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契約の終わり ーブリジットー
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セドリックとブリジットは3年を待たず離婚する事になった。
セドリックとブリジットが離婚を公爵夫妻に打ち明けた時、公爵は絶句し、夫人は涙を流した。
「そんな事気にしなくていいのよ、子供なんて養子を取ればいいのだから!」
夫人の手には医者の診断書が握られていた。
ブリジットは子供が産めないという診断書だった。
もちろん偽造書類。
口の堅い医者にお金を握らせて書かせた。
ブリジットはもうこの生活は耐えられないと正直にセドリックに打ち明けた。
子供が出来ないと診断書を偽造するのを提案したのもブリジットだ。
ここで本来ならセドリックは止めて無理にでも領地に帰すべきだったのだろう。
しかしセドリックも疲れていた。
アリスの不安は大きくなるばかり。
アリスにまた下位貴族のパーティーに参加してほしいと言われていた。
もうそれはできないと断るとブリジットの肩を持っているように受け取られた。
そしてとうとう、私がどこか高位貴族の養子に入るからブリジットと別れてほしい、と言い出すようになっていた。
セドリックはそれを最初から言ってくれていれば、という言葉を飲み込んだ。
高位貴族に養子入の提案を断固拒否したのはアリスだったからだ。
そう思いつつも今更それは無理だと宥めるしかなかった。
アリスのことを大事にしたい気持ちはあれどセドリック自身も戸惑っていた。
これだけアリスのために奔走したのになにがそんなに不安なのか。
アリスの溢れる不安がセドリックはさっぱり理解できなかった。
そんな折にブリジットの話は丁度よかった。
子供も産めず、なにもできないのに公爵家に居続けるのは辛い。
また社交界で何を言われるのかもこわい。
王都から離れたい。
本音だった。
ブリジットが涙ながらにそういうと最初は反対していた公爵夫妻も諦めたように黙った。
セドリックが2人で決めたと言えば、後は公爵とセドリックの2人で話をしようと言うことになった。
「私の力が及ばず傷つけてしまったわ。でもまだあなたは13歳、まだまだやり直せる。お手伝いをさせて頂戴。」
夫人はブリジットを抱きしめて涙を流した。
夫人は何も悪くない。
そう言いたいがブリジットも涙で言葉にならない。
しばし2人は抱き合って涙を流した。
そしてセドリックと公爵は離婚と発表の時期など細かい事を決め始めていた。
そんな折の話だった。
アベルから結婚相手の世話を打診されたのは。
隣国に逃げれる上に、いつか会ってみたいと思っていたアベルからの話。
ブリジットはこんな幸運二度とないと思った。
飛びつくように返事をし、交流のために文通をすることになった。
領地の害虫の話をすれば、丁寧なアドバイスをくれた。
お礼に押し花の栞を次の手紙に同封すれば、そのお礼だと次の返事には刺繍の入った青いリボンが入っていた。
これじゃあいつまで経っても返礼続きになると思うとブリジットは可笑しくなった。
青のリボンは大事に引き出しに仕舞い、たまに眺める。
ブリジットは青のリボンを希望そのもののように思っていた。
ブリジットは夫人とよく昼下がりに2人でお茶をした。
ブリジットのお茶会の参加はすっかり無くなっていた。
「あなたは何も気にする事なんてないのよ」
こう言うのが夫人の口癖のようになっていた。
夫人とはなんて事ない話を沢山した。本当の親娘のように。
「アベル様とはうまく交流できているようね。」
そう言われればブリジットは気まずく黙り込む。
「幸せになって欲しいのよ。うまくいって嬉しいの。見ていて頂戴、どこの家にも負けないくらいの輿入れ道具を用意しているのだから。」
そう言うとふふふと上品に笑った。
2人のお茶会にたまに公爵が参加することもあった。
離婚が決まっても変わらず娘のように接してくれる2人にブリジットは泣きたくなった。
「可愛い娘。お前は幸せにならなければいけないよ。」
ブリジットの泣きたくなる気配を感じると公爵はいつもこう言って頭を撫でるのだった。
そうして過ごすうちにブリジットの隣国行きが決まった。
ブリジットが公爵家に来て1年と4ヶ月が経っていた。
セドリックとブリジットが離婚を公爵夫妻に打ち明けた時、公爵は絶句し、夫人は涙を流した。
「そんな事気にしなくていいのよ、子供なんて養子を取ればいいのだから!」
夫人の手には医者の診断書が握られていた。
ブリジットは子供が産めないという診断書だった。
もちろん偽造書類。
口の堅い医者にお金を握らせて書かせた。
ブリジットはもうこの生活は耐えられないと正直にセドリックに打ち明けた。
子供が出来ないと診断書を偽造するのを提案したのもブリジットだ。
ここで本来ならセドリックは止めて無理にでも領地に帰すべきだったのだろう。
しかしセドリックも疲れていた。
アリスの不安は大きくなるばかり。
アリスにまた下位貴族のパーティーに参加してほしいと言われていた。
もうそれはできないと断るとブリジットの肩を持っているように受け取られた。
そしてとうとう、私がどこか高位貴族の養子に入るからブリジットと別れてほしい、と言い出すようになっていた。
セドリックはそれを最初から言ってくれていれば、という言葉を飲み込んだ。
高位貴族に養子入の提案を断固拒否したのはアリスだったからだ。
そう思いつつも今更それは無理だと宥めるしかなかった。
アリスのことを大事にしたい気持ちはあれどセドリック自身も戸惑っていた。
これだけアリスのために奔走したのになにがそんなに不安なのか。
アリスの溢れる不安がセドリックはさっぱり理解できなかった。
そんな折にブリジットの話は丁度よかった。
子供も産めず、なにもできないのに公爵家に居続けるのは辛い。
また社交界で何を言われるのかもこわい。
王都から離れたい。
本音だった。
ブリジットが涙ながらにそういうと最初は反対していた公爵夫妻も諦めたように黙った。
セドリックが2人で決めたと言えば、後は公爵とセドリックの2人で話をしようと言うことになった。
「私の力が及ばず傷つけてしまったわ。でもまだあなたは13歳、まだまだやり直せる。お手伝いをさせて頂戴。」
夫人はブリジットを抱きしめて涙を流した。
夫人は何も悪くない。
そう言いたいがブリジットも涙で言葉にならない。
しばし2人は抱き合って涙を流した。
そしてセドリックと公爵は離婚と発表の時期など細かい事を決め始めていた。
そんな折の話だった。
アベルから結婚相手の世話を打診されたのは。
隣国に逃げれる上に、いつか会ってみたいと思っていたアベルからの話。
ブリジットはこんな幸運二度とないと思った。
飛びつくように返事をし、交流のために文通をすることになった。
領地の害虫の話をすれば、丁寧なアドバイスをくれた。
お礼に押し花の栞を次の手紙に同封すれば、そのお礼だと次の返事には刺繍の入った青いリボンが入っていた。
これじゃあいつまで経っても返礼続きになると思うとブリジットは可笑しくなった。
青のリボンは大事に引き出しに仕舞い、たまに眺める。
ブリジットは青のリボンを希望そのもののように思っていた。
ブリジットは夫人とよく昼下がりに2人でお茶をした。
ブリジットのお茶会の参加はすっかり無くなっていた。
「あなたは何も気にする事なんてないのよ」
こう言うのが夫人の口癖のようになっていた。
夫人とはなんて事ない話を沢山した。本当の親娘のように。
「アベル様とはうまく交流できているようね。」
そう言われればブリジットは気まずく黙り込む。
「幸せになって欲しいのよ。うまくいって嬉しいの。見ていて頂戴、どこの家にも負けないくらいの輿入れ道具を用意しているのだから。」
そう言うとふふふと上品に笑った。
2人のお茶会にたまに公爵が参加することもあった。
離婚が決まっても変わらず娘のように接してくれる2人にブリジットは泣きたくなった。
「可愛い娘。お前は幸せにならなければいけないよ。」
ブリジットの泣きたくなる気配を感じると公爵はいつもこう言って頭を撫でるのだった。
そうして過ごすうちにブリジットの隣国行きが決まった。
ブリジットが公爵家に来て1年と4ヶ月が経っていた。
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