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第1-2章 後宮下女→徳妃付侍女(新版)
「賢妃様は神秘的な方でした」
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これも舞踊会当日のこと。
設営された会場は錚々たる面々が集っていた。
春華国を司る武官や文官の顔を見るなんて初めてだったし、後宮内の内官が揃ったのも初めてだった。そして、徳妃様のご子息である暁明様以外の皇族のお姿を目にするのも。
本来下女でしかないわたしは裏方で忙しく働かなきゃいけないのだけれど、今回は舞を披露するのもあって免除されている。その控えの場から眺める壮観な光景に驚いている状態だ。
「ほら、皇帝陛下の隣に座ってる人が皇后だよ」
で、何故かそんな出番を待つわたしの傍らに暁明様がいるのは今更でしょう。
他の参加者、その殆どが妃だったのもあってか、皇子と仲良くするわたしに向ける眼差しは怪訝を通り越して妬み、怒り、憎しみなど負の感情に満ちていた。居心地悪し。
外野を気にしまいと紹介された先に目を向けた。
皇后は先程お会いした貴妃様より更にお年を召されていたけれど、その分貫禄と威厳、そして己に対する絶対の自信に満ち溢れていた。
「そう言えば後宮の取り仕切っているのって貴妃様ですよね。どうして皇后様じゃあないんですか?」
「皇后も後宮に住んでるんだけれど賓客扱いだそうだね。昔は皇后が統括してたんだけれど、後宮内で不祥事があって皇后が責任を取る破目になっちゃったらしいよ」
「だから君臨はすれど統治せず、ですか。何かあったら貴妃様方正一品の妃に罪を被ってもらうために」
「まあ、その分不始末を侵さない限りは皇后だろうと母上達にあまり口出し出来ないみたいだけれどね」
成程、後宮内の仕組みもうまく出来ているものだ。
暁明様曰く、彼女は今の皇帝がその座に就いた時に皇后になったそうだ。それから皇帝の後宮に妃を、となった際に今の貴妃様や徳妃様が妃として集ったんだとか。つまりはこの三方が後宮内での最古参ってわけだ。
「あれ、そのわりに徳妃様方と年齢が近い妃をあまり見かけないような……」
「年を重ねて子を産めなくなったら価値が無いからね。母上達は皇子を生んだから残れたって話さ」
「あー、理解しました。徳妃様方は役目を果たしたからこその立場ですか」
一方、皇后とは皇帝を挟んで逆側にいるのは端正な顔立ちをした男性だった。その面持ちは凛々しく、身体も力強く健康的だった。そのお姿は、女性に訪ねたら大半が魅力的だと答えるに違いない。
「あの殿方は?」
「あの人が金剛兄……金剛宮殿下、つまり皇太子って言えばいいかな」
皇太子はわたしの一番上の兄と同じぐらいの年代かしら。若くして既に風格が漂い始めていて、春華国の将来は安泰でしょうと思わせる安心感がある。
これは暁明様が早々に皇位継承を諦めるわけだ。
視線を少し脇に移すと、貴妃様の隣に見慣れない男性がいた。筋骨隆々で逞しい彼が武闘派で評判高い第二皇子こと青玉宮殿下だそうだ。
他にも見慣れない男子や女子がいるので、皆きっと貴妃様を母とする皇子皇女なんでしょう。
他にも妃が皇帝との御子を隣にして席についている辺り、互いに牽制し合っているように見えてならなかった。わたしはこうした政治的争いが大の苦手なので呆れてものも言えなかったが。
「既に後継者が決まっているのにいがみ合う意味が分からないんですけど」
「確かに金剛兄は立派に成長したけれど、これからも盤石とは限らない」
「それって、例えばふとした不幸で命を落とすかもって言いたいんですか?」
「万が一があったら絶好の機会として掴みたいんじゃない?」
あるいは事故や流行り病ではなく、刺客を差し向けたり毒殺を企てたり。皇太子がいなくなればあるいは我が子が次の皇帝となるかもしれない、との僅かな可能性があればいくらでも手を汚そうとする人種だっているのだから。
しかし、そんな中でも徳妃様の周囲は呑気なものだった。
遠くにいるから何を話し合っているかも聞こえないけれど、おそらく一体どんな演目が見られるのかと期待に胸を膨らませているようだ。
「牽制し合っている場でも徳妃様はいつものとおりですね」
「多分、一番この場を純粋に楽しんでいるよね」
「徳妃様は我が子こそ次の皇帝に、とか野望を持ってたりしないんですか?」
「とにかく無事に大人になって孫を見せてくれれば幸せだー、みたいなことは言ってたけれど?」
軽く言っているけれどそれは親としては何としてでも果たしたい願いだと思う。今こそ複数の皇子達が成人したのもあって多少落ち着いているけれど、昔の後宮は追い落としや騙し討ちの類が頻発した魔窟だったでしょうから。
「じゃあ暁明様も早く運命的な出会いを果たして徳妃様の願いを叶えないといけませんね」
「ん? もう運命の相手ならいるんだけれどね」
「言っておきますけれど、その誰かさんはお子様に興味はありませんからね」
「じゃあ成人してから僕のお嫁さんになってもらおうかな」
雑談をしている間にも演目が始まった。
たった一人で舞う者もいたし、複数人で披露する人達もいた。
誰もが皇帝に披露するだけあってとても美しいと思えて、こう胸が熱くなるような満足がいくものばかりだった。
「こうまでされちゃったらわたしってかなりお目汚しになるんじゃない? 大道芸人呼んできた方がまだマシな気が」
「でも雪慧の踊りって実戦を想定した型みたいなものなんでしょう? アレとかとはまた趣が違うんじゃない?」
「そう言ってくださるのは嬉しいんですけどねえ。まあ、軽く恥かいてきますよ」
「頑張ってね。応援してるから」
そう激励されたからには気合い入れていきますか。この舞は決して皇帝達のためなんかじゃなく、暁明様や徳妃様に捧げようじゃないか。
そんな感じに意気込んでいざ舞台へと向かった。
そこから退場までの間は無我夢中だったものだから一切記憶に残っていない。けれど充実感と達成感はあったからやりきったんだとの確信はあった。
「お疲れ様! もう凄かったよ!」
「ありがとうございます……」
「……って、大丈夫?」
「え? ええ、大丈夫ですよ」
退場したわたしを暁明様は真っ先に出迎えてくれた。ただ皇帝方の視界に入らなくなって緊張が解けたせいか、わたしは足をもつれさせてそのまま前のめりに倒れていった。
そんなわたしを暁明様が正面から受け止めてくれた。
「すみません。ちょっと張り切り過ぎちゃいまして……」
「それだけ全身全霊で舞ったんでしょう? 謝るどころか誇るべきだよ」
「そんなものですかね? 余力を残すぐらいじゃないと一人前って言えませんよ」
「いいんだよ。本職じゃあないんだから」
わたしは暁明様に抱えられながら控え場の片隅に座り込んだ。
このまま意識を暗転させてしまいたかったのだけれど、せっかく参加者としてここにいるからには他の人の踊りも見たい、となんとか気力を奮い立たせる。
そんなわたしの方へと歩み寄る人が一名。
彼女は華やかさも素朴さも感じさせない白ずくめの服を身にまとっていた。いや……服ばかりじゃあない。靴も手袋も、肌も髪すら真っ白だった。まるで故郷で冬に大地を埋め尽くす雪を思わせるほどで、美しいという単語すら陳腐なほど神秘的だった。
ただ一点、瞳だけが真紅に染まっている。その瞳がこちらを見下ろしていた。
「良かった。とても見応えがあった」
「え……? あ、はい。どうもありがとうございます?」
「今度は私が見せる番」
純白の女性は身を翻して舞台へと向かう。
その身のこなしは体重を全く感じさせないほど軽やかで、本当に彼女がその場にいるのかすら疑いたくなった。
その有り方は異質としか言いようがない。
「あの方は……?」
「彼女こそが正一品の妃の一人、賢妃様さ」
「彼女が……」
しかしその驚きは序章に過ぎなかった。
彼女が舞台に上がった途端に会場はしんと静まり返り、彼女の一挙動すら見逃すまいと固唾を呑んで見守っていた。先程とは真逆、彼女がその場を完全に支配していた。
そして、賢妃様は舞い始めた。
どのような様子だったかを語るのすら恐れ多い、とはまさにこのことだった。
誰もが見惚れた。誰もが絶賛した。
先に踊ったわたし達はどうしようもなく前座、引き立て役で。
しかし悔しいと思える余地も無いほど圧倒的で。
もう自分は踊るまいと絶望させるほどに強烈だった。
「ほら、暁明様。感動すべき芸とはああいうのを指すんですよ」
まあ、わたしは初めから身の程をわきまえていたのでそこまでの深手じゃあない。ただし、賢妃様の舞は他の者とは違い、そしてわたしと同じ実戦に応用出来るものと推察する。
もし彼女と戦うことになった場合、倒れるのはまずわたしでしょうね。
「でも僕は雪慧の舞が一番好きだったよ」
……。
はい?
「本当ですか? 慰めじゃなくて?」
「もちろん。好みの問題かもしれないけれどね」
「……っ」
わたしったらこの方が相手だとどうも調子を乱されてしまう。
苦手だ、と思う反面喜んでいる自分もいるのがとても複雑だ。
設営された会場は錚々たる面々が集っていた。
春華国を司る武官や文官の顔を見るなんて初めてだったし、後宮内の内官が揃ったのも初めてだった。そして、徳妃様のご子息である暁明様以外の皇族のお姿を目にするのも。
本来下女でしかないわたしは裏方で忙しく働かなきゃいけないのだけれど、今回は舞を披露するのもあって免除されている。その控えの場から眺める壮観な光景に驚いている状態だ。
「ほら、皇帝陛下の隣に座ってる人が皇后だよ」
で、何故かそんな出番を待つわたしの傍らに暁明様がいるのは今更でしょう。
他の参加者、その殆どが妃だったのもあってか、皇子と仲良くするわたしに向ける眼差しは怪訝を通り越して妬み、怒り、憎しみなど負の感情に満ちていた。居心地悪し。
外野を気にしまいと紹介された先に目を向けた。
皇后は先程お会いした貴妃様より更にお年を召されていたけれど、その分貫禄と威厳、そして己に対する絶対の自信に満ち溢れていた。
「そう言えば後宮の取り仕切っているのって貴妃様ですよね。どうして皇后様じゃあないんですか?」
「皇后も後宮に住んでるんだけれど賓客扱いだそうだね。昔は皇后が統括してたんだけれど、後宮内で不祥事があって皇后が責任を取る破目になっちゃったらしいよ」
「だから君臨はすれど統治せず、ですか。何かあったら貴妃様方正一品の妃に罪を被ってもらうために」
「まあ、その分不始末を侵さない限りは皇后だろうと母上達にあまり口出し出来ないみたいだけれどね」
成程、後宮内の仕組みもうまく出来ているものだ。
暁明様曰く、彼女は今の皇帝がその座に就いた時に皇后になったそうだ。それから皇帝の後宮に妃を、となった際に今の貴妃様や徳妃様が妃として集ったんだとか。つまりはこの三方が後宮内での最古参ってわけだ。
「あれ、そのわりに徳妃様方と年齢が近い妃をあまり見かけないような……」
「年を重ねて子を産めなくなったら価値が無いからね。母上達は皇子を生んだから残れたって話さ」
「あー、理解しました。徳妃様方は役目を果たしたからこその立場ですか」
一方、皇后とは皇帝を挟んで逆側にいるのは端正な顔立ちをした男性だった。その面持ちは凛々しく、身体も力強く健康的だった。そのお姿は、女性に訪ねたら大半が魅力的だと答えるに違いない。
「あの殿方は?」
「あの人が金剛兄……金剛宮殿下、つまり皇太子って言えばいいかな」
皇太子はわたしの一番上の兄と同じぐらいの年代かしら。若くして既に風格が漂い始めていて、春華国の将来は安泰でしょうと思わせる安心感がある。
これは暁明様が早々に皇位継承を諦めるわけだ。
視線を少し脇に移すと、貴妃様の隣に見慣れない男性がいた。筋骨隆々で逞しい彼が武闘派で評判高い第二皇子こと青玉宮殿下だそうだ。
他にも見慣れない男子や女子がいるので、皆きっと貴妃様を母とする皇子皇女なんでしょう。
他にも妃が皇帝との御子を隣にして席についている辺り、互いに牽制し合っているように見えてならなかった。わたしはこうした政治的争いが大の苦手なので呆れてものも言えなかったが。
「既に後継者が決まっているのにいがみ合う意味が分からないんですけど」
「確かに金剛兄は立派に成長したけれど、これからも盤石とは限らない」
「それって、例えばふとした不幸で命を落とすかもって言いたいんですか?」
「万が一があったら絶好の機会として掴みたいんじゃない?」
あるいは事故や流行り病ではなく、刺客を差し向けたり毒殺を企てたり。皇太子がいなくなればあるいは我が子が次の皇帝となるかもしれない、との僅かな可能性があればいくらでも手を汚そうとする人種だっているのだから。
しかし、そんな中でも徳妃様の周囲は呑気なものだった。
遠くにいるから何を話し合っているかも聞こえないけれど、おそらく一体どんな演目が見られるのかと期待に胸を膨らませているようだ。
「牽制し合っている場でも徳妃様はいつものとおりですね」
「多分、一番この場を純粋に楽しんでいるよね」
「徳妃様は我が子こそ次の皇帝に、とか野望を持ってたりしないんですか?」
「とにかく無事に大人になって孫を見せてくれれば幸せだー、みたいなことは言ってたけれど?」
軽く言っているけれどそれは親としては何としてでも果たしたい願いだと思う。今こそ複数の皇子達が成人したのもあって多少落ち着いているけれど、昔の後宮は追い落としや騙し討ちの類が頻発した魔窟だったでしょうから。
「じゃあ暁明様も早く運命的な出会いを果たして徳妃様の願いを叶えないといけませんね」
「ん? もう運命の相手ならいるんだけれどね」
「言っておきますけれど、その誰かさんはお子様に興味はありませんからね」
「じゃあ成人してから僕のお嫁さんになってもらおうかな」
雑談をしている間にも演目が始まった。
たった一人で舞う者もいたし、複数人で披露する人達もいた。
誰もが皇帝に披露するだけあってとても美しいと思えて、こう胸が熱くなるような満足がいくものばかりだった。
「こうまでされちゃったらわたしってかなりお目汚しになるんじゃない? 大道芸人呼んできた方がまだマシな気が」
「でも雪慧の踊りって実戦を想定した型みたいなものなんでしょう? アレとかとはまた趣が違うんじゃない?」
「そう言ってくださるのは嬉しいんですけどねえ。まあ、軽く恥かいてきますよ」
「頑張ってね。応援してるから」
そう激励されたからには気合い入れていきますか。この舞は決して皇帝達のためなんかじゃなく、暁明様や徳妃様に捧げようじゃないか。
そんな感じに意気込んでいざ舞台へと向かった。
そこから退場までの間は無我夢中だったものだから一切記憶に残っていない。けれど充実感と達成感はあったからやりきったんだとの確信はあった。
「お疲れ様! もう凄かったよ!」
「ありがとうございます……」
「……って、大丈夫?」
「え? ええ、大丈夫ですよ」
退場したわたしを暁明様は真っ先に出迎えてくれた。ただ皇帝方の視界に入らなくなって緊張が解けたせいか、わたしは足をもつれさせてそのまま前のめりに倒れていった。
そんなわたしを暁明様が正面から受け止めてくれた。
「すみません。ちょっと張り切り過ぎちゃいまして……」
「それだけ全身全霊で舞ったんでしょう? 謝るどころか誇るべきだよ」
「そんなものですかね? 余力を残すぐらいじゃないと一人前って言えませんよ」
「いいんだよ。本職じゃあないんだから」
わたしは暁明様に抱えられながら控え場の片隅に座り込んだ。
このまま意識を暗転させてしまいたかったのだけれど、せっかく参加者としてここにいるからには他の人の踊りも見たい、となんとか気力を奮い立たせる。
そんなわたしの方へと歩み寄る人が一名。
彼女は華やかさも素朴さも感じさせない白ずくめの服を身にまとっていた。いや……服ばかりじゃあない。靴も手袋も、肌も髪すら真っ白だった。まるで故郷で冬に大地を埋め尽くす雪を思わせるほどで、美しいという単語すら陳腐なほど神秘的だった。
ただ一点、瞳だけが真紅に染まっている。その瞳がこちらを見下ろしていた。
「良かった。とても見応えがあった」
「え……? あ、はい。どうもありがとうございます?」
「今度は私が見せる番」
純白の女性は身を翻して舞台へと向かう。
その身のこなしは体重を全く感じさせないほど軽やかで、本当に彼女がその場にいるのかすら疑いたくなった。
その有り方は異質としか言いようがない。
「あの方は……?」
「彼女こそが正一品の妃の一人、賢妃様さ」
「彼女が……」
しかしその驚きは序章に過ぎなかった。
彼女が舞台に上がった途端に会場はしんと静まり返り、彼女の一挙動すら見逃すまいと固唾を呑んで見守っていた。先程とは真逆、彼女がその場を完全に支配していた。
そして、賢妃様は舞い始めた。
どのような様子だったかを語るのすら恐れ多い、とはまさにこのことだった。
誰もが見惚れた。誰もが絶賛した。
先に踊ったわたし達はどうしようもなく前座、引き立て役で。
しかし悔しいと思える余地も無いほど圧倒的で。
もう自分は踊るまいと絶望させるほどに強烈だった。
「ほら、暁明様。感動すべき芸とはああいうのを指すんですよ」
まあ、わたしは初めから身の程をわきまえていたのでそこまでの深手じゃあない。ただし、賢妃様の舞は他の者とは違い、そしてわたしと同じ実戦に応用出来るものと推察する。
もし彼女と戦うことになった場合、倒れるのはまずわたしでしょうね。
「でも僕は雪慧の舞が一番好きだったよ」
……。
はい?
「本当ですか? 慰めじゃなくて?」
「もちろん。好みの問題かもしれないけれどね」
「……っ」
わたしったらこの方が相手だとどうも調子を乱されてしまう。
苦手だ、と思う反面喜んでいる自分もいるのがとても複雑だ。
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