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44 村の大掃除をいたしましょう 2
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《トーマ視点》
「……という話になりました。今からラビンの屋敷に向かいます。よろしいですか?」
ラミアとエステアの報告を聞いて、俺とポピィはしっかりと頷いた。
「ああ、行こう。もう、その場でそのチャビンとかいうアホをぶっ倒していいよな?」
「トーマ様、チャビンじゃなくて、ラビンですよ」
『ポピィちゃん、わざとなんですよ』
ポピィとナビの両方から突っ込みを受けて、俺は小さく咳き込んだ。
「え、ええ、構いませんが……その、本当に、あの鎧騎士を倒せますか?」
ラミアとエステアは、どうしてもまだ信じられない様子で尋ねた。
「ああ、前にも言ったように、実際やってみないと分からない。ただ、魔道具は術者の命令で動いているから、いざとなったら、チャビンの方を倒せば、鎧騎士は動かなくなるはずだ」
俺の言葉に、ラミアとエステアはまだ不安そうだったが、しっかりと頷いた。
「あ、そうだ、ちょっと準備をするから、少し待っていてくれ」
俺はそう言って、一人で昨夜泊めてもらった部屋へ向かった。
♢♢♢
部屋に入った俺は、左の手首につけた腕輪に右手を載せて目をつぶった。
(ルーシー、聞こえるか?)
『おお、主殿か、よく聞こえるのじゃ』
すぐに元気な返事が返って来た。
(よかった。ちょっと、出てきてくれないか?)
『了解じゃ!』
ルーシーの返事が終わるか終わらないうちに、腕輪から強大な魔力が溢れ出てきた。そして、小さな魔石から、何か混ざり合ったジェルのようなものがシュルシュルと出てきたかと思うと、空中で形を変え、赤と黒の派手なボディスーツを着た少女になって降りてきた。
「久しぶりじゃのう、主殿」
ルーシーはそう言って、意味不明なポーズをとりながら俺に微笑んだ。
「ああ、久しぶり。どうだ、ダンジョンの経営は順調か?」
俺の問いに、ルーシーは踊るように一回転した後、顔と胸を反らせてにやりと笑った。
「ふふん、もちろんじゃ。主殿にも見せてやりたいぞ。ダンジョンの入り口の横には、街の者たちが我の彫像を建ててくれてのう、たくさんの供え物を捧げてくれておる。ダンジョンに挑戦する者たちも、日に日に増えておるのじゃ。もちろん、我も、ダンジョンが楽しくなるように毎日改良を続けておるぞ。昨日は……」
ルーシーは、こうしてひとしきり自慢話を語った。
俺も、黙ってその話を聞いてやった。そして、ようやく話が一段落したところで、彼女にこう言った。
「そうか。楽しくやっているようで、何よりだ。さて、今日来てもらったのは、お前にちょっと手伝ってもらいたいことがあるからだ。その前に、聞きたいことがあるのだが、〝魔道具〟について、何か知っているか?」
「魔道具?……ふむ、ああ、記憶にあったぞ……」
ルーシーは少し考えてから頷いた。おそらく、彼女の記憶は、魔素に含まれた過去の様々な人々の断片的な記憶なのだろう。
「……かつて、バルセン王国には、国の創立者であるリンド・バルセンとその妻である黒龍の化身アレッサと彼らの子どもたちが住んでおった。国民である獣人たちは、魔法を使えなかったが、バルセンとアレッサ、子どもたちは強大な魔法使いだったのじゃ。魔道具を初めて作ったのは、子どもたちの中の長女セリーナじゃ。彼女は優しく賢い子でのう、獣人たちの生活が便利になるようにと、いくつかの魔道具を作って獣人たちに渡したのじゃ。だが、それが悲劇の始まりであった……」
ルーシーが語った話を要約すると、次の通りだ。
魔道具を与えられた獣人たちは、大いに喜び感謝したが、やがて、その所有と使用について争いが始まった。まあ、数が限られているので当然そうなるだろう。それを憂いた王のバルセンは、所有と使用についての決まりを定めたが、それでも争いは絶えなかった。
そこで、バルセンは、自分たちの存在が争いを引き起こす元凶であると悟り、家族を引き連れて遠い辺境の島へ去ったという。
「ふむ、なるほどな……実はな……」
俺は彼女の話を聞き終えると、今、この島で起こっていることを簡単に話した。
「……というわけだ。もしかすると、その魔道具は、セリーナが残したものかもしれないな」
「いや、多分違うぞ、主殿。セリーナが作ったのは、生活のための魔道具じゃ。そんな、物騒なものを作るはずはない。だが、考えられることは、バルセンの子孫たちが作った可能性じゃな」
ルーシーの言葉に、俺は納得して頷いた。そして、ある考えがひらめいた。
「ああ、そうか。ちなみに、その子どもたちは、どんな見た目をしていたのだ?」
「見た目か?」
ルーシーは不思議そうに問い返した後、何かを思い出すように下を向いた。
「そうじゃのう、ああ、全員髪が白かったらしいのう。そして、セリーナと末の女の子は目の色が青かったが、真ん中の男の子は赤い目をしていたそうじゃ」
俺は、その言葉で確信した。おそらく、バルセンの子孫が、《魔族》と呼ばれる者たちだ。そして、ラビンに魔道具を渡したのも魔族の者に違いない。
「なあ、ルーシー、その魔道具の騎士と戦ってみたいか?」
俺の問いに、ルーシーは大きな目を見開いて、嬉し気ににやりと笑った。
「戦わせてくれるのか、主殿?」
「ああ、いいぞ。ただし、最初から大魔法をぶっ放したりするなよ。その鎧騎士が、どの程度の強さでどんな攻撃をするのか、見てみたいからな」
「了解じゃ。適当に遊んでやるのじゃ」
「よし、じゃあ、その時になったら、また呼び出すから、いったん帰っていてくれ」
俺の言葉に、ルーシーは不満げだったが、仕方なく、またシュルシュルと流体化して腕輪の魔石の中へ吸い込まれていった。
俺は、拳を握りしめて気合を入れ直すと、部屋から出ていった。
♢♢♢
「……という話になりました。今からラビンの屋敷に向かいます。よろしいですか?」
ラミアとエステアの報告を聞いて、俺とポピィはしっかりと頷いた。
「ああ、行こう。もう、その場でそのチャビンとかいうアホをぶっ倒していいよな?」
「トーマ様、チャビンじゃなくて、ラビンですよ」
『ポピィちゃん、わざとなんですよ』
ポピィとナビの両方から突っ込みを受けて、俺は小さく咳き込んだ。
「え、ええ、構いませんが……その、本当に、あの鎧騎士を倒せますか?」
ラミアとエステアは、どうしてもまだ信じられない様子で尋ねた。
「ああ、前にも言ったように、実際やってみないと分からない。ただ、魔道具は術者の命令で動いているから、いざとなったら、チャビンの方を倒せば、鎧騎士は動かなくなるはずだ」
俺の言葉に、ラミアとエステアはまだ不安そうだったが、しっかりと頷いた。
「あ、そうだ、ちょっと準備をするから、少し待っていてくれ」
俺はそう言って、一人で昨夜泊めてもらった部屋へ向かった。
♢♢♢
部屋に入った俺は、左の手首につけた腕輪に右手を載せて目をつぶった。
(ルーシー、聞こえるか?)
『おお、主殿か、よく聞こえるのじゃ』
すぐに元気な返事が返って来た。
(よかった。ちょっと、出てきてくれないか?)
『了解じゃ!』
ルーシーの返事が終わるか終わらないうちに、腕輪から強大な魔力が溢れ出てきた。そして、小さな魔石から、何か混ざり合ったジェルのようなものがシュルシュルと出てきたかと思うと、空中で形を変え、赤と黒の派手なボディスーツを着た少女になって降りてきた。
「久しぶりじゃのう、主殿」
ルーシーはそう言って、意味不明なポーズをとりながら俺に微笑んだ。
「ああ、久しぶり。どうだ、ダンジョンの経営は順調か?」
俺の問いに、ルーシーは踊るように一回転した後、顔と胸を反らせてにやりと笑った。
「ふふん、もちろんじゃ。主殿にも見せてやりたいぞ。ダンジョンの入り口の横には、街の者たちが我の彫像を建ててくれてのう、たくさんの供え物を捧げてくれておる。ダンジョンに挑戦する者たちも、日に日に増えておるのじゃ。もちろん、我も、ダンジョンが楽しくなるように毎日改良を続けておるぞ。昨日は……」
ルーシーは、こうしてひとしきり自慢話を語った。
俺も、黙ってその話を聞いてやった。そして、ようやく話が一段落したところで、彼女にこう言った。
「そうか。楽しくやっているようで、何よりだ。さて、今日来てもらったのは、お前にちょっと手伝ってもらいたいことがあるからだ。その前に、聞きたいことがあるのだが、〝魔道具〟について、何か知っているか?」
「魔道具?……ふむ、ああ、記憶にあったぞ……」
ルーシーは少し考えてから頷いた。おそらく、彼女の記憶は、魔素に含まれた過去の様々な人々の断片的な記憶なのだろう。
「……かつて、バルセン王国には、国の創立者であるリンド・バルセンとその妻である黒龍の化身アレッサと彼らの子どもたちが住んでおった。国民である獣人たちは、魔法を使えなかったが、バルセンとアレッサ、子どもたちは強大な魔法使いだったのじゃ。魔道具を初めて作ったのは、子どもたちの中の長女セリーナじゃ。彼女は優しく賢い子でのう、獣人たちの生活が便利になるようにと、いくつかの魔道具を作って獣人たちに渡したのじゃ。だが、それが悲劇の始まりであった……」
ルーシーが語った話を要約すると、次の通りだ。
魔道具を与えられた獣人たちは、大いに喜び感謝したが、やがて、その所有と使用について争いが始まった。まあ、数が限られているので当然そうなるだろう。それを憂いた王のバルセンは、所有と使用についての決まりを定めたが、それでも争いは絶えなかった。
そこで、バルセンは、自分たちの存在が争いを引き起こす元凶であると悟り、家族を引き連れて遠い辺境の島へ去ったという。
「ふむ、なるほどな……実はな……」
俺は彼女の話を聞き終えると、今、この島で起こっていることを簡単に話した。
「……というわけだ。もしかすると、その魔道具は、セリーナが残したものかもしれないな」
「いや、多分違うぞ、主殿。セリーナが作ったのは、生活のための魔道具じゃ。そんな、物騒なものを作るはずはない。だが、考えられることは、バルセンの子孫たちが作った可能性じゃな」
ルーシーの言葉に、俺は納得して頷いた。そして、ある考えがひらめいた。
「ああ、そうか。ちなみに、その子どもたちは、どんな見た目をしていたのだ?」
「見た目か?」
ルーシーは不思議そうに問い返した後、何かを思い出すように下を向いた。
「そうじゃのう、ああ、全員髪が白かったらしいのう。そして、セリーナと末の女の子は目の色が青かったが、真ん中の男の子は赤い目をしていたそうじゃ」
俺は、その言葉で確信した。おそらく、バルセンの子孫が、《魔族》と呼ばれる者たちだ。そして、ラビンに魔道具を渡したのも魔族の者に違いない。
「なあ、ルーシー、その魔道具の騎士と戦ってみたいか?」
俺の問いに、ルーシーは大きな目を見開いて、嬉し気ににやりと笑った。
「戦わせてくれるのか、主殿?」
「ああ、いいぞ。ただし、最初から大魔法をぶっ放したりするなよ。その鎧騎士が、どの程度の強さでどんな攻撃をするのか、見てみたいからな」
「了解じゃ。適当に遊んでやるのじゃ」
「よし、じゃあ、その時になったら、また呼び出すから、いったん帰っていてくれ」
俺の言葉に、ルーシーは不満げだったが、仕方なく、またシュルシュルと流体化して腕輪の魔石の中へ吸い込まれていった。
俺は、拳を握りしめて気合を入れ直すと、部屋から出ていった。
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