を絶対に一人にしないって約束してください」
私は泣きながら自分の気持ちをぶつけた。
大袈裟かもしれないが、この時嫌な予感が脳裏を掠めた。
「分かった、約束する」
彼は真面目な顔で答えてくれた。しかし、ふっと目を伏せて視線を反らした、その意味する事を分からずにいた。
 それから暫く、彼はこの間の様な様子は見せず、平穏な日々が流れた。
当たり前の毎日が嬉しくて、私は彼が寝てからそっと寝室へ行き、暫く彼の寝顔を見る事が日課になっていた。
安心したような彼の寝顔を見て、私も心のバランスが取れている感じがした。
 ある日、いつものように彼の寝室へ寝顔を見に行くと、苦しそうに顔を歪めていた。
彼が譫言の様に言った「あゆみ、ごめん」と、何?どういう事?
この時、彼は何かを隠していると悟った。
 次の日彼は仕事が休みで、夕方からデートをする事になった。
「何処か行きたいとこある?」
彼は楽しそうに私に話しかけた。


「病院へ行きましょう」
私は譫言の様に言った「あゆみ、ごめん」が気になっていた。
もしかして、病気なのかとずっと心配になっていた。
彼は驚いた様子で私を見つめた。
「あゆみ、具合悪いの?」
「違います、私じゃなくて」
私は慌てて言葉を探した。
なんて言えばいいの?夜中に麻生さんの寝室に入って寝顔見ていたら、譫言を言っていたなんて言えない。
「あゆみ、ごめん」ってどう言う意味ですかなんて聞けない。あ~どうしよう~。
「あゆみ、俺なら大丈夫だよ、心配しなくても」
彼は自分の心配をしてくれた私を気遣い、優しく抱きしめてくれた。
「ディズニーランド行く?」
大好きな彼とディズニーランド行けるなんて嬉しい反面なんか複雑な気持ちになった。
すごく人生を駆け抜けているように思えた。
一分一秒も惜しい感じで・・・
性格なのか、私はのんびりしている方だからゆっくり考える。
でも彼は、人生の時間が無いと言わんばかりに、次々と予定を入れて熟して行く。
この日の休みは、ディズニーランドへ出掛けた。
すごく楽しかった。
「今度の休みはドライブ行こう」
彼は全く後ろを振り向かないで走って行く。
私はもっとゆっくりと二人の時間を過ごしたかった。
この時彼の考えは全く分からなかった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない

彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。 酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。 「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」 そんなことを、言い出した。

灰かぶりの姉

吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。 「今日からあなたのお父さんと妹だよ」 そう言われたあの日から…。 * * * 『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。 国枝 那月×野口 航平の過去編です。

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

忘れられたら苦労しない

菅井群青
恋愛
結婚を考えていた彼氏に突然振られ、二年間引きずる女と同じく過去の恋に囚われている男が出会う。 似ている、私たち…… でもそれは全然違った……私なんかより彼の方が心を囚われたままだ。 別れた恋人を忘れられない女と、運命によって引き裂かれ突然亡くなった彼女の思い出の中で生きる男の物語 「……まだいいよ──会えたら……」 「え?」 あなたには忘れらない人が、いますか?──

愛のかたち

凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。 ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は…… 情けない男の不器用な愛。

アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

日下奈緒
恋愛
仕事の契約を打ち切られ、年末をあと1か月残して就職活動に入ったつむぎ。ある日街で車に轢かれそうになるところを助けて貰ったのだが、突然週末婚を持ち出され……

悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。 処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。 まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。 私一人処刑すれば済む話なのに。 それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。 目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。 私はただ、 貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。 貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、 ただ護りたかっただけ…。 だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ ゆるい設定です。  ❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。

小さな恋のトライアングル

葉月 まい
恋愛
OL × 課長 × 保育園児 わちゃわちゃ・ラブラブ・バチバチの三角関係 人づき合いが苦手な真美は ある日近所の保育園から 男の子と手を繋いで現れた課長を見かけ 親子だと勘違いする 小さな男の子、岳を中心に 三人のちょっと不思議で ほんわか温かい 恋の三角関係が始まった *✻:::✻*✻:::✻* 登場人物 *✻:::✻*✻:::✻* 望月 真美(25歳)… ITソリューション課 OL 五十嵐 潤(29歳)… ITソリューション課 課長 五十嵐 岳(4歳)… 潤の甥

処理中です...