3 / 56
悪女 ーアベルー
しおりを挟む
「ひどい雨風になってきましたね。」
そう言われて私は窓の外を見た。
「ああ、畑にあまり影響がなければいいのだが。」
そういうと我が家の執事のセバスチャンは少し呆れたような顔をこちらに向けた。
「なんだ?」
「いえ、ただそろそろ婚約者様もこちらの国内に入ってきている頃合いかと思いまして。」
言われてハッとした。
確かに嵐の範囲によれば足止めを喰らっている可能性がある。
「まあそれがアベル様なんでございましょうが、婚約者様がこのお屋敷にいらした際にはもう少しに気にかけてあげてくださいませ。」
「わかっている。」
だが今迄研究一本でやって来たのだ。いきなり女性を気遣えと言われてもなかなか変われるものではない。
ついついセバスへの返事も不機嫌なものになってしまった。
彼女とは手紙でのやり取りを交流を深めた。
そうしていよいよこちらに住み婚約期間の半年後結婚することになり、もうこちらにむかっているのだ。
私は自領の領邸に住んでいるが家族は王都のタウンハウスに住んでいる。
自領は王都に隣接しており、タウンハウスまでは馬で走れば1時間くらいだ。
領地の仕事は父上と長兄がやっておりたまに訪れる。
私は少しは手伝いつつもこちらで1人思い存分研究だけをさせてもらっていたのだ。
しかしそんな気楽な生活も婚約者がくればもう終わり。
少し残念だが隣国からわざわざ来てくれるのだ。
セドリックの言うように幸せに……というのは自信はないが私なりに大事にしてあげることができれば。
ぼんやり考えているとノックの音がした。
「サイラス様がいらっしゃっています。嵐でお困りでこちらに寄られたようで応接室にお通ししました。」
サイラスが?
サイラスもセドリック同様学園時代の友人だ。
私の領地に彼の領地は隣接しており、王都へのタウンハウスまでの道程に私の領地があり、たまにこうして寄るのだが今回は災難だったらしい。
私はメイドにサイラスの面倒を見るように言うと、彼に会う用意をした。
「いやあ!まいった!タウンハウスまでは行けると思ったんだがなあ!」
サイラスはタオルを持ち快活にそう言った。
「急変したね。私も驚いたよ。」
「ああそういえば、アベル。屋敷の前で郵便配達人が雨でパニックになりながら私に手紙を押し付けてきたよ。ここが最後の配達先だと言ってね。」
そう言うとその時のことを思い出したのかクククと笑う。
「手紙に雨は大敵だ、そう笑ってやるな。」
「ハハ!すまない!その手紙はそこに執務机に置いておいたぞ!」
そういうとわたしの執務机をしげしげと見た。
「しかしいつ見てもすごい紙の山だな。ちゃんと把握できているのか?」
「もちろん!」
私は即答する。
まだ何か言いたそうに口を開こうとしたところで部屋をノックされ、メイドがお茶を運んできたので私達はひとまず座った。
「ところで結婚相手決まったんだって?よかったじゃないか。」
お茶を飲みながら思い出したようにサイラスが言う。
「ああ、心配をかけたがセドリックのおかげでなんとかね。」
隠しても仕方がないからと前置きをしてから、セドリックの元妻だという事を言った。
「え!セドリックの元妻だって?!」
こちらが驚くほどびっくりされた。
確かに驚くかもしれないが友人の元妻を娶るという話は別にめずらしい話というわけではない。
「セドリックは素晴らしい女性だと言っていたし、確かに手紙で交流していたが素直な女性のように感じたが。」
なぜか説得するような口調になってしまう。
「素晴らしい女性だと?セドリックが?」
「ああ、そうだが……」
「いや、そうか、セドリックはそう思っていたんだったな……」
そういうとここにいないセドリックに向けてだろう。憐れみの表情を浮かべた。
「一体なんだというのだ?単刀直入にはっきり言ってくれないか?」
思わせぶりなことばかり言うサイラスに痺れを切らした。
するとサイラスはハッとした様な顔をして「そうだな、すまない。」と謝罪した。
「そうだな…、ここまで言って何も言わないなんてな。」
少し逡巡する様な顔をしていたが、覚悟を決めたようにジッと私を見ると言った。
「セドリックの元妻、ブリジット=バールトンはとんでもない悪女だ」
予想外の言葉に目を見開いた。
「あどけない清純そうな顔をして実は浪費家で、男にもだらしがない。なのにセドリックは彼女に夢中だった。しかし彼女はセドリックの愛の囁きも必死の懇願も無視し、セドリックの前で男に声をかける悪女っぷり。しかし欲しいものがある時だけはセドリックに擦り寄っていくらしい。」
あんぐりと口を開けてしまいそうになった。
サイラスは言いにくそうにしていたのが嘘の様に話し出す。
「私も噂だけでいってるんじゃあない。私が家の事業の関係でたまに隣国に行っているのは知っているだろう。その噂を聞き、セドリック達が下位貴族のパーティに出ると聞いて私も急遽頼み込んでそのパーティにでたんだよ。その時に私も見たんだ。セドリックがブリジット=バールトンに必死に話しかけるも彼女はセドリックの方を見もしない。しばらくすると飽きたように休憩室の方へ引っ込んだんだ。そうしてその後を数人の男が追っていった。お楽しみだったんじゃないのかな。」
絶句してしまう。
そんな私を気の毒そうに見ると慰めるようにサイラスが言葉を重ねた。
「しかし君は彼女に溺れているわけじゃない。契約みたいな結婚なんだからうまくコントロールして我慢できなければ離婚すればいい。王宮に勤めるときは結婚は必須だが勤めてから離婚するのは禁止されていないんだから。」
そこでノックの音がした。
サイラスの部屋が用意できたらしい。
彼は部屋を出て行った。
私は部屋で1人座っていたが、ゆっくりと立ち上がると執務椅子に座り書類の山を探る。
バサバサーと音を立てて山の一つが崩れた。
しかしそのおかげというべきか探していたものが見つかった。
ブリジット=バールトンからの手紙だ。
自領の不作を憂う手紙が届き、私が2、3アドバイスをすれば丁寧な感謝の手紙が届いた。
素直に喜び感謝してくれている様に感じた。
次の手紙には、自分の知らない話は興味深い。会って話せたらきっと楽しいでしょうねと書かれていた。
13歳らしい無邪気な手紙だと思った。
セドリックは学園でご令嬢達の憧れの的だった。
太陽の様に華やかで天真爛漫できまぐれな彼にご令嬢達は振り回されっぱなしだった。
だが決して彼が振り回されることなどなかった。
その彼を振り回す女性。
噂を聞いただけでは私も信じなかっただろう。
しかしサイラスは見たと言っていた。
しばらく考えを巡らせた。
しかしいつまでも考えたって仕方がない。
彼女が来たら確かめればいいだけの話だ。
そう言われて私は窓の外を見た。
「ああ、畑にあまり影響がなければいいのだが。」
そういうと我が家の執事のセバスチャンは少し呆れたような顔をこちらに向けた。
「なんだ?」
「いえ、ただそろそろ婚約者様もこちらの国内に入ってきている頃合いかと思いまして。」
言われてハッとした。
確かに嵐の範囲によれば足止めを喰らっている可能性がある。
「まあそれがアベル様なんでございましょうが、婚約者様がこのお屋敷にいらした際にはもう少しに気にかけてあげてくださいませ。」
「わかっている。」
だが今迄研究一本でやって来たのだ。いきなり女性を気遣えと言われてもなかなか変われるものではない。
ついついセバスへの返事も不機嫌なものになってしまった。
彼女とは手紙でのやり取りを交流を深めた。
そうしていよいよこちらに住み婚約期間の半年後結婚することになり、もうこちらにむかっているのだ。
私は自領の領邸に住んでいるが家族は王都のタウンハウスに住んでいる。
自領は王都に隣接しており、タウンハウスまでは馬で走れば1時間くらいだ。
領地の仕事は父上と長兄がやっておりたまに訪れる。
私は少しは手伝いつつもこちらで1人思い存分研究だけをさせてもらっていたのだ。
しかしそんな気楽な生活も婚約者がくればもう終わり。
少し残念だが隣国からわざわざ来てくれるのだ。
セドリックの言うように幸せに……というのは自信はないが私なりに大事にしてあげることができれば。
ぼんやり考えているとノックの音がした。
「サイラス様がいらっしゃっています。嵐でお困りでこちらに寄られたようで応接室にお通ししました。」
サイラスが?
サイラスもセドリック同様学園時代の友人だ。
私の領地に彼の領地は隣接しており、王都へのタウンハウスまでの道程に私の領地があり、たまにこうして寄るのだが今回は災難だったらしい。
私はメイドにサイラスの面倒を見るように言うと、彼に会う用意をした。
「いやあ!まいった!タウンハウスまでは行けると思ったんだがなあ!」
サイラスはタオルを持ち快活にそう言った。
「急変したね。私も驚いたよ。」
「ああそういえば、アベル。屋敷の前で郵便配達人が雨でパニックになりながら私に手紙を押し付けてきたよ。ここが最後の配達先だと言ってね。」
そう言うとその時のことを思い出したのかクククと笑う。
「手紙に雨は大敵だ、そう笑ってやるな。」
「ハハ!すまない!その手紙はそこに執務机に置いておいたぞ!」
そういうとわたしの執務机をしげしげと見た。
「しかしいつ見てもすごい紙の山だな。ちゃんと把握できているのか?」
「もちろん!」
私は即答する。
まだ何か言いたそうに口を開こうとしたところで部屋をノックされ、メイドがお茶を運んできたので私達はひとまず座った。
「ところで結婚相手決まったんだって?よかったじゃないか。」
お茶を飲みながら思い出したようにサイラスが言う。
「ああ、心配をかけたがセドリックのおかげでなんとかね。」
隠しても仕方がないからと前置きをしてから、セドリックの元妻だという事を言った。
「え!セドリックの元妻だって?!」
こちらが驚くほどびっくりされた。
確かに驚くかもしれないが友人の元妻を娶るという話は別にめずらしい話というわけではない。
「セドリックは素晴らしい女性だと言っていたし、確かに手紙で交流していたが素直な女性のように感じたが。」
なぜか説得するような口調になってしまう。
「素晴らしい女性だと?セドリックが?」
「ああ、そうだが……」
「いや、そうか、セドリックはそう思っていたんだったな……」
そういうとここにいないセドリックに向けてだろう。憐れみの表情を浮かべた。
「一体なんだというのだ?単刀直入にはっきり言ってくれないか?」
思わせぶりなことばかり言うサイラスに痺れを切らした。
するとサイラスはハッとした様な顔をして「そうだな、すまない。」と謝罪した。
「そうだな…、ここまで言って何も言わないなんてな。」
少し逡巡する様な顔をしていたが、覚悟を決めたようにジッと私を見ると言った。
「セドリックの元妻、ブリジット=バールトンはとんでもない悪女だ」
予想外の言葉に目を見開いた。
「あどけない清純そうな顔をして実は浪費家で、男にもだらしがない。なのにセドリックは彼女に夢中だった。しかし彼女はセドリックの愛の囁きも必死の懇願も無視し、セドリックの前で男に声をかける悪女っぷり。しかし欲しいものがある時だけはセドリックに擦り寄っていくらしい。」
あんぐりと口を開けてしまいそうになった。
サイラスは言いにくそうにしていたのが嘘の様に話し出す。
「私も噂だけでいってるんじゃあない。私が家の事業の関係でたまに隣国に行っているのは知っているだろう。その噂を聞き、セドリック達が下位貴族のパーティに出ると聞いて私も急遽頼み込んでそのパーティにでたんだよ。その時に私も見たんだ。セドリックがブリジット=バールトンに必死に話しかけるも彼女はセドリックの方を見もしない。しばらくすると飽きたように休憩室の方へ引っ込んだんだ。そうしてその後を数人の男が追っていった。お楽しみだったんじゃないのかな。」
絶句してしまう。
そんな私を気の毒そうに見ると慰めるようにサイラスが言葉を重ねた。
「しかし君は彼女に溺れているわけじゃない。契約みたいな結婚なんだからうまくコントロールして我慢できなければ離婚すればいい。王宮に勤めるときは結婚は必須だが勤めてから離婚するのは禁止されていないんだから。」
そこでノックの音がした。
サイラスの部屋が用意できたらしい。
彼は部屋を出て行った。
私は部屋で1人座っていたが、ゆっくりと立ち上がると執務椅子に座り書類の山を探る。
バサバサーと音を立てて山の一つが崩れた。
しかしそのおかげというべきか探していたものが見つかった。
ブリジット=バールトンからの手紙だ。
自領の不作を憂う手紙が届き、私が2、3アドバイスをすれば丁寧な感謝の手紙が届いた。
素直に喜び感謝してくれている様に感じた。
次の手紙には、自分の知らない話は興味深い。会って話せたらきっと楽しいでしょうねと書かれていた。
13歳らしい無邪気な手紙だと思った。
セドリックは学園でご令嬢達の憧れの的だった。
太陽の様に華やかで天真爛漫できまぐれな彼にご令嬢達は振り回されっぱなしだった。
だが決して彼が振り回されることなどなかった。
その彼を振り回す女性。
噂を聞いただけでは私も信じなかっただろう。
しかしサイラスは見たと言っていた。
しばらく考えを巡らせた。
しかしいつまでも考えたって仕方がない。
彼女が来たら確かめればいいだけの話だ。
106
あなたにおすすめの小説
無愛想な婚約者の心の声を暴いてしまったら
雪嶺さとり
恋愛
「違うんだルーシャ!俺はルーシャのことを世界で一番愛しているんだ……っ!?」
「え?」
伯爵令嬢ルーシャの婚約者、ウィラードはいつも無愛想で無口だ。
しかしそんな彼に最近親しい令嬢がいるという。
その令嬢とウィラードは仲睦まじい様子で、ルーシャはウィラードが自分との婚約を解消したがっているのではないかと気がつく。
機会が無いので言い出せず、彼は困っているのだろう。
そこでルーシャは、友人の錬金術師ノーランに「本音を引き出せる薬」を用意してもらった。
しかし、それを使ったところ、なんだかウィラードの様子がおかしくて───────。
*他サイトでも公開しております。
私の容姿は中の下だと、婚約者が話していたのを小耳に挟んでしまいました
山田ランチ
恋愛
想い合う二人のすれ違いラブストーリー。
※以前掲載しておりましたものを、加筆の為再投稿致しました。お読み下さっていた方は重複しますので、ご注意下さいませ。
コレット・ロシニョール 侯爵家令嬢。ジャンの双子の姉。
ジャン・ロシニョール 侯爵家嫡男。コレットの双子の弟。
トリスタン・デュボワ 公爵家嫡男。コレットの婚約者。
クレマン・ルゥセーブル・ジハァーウ、王太子。
シモン・グレンツェ 辺境伯家嫡男。コレットの従兄。
ルネ ロシニョール家の侍女でコレット付き。
シルヴィー・ペレス 子爵令嬢。
〈あらすじ〉
コレットは愛しの婚約者が自分の容姿について話しているのを聞いてしまう。このまま大好きな婚約者のそばにいれば疎まれてしまうと思ったコレットは、親類の領地へ向かう事に。そこで新しい商売を始めたコレットは、知らない間に国の重要人物になってしまう。そしてトリスタンにも女性の影が見え隠れして……。
ジレジレ、すれ違いラブストーリー
東雲の空を行け ~皇妃候補から外れた公爵令嬢の再生~
くる ひなた
恋愛
「あなたは皇妃となり、国母となるのよ」
幼い頃からそう母に言い聞かされて育ったロートリアス公爵家の令嬢ソフィリアは、自分こそが同い年の皇帝ルドヴィークの妻になるのだと信じて疑わなかった。父は長く皇帝家に仕える忠臣中の忠臣。皇帝の母の覚えもめでたく、彼女は名実ともに皇妃最有力候補だったのだ。
ところがその驕りによって、とある少女に対して暴挙に及んだことを理由に、ソフィリアは皇妃候補から外れることになる。
それから八年。母が敷いた軌道から外れて人生を見つめ直したソフィリアは、豪奢なドレスから質素な文官の制服に着替え、皇妃ではなく補佐官として皇帝ルドヴィークの側にいた。
上司と部下として、友人として、さらには密かな思いを互いに抱き始めた頃、隣国から退っ引きならない事情を抱えた公爵令嬢がやってくる。
「ルドヴィーク様、私と結婚してくださいませ」
彼女が執拗にルドヴィークに求婚し始めたことで、ソフィリアも彼との関係に変化を強いられることになっていく……
『蔦王』より八年後を舞台に、元悪役令嬢ソフィリアと、皇帝家の三男坊である皇帝ルドヴィークの恋の行方を描きます。
私が、良いと言ってくれるので結婚します
あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。
しかし、その事を良く思わないクリスが・・。
【完結】お荷物王女は婚約解消を願う
miniko
恋愛
王家の瞳と呼ばれる色を持たずに生まれて来た王女アンジェリーナは、一部の貴族から『お荷物王女』と蔑まれる存在だった。
それがエスカレートするのを危惧した国王は、アンジェリーナの後ろ楯を強くする為、彼女の従兄弟でもある筆頭公爵家次男との婚約を整える。
アンジェリーナは八歳年上の優しい婚約者が大好きだった。
今は妹扱いでも、自分が大人になれば年の差も気にならなくなり、少しづつ愛情が育つ事もあるだろうと思っていた。
だが、彼女はある日聞いてしまう。
「お役御免になる迄は、しっかりアンジーを守る」と言う彼の宣言を。
───そうか、彼は私を守る為に、一時的に婚約者になってくれただけなのね。
それなら出来るだけ早く、彼を解放してあげなくちゃ・・・・・・。
そして二人は盛大にすれ違って行くのだった。
※設定ユルユルですが、笑って許してくださると嬉しいです。
※感想欄、ネタバレ配慮しておりません。ご了承ください。
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる