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王都を知る
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エイレン侯爵家では次期侯爵夫妻であるロバートおじ様とステラおば様に熱烈に迎えてもらった。
「あなたとずーっと畑や植物の話ができるなんて夢みたいだわ!」
そういっておば様には抱きしめられた。
「兄さんは元気かい?それにしてもまさかリーネがこんな早くに婚約者を作るとはなあ。よく兄さんが許したね?」
ロバートおじ様は感心したように言った。
「そうそう、私のことは学園ではトウプチ先生と呼ぶように!身内だからこそしっかりしなくちゃあね。」
チャーミングにおば様は笑った。
おば様は王都の学園で教鞭を振るっている、植物学の教師だ。
植物の品種改良の研究にすっかり魅入られている、品種改良オタクだ。
ひきかえおじ様はまったく研究というものに興味がない。
私の父、祖父、兄達、皆興味を持てば突き詰めないと気が済まない性分。
そんなうちの家系で変わっているのはおじ様のほうだ。
「そのかわりロバートはとにかく口がうまい。」とはお父様の弁。
実はうちが伯爵になったのはほんの5年ほど前。
その経緯にはおじ様が深く関わっている。
研究好きが農業しているからか、うちで育った果物は評判がいい。
そこでおじ様が王室に売り込んだのだ。
その時の担当大臣がおば様のお父様にあたるエイレン侯爵様だった。
特に品質のいい桃と葡萄を王室に納入することになり、そこから高品質のものを10年以上納入し続けた事を認められ、陞爵したのだ。
天候の変化の激しいこの国で、10年も連続王室に納入できるほどの品質を保った農産物を持つ領は今まで他になかった。
そして今でも途切れることなく王室に納入し続けている。
そしておじ様とおば様が結婚し、おじ様が侯爵家に婿入りしたのが4年ほど前。
(おば様はおじ様より10以上若く、上の兄の方が年が近いくらいなのだけれども、おば様からの猛アプローチでの結婚なのだから、わからないものよね。)
そう思えば私とアラン様との結婚も、今は不思議でもゆくゆくは自然になるのかもしれない。
そんな期待を持ってしまう。
「リーネはもう飛び級で中等部の単位は全部取っているのでしょう?興味のある授業だけ出て空いてる時間は全て私の教員部屋で研究をすればいいわ!」
そう言われ、ワクワクしてくる。
王立学園は研究道具も揃っている。
セレーナ様とも仲良くなれそう。
アラン様とも少しずつでも仲良くなりたい。
ああ、やっぱり夢のようだ。
(お願いだからまだ醒めないで……)
そう願いながら学園に想いを馳せるのだった。
新学期初日はセレーナ様が迎えに来てくれた。
「本当はお兄様もお誘いしたのだけれど……ごめんなさいね。連れてくることが出来なかったわ。でもいつものことなのよ。本当に誰にでもこんな感じでお恥ずかしいですわ。」
馬車の向かいに座り困ったように微笑むセレーナ様は、言葉を失いそうになるくらいの美少女だった。
明るいブルーアイは宝石のようで、美しいブロンドは光り輝いている。
ピンクの上品な唇が弧を描くと、私はうっとりと見つめたまま目が離せなくなった。
お人形が話をしているのかと思うくらいに麗しい。
「キャロライン様?」
ぽーと見惚れている私の顔を不思議そうに覗き込む。
ひゃあ!
美しい顔が寄せられ、思わず声をあげそうになるのをなんとか堪える。
「いえ、申し訳ございません。初登校の緊張のあまり落ち着かなく……」
見惚れていました、ともいえず適当に取り繕う。
「ふふふ、大丈夫ですわ。私のお友達も紹介いたします。学校の案内も任せてくださいませ。ランチも一緒にいたしましょう?」
ねっと首を傾げ微笑む。
ああ!
キラキラと微笑むセレーナ様が眩しくて目を細めた。
こんな美しく洗練された方が私の友達に?
でも驚くのはまだ早かった。
学園に着いた私は腰を抜かしそうになる。
学園にいるご令息ご令嬢。
私のような野暮ったい令嬢など一人もいない。
皆洗練され、美しい所作で歩き、キラキラを振り撒いている。
これが王都!
これが中央貴族!
学園の真ん中で叫びそうになった。
(なるほど、地方貴族はバカにされるわけね…………)
頭をいろんな情報がぐるぐる回り、最後にうかんだ言葉はそんな事だった。
(紹介してくれるセレーナ様のお友達もこんなにキラキラしているのかしら……)
そう思うと辺境の学園にいた時とはまた違う、心許ない気持ちになったのだった。
「あなたとずーっと畑や植物の話ができるなんて夢みたいだわ!」
そういっておば様には抱きしめられた。
「兄さんは元気かい?それにしてもまさかリーネがこんな早くに婚約者を作るとはなあ。よく兄さんが許したね?」
ロバートおじ様は感心したように言った。
「そうそう、私のことは学園ではトウプチ先生と呼ぶように!身内だからこそしっかりしなくちゃあね。」
チャーミングにおば様は笑った。
おば様は王都の学園で教鞭を振るっている、植物学の教師だ。
植物の品種改良の研究にすっかり魅入られている、品種改良オタクだ。
ひきかえおじ様はまったく研究というものに興味がない。
私の父、祖父、兄達、皆興味を持てば突き詰めないと気が済まない性分。
そんなうちの家系で変わっているのはおじ様のほうだ。
「そのかわりロバートはとにかく口がうまい。」とはお父様の弁。
実はうちが伯爵になったのはほんの5年ほど前。
その経緯にはおじ様が深く関わっている。
研究好きが農業しているからか、うちで育った果物は評判がいい。
そこでおじ様が王室に売り込んだのだ。
その時の担当大臣がおば様のお父様にあたるエイレン侯爵様だった。
特に品質のいい桃と葡萄を王室に納入することになり、そこから高品質のものを10年以上納入し続けた事を認められ、陞爵したのだ。
天候の変化の激しいこの国で、10年も連続王室に納入できるほどの品質を保った農産物を持つ領は今まで他になかった。
そして今でも途切れることなく王室に納入し続けている。
そしておじ様とおば様が結婚し、おじ様が侯爵家に婿入りしたのが4年ほど前。
(おば様はおじ様より10以上若く、上の兄の方が年が近いくらいなのだけれども、おば様からの猛アプローチでの結婚なのだから、わからないものよね。)
そう思えば私とアラン様との結婚も、今は不思議でもゆくゆくは自然になるのかもしれない。
そんな期待を持ってしまう。
「リーネはもう飛び級で中等部の単位は全部取っているのでしょう?興味のある授業だけ出て空いてる時間は全て私の教員部屋で研究をすればいいわ!」
そう言われ、ワクワクしてくる。
王立学園は研究道具も揃っている。
セレーナ様とも仲良くなれそう。
アラン様とも少しずつでも仲良くなりたい。
ああ、やっぱり夢のようだ。
(お願いだからまだ醒めないで……)
そう願いながら学園に想いを馳せるのだった。
新学期初日はセレーナ様が迎えに来てくれた。
「本当はお兄様もお誘いしたのだけれど……ごめんなさいね。連れてくることが出来なかったわ。でもいつものことなのよ。本当に誰にでもこんな感じでお恥ずかしいですわ。」
馬車の向かいに座り困ったように微笑むセレーナ様は、言葉を失いそうになるくらいの美少女だった。
明るいブルーアイは宝石のようで、美しいブロンドは光り輝いている。
ピンクの上品な唇が弧を描くと、私はうっとりと見つめたまま目が離せなくなった。
お人形が話をしているのかと思うくらいに麗しい。
「キャロライン様?」
ぽーと見惚れている私の顔を不思議そうに覗き込む。
ひゃあ!
美しい顔が寄せられ、思わず声をあげそうになるのをなんとか堪える。
「いえ、申し訳ございません。初登校の緊張のあまり落ち着かなく……」
見惚れていました、ともいえず適当に取り繕う。
「ふふふ、大丈夫ですわ。私のお友達も紹介いたします。学校の案内も任せてくださいませ。ランチも一緒にいたしましょう?」
ねっと首を傾げ微笑む。
ああ!
キラキラと微笑むセレーナ様が眩しくて目を細めた。
こんな美しく洗練された方が私の友達に?
でも驚くのはまだ早かった。
学園に着いた私は腰を抜かしそうになる。
学園にいるご令息ご令嬢。
私のような野暮ったい令嬢など一人もいない。
皆洗練され、美しい所作で歩き、キラキラを振り撒いている。
これが王都!
これが中央貴族!
学園の真ん中で叫びそうになった。
(なるほど、地方貴族はバカにされるわけね…………)
頭をいろんな情報がぐるぐる回り、最後にうかんだ言葉はそんな事だった。
(紹介してくれるセレーナ様のお友達もこんなにキラキラしているのかしら……)
そう思うと辺境の学園にいた時とはまた違う、心許ない気持ちになったのだった。
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