23 / 100
第四章 君は誰?
一緒に暮らして欲しい
しおりを挟む
マンションに戻り、彼から衝撃的な言葉を伝えられた。
「申し訳ないですが、アパート借りて貰っていいですか、勿論俺が家賃払いますから」
「はい、わかりました」
分かっていたが、その言葉を彼から聞くと、動揺を隠しきれなかった。
私は自分でもびっくりする提案をしていた
「離婚届けも書かないといけないですね、それと・・・」
自分の左手の薬指の指輪に手を掛けた。
「もう、外しちゃ駄目だよ」
彼の言葉が走馬灯のように蘇ってきた。
溢れる涙をぐっと堪えて、私は指輪を外しそして、彼に返した。
しかし彼は受け取らず、少し時間が欲しいと言った。
「もし、あゆみさんが良ければ、離婚はちょっと待ってもらっていいですか」
「大丈夫です」
そして、私はアパートに引っ越して、彼と別々の生活を始めた。
アパートに引っ越してから、一週間が過ぎた、ある日の事、彼から電話があった。
「あゆみさん、申し訳ないけど、一年前と変わっていて、何が何処にあるか分からないから、ちょっと来てくれるかな~」
思いがけない彼からの呼び出しに、胸踊らせてマンションへ向かった。
「彼に会える」
マンションへ向かうと、部屋は酷く散らかっており、すごい状態だった。
「どうしたのですか?」
「何が何処にあるか分からなくて」
彼は頭を抱えて、どうしてよいか分からない様子だった。
「ネームシール貼っておきましょうか」
私が提案すると、彼は信じられない事を言ってきた。
「ここに戻って来てくれないかなあ」
「えっ?」
私は彼の言葉に暫く答えられずにいた。
「また、ここで一緒に暮らしてほしい、何が何処にあるかわからないから」
あっ、そういう事か、そうだよね、奇跡は二度起きないから。
でも、嬉しい、また彼の顔を毎日見られる
「はい」
私は一週間でアパートを引き払い、また彼のマンションへ引っ越した。
手術前の彼との生活とはちょっと違っていた。
色々な事を忘れてしまい、私がすべて管理する事になった。
「病院の診察の日、二週間後ですよ」
「そうだっけ?考えると頭痛くなっちゃうから、あゆみが把握しておいてくれる?」
「分かりました」
術後の彼は人が変わったように、以前のような自信は無く、笑顔も消えてしまった。
そして、夜中に魘されるようになり、手の震えが起きるようになった。
別の部屋で寝ている私は、彼に呼び出され震えている彼の手を握る。
私が彼の手を握ると暫くして震えが治まる
彼はすやすやと眠りにつき、朝まで手を握っている事が日課になった。
いつか、子供の事話しなくちゃいけないけどこんな状態じゃ話出来ないと思った。
定期健診の日、私は一人で産婦人科へ向かった。
彼には買い物へ行くと言って出かけた。
思ったより時間がかかり、彼は心配して私の携帯へ電話をかけてきた。
「申し訳ないですが、アパート借りて貰っていいですか、勿論俺が家賃払いますから」
「はい、わかりました」
分かっていたが、その言葉を彼から聞くと、動揺を隠しきれなかった。
私は自分でもびっくりする提案をしていた
「離婚届けも書かないといけないですね、それと・・・」
自分の左手の薬指の指輪に手を掛けた。
「もう、外しちゃ駄目だよ」
彼の言葉が走馬灯のように蘇ってきた。
溢れる涙をぐっと堪えて、私は指輪を外しそして、彼に返した。
しかし彼は受け取らず、少し時間が欲しいと言った。
「もし、あゆみさんが良ければ、離婚はちょっと待ってもらっていいですか」
「大丈夫です」
そして、私はアパートに引っ越して、彼と別々の生活を始めた。
アパートに引っ越してから、一週間が過ぎた、ある日の事、彼から電話があった。
「あゆみさん、申し訳ないけど、一年前と変わっていて、何が何処にあるか分からないから、ちょっと来てくれるかな~」
思いがけない彼からの呼び出しに、胸踊らせてマンションへ向かった。
「彼に会える」
マンションへ向かうと、部屋は酷く散らかっており、すごい状態だった。
「どうしたのですか?」
「何が何処にあるか分からなくて」
彼は頭を抱えて、どうしてよいか分からない様子だった。
「ネームシール貼っておきましょうか」
私が提案すると、彼は信じられない事を言ってきた。
「ここに戻って来てくれないかなあ」
「えっ?」
私は彼の言葉に暫く答えられずにいた。
「また、ここで一緒に暮らしてほしい、何が何処にあるかわからないから」
あっ、そういう事か、そうだよね、奇跡は二度起きないから。
でも、嬉しい、また彼の顔を毎日見られる
「はい」
私は一週間でアパートを引き払い、また彼のマンションへ引っ越した。
手術前の彼との生活とはちょっと違っていた。
色々な事を忘れてしまい、私がすべて管理する事になった。
「病院の診察の日、二週間後ですよ」
「そうだっけ?考えると頭痛くなっちゃうから、あゆみが把握しておいてくれる?」
「分かりました」
術後の彼は人が変わったように、以前のような自信は無く、笑顔も消えてしまった。
そして、夜中に魘されるようになり、手の震えが起きるようになった。
別の部屋で寝ている私は、彼に呼び出され震えている彼の手を握る。
私が彼の手を握ると暫くして震えが治まる
彼はすやすやと眠りにつき、朝まで手を握っている事が日課になった。
いつか、子供の事話しなくちゃいけないけどこんな状態じゃ話出来ないと思った。
定期健診の日、私は一人で産婦人科へ向かった。
彼には買い物へ行くと言って出かけた。
思ったより時間がかかり、彼は心配して私の携帯へ電話をかけてきた。
2
あなたにおすすめの小説
友達の肩書き
菅井群青
恋愛
琢磨は友達の彼女や元カノや友達の好きな人には絶対に手を出さないと公言している。
私は……どんなに強く思っても友達だ。私はこの位置から動けない。
どうして、こんなにも好きなのに……恋愛のスタートラインに立てないの……。
「よかった、千紘が友達で本当に良かった──」
近くにいるはずなのに遠い背中を見つめることしか出来ない……。そんな二人の関係が変わる出来事が起こる。
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
忘れられたら苦労しない
菅井群青
恋愛
結婚を考えていた彼氏に突然振られ、二年間引きずる女と同じく過去の恋に囚われている男が出会う。
似ている、私たち……
でもそれは全然違った……私なんかより彼の方が心を囚われたままだ。
別れた恋人を忘れられない女と、運命によって引き裂かれ突然亡くなった彼女の思い出の中で生きる男の物語
「……まだいいよ──会えたら……」
「え?」
あなたには忘れらない人が、いますか?──
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
日下奈緒
恋愛
仕事の契約を打ち切られ、年末をあと1か月残して就職活動に入ったつむぎ。ある日街で車に轢かれそうになるところを助けて貰ったのだが、突然週末婚を持ち出され……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる