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第1-3章 徳妃付侍女→紅玉宮妃(新版)
「ようやく友と再会できましたよ」
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「昇格おめでとう、雪慧」
「ありがとうございます」
わたしが後宮で働きだしてから季節が二回ほど移り変わったある日、侍女頭からはお褒めの言葉をいただいた。それから渡された給与明細の木簡に記された額が跳ね上がったのは純粋に嬉しかった。
「これで目標まで一段と近づいたんじゃない?」
「目標?」
「あら、まさかここに勤めだした目的も忘れちゃったの?」
「あー、そう言えばそうでしたね」
わたしは見識を広げるために春華国を旅して回っていて、路銀稼ぎを動機として後宮で働いている。下女待遇だったのでこれまでは中々貯金が貯まらなかったけれど、侍女待遇に上がったからには一年も必要としないでしょう。
「寂しいわー。雪慧が去っていくなんて」
「まあ、その時はその時に考えますよ。決断は未来の自分に押し付けるとして、それまでは目先に専念して今以上に頑張らせてもらいます」
「ふふ、頼もしいわね。よろしくお願いね」
「はい」
さて、そうは言ったものの、この時には既に後宮内の生活も悪くはないと思い始めていた。既に実家に頼らずとも一人で生きていけるし、別に実家は仕送りを必要としない程度には裕福だ。
よってわたしの人生はわたしが決めてしまえる状態にあった。
それを踏まえ、自分の身のふりを考えなきゃいけない時は迫っていた。
父の命に従って旅を続けて実家に帰るか、それともこのままここにいるか。
(わたしは……どうしたいのかしら?)
わたしは家族を誇りに思っているし故郷に愛着があるから役に立ちたいと願っているし、いつか帰りたいとも考えている。きっと立派になった時初めて父はわたしのことを褒めてくれるだろう。そう想像するだけで期待に胸を膨らませてしまう。
一方、徳妃様の為に働き続けたいとも思え始めていた。
仕事仲間とも仲良くなったし他の妃との諍いも無く、とても平穏。頻繁に催し物が開かれるから退屈もしないし、衣食住が安定して賃金があるのだから文句のつけようがない恵まれた環境と言える。
「何より僕がいるからね」
「そうそう、暁明様がいるから――」
自分の世界に浸っていたわたしは即座に現実へと引き戻された。自室で椅子に座って休憩していたらいつの間にか傍に暁明様がいたのだ。
思わず悲鳴を上げそうになったわたしの口を彼は慌てて押さえる。
「ちょっと、どうして暁明様がここにいるんですか?」
「ちゃんと入り口の戸は叩いたよ。返事がなかったから入ったんだけど。前いいよって言ってくれたよね」
「そうでしたっけ? まあそれはいいですけど、さっきのお言葉は何ですか?」
「いや、お給金を記された木簡を眺めてたから完全に当てずっぽうなんだけど」
その勘がどんぴしゃで当たっているから鋭い。苦笑いでごまかしておく。
「今日の予定は?」
「今日はお茶会です。招かれる側なんでぶっちゃけ暇ですね」
後宮内ではただ皇帝の御通りを待っていればいいわけじゃない。皇帝に見初められるべく自分を磨く必要もあるが、皇帝の寵愛を受けたからと安心してはいけないのよ。
そう。もし隣の女が皇帝に愛されたとして、素直に祝福するか? 次は自分こそが愛されればいいと割り切るか?
むしろ、皇帝が見ていないこの後宮という閉ざされた空間で、邪魔者を始末すればいいのではないか?
そんな感じに孤立しないよう自分の味方は常日頃作っておくべきでしょうね。交流を深めるのもよし。恩を売るのもよし。立ち回りに気をつけて悪評を発生させないのも手だ。争いは常に起こっているとも言え、油断する暇もない。
妃同士のお茶会もその一つ。
例えば正五品の妃が正二品の妃をもてなしてその庇護下に入ろうとしたり、例えば正二品同士の妃が牽制のため接触するとか。後宮内でよほど大々的な行事が催されない限りは毎日どこかで必ず開かれている。
「まあ妾はもっぱら招かれる側なんだがの。面倒くさいんじゃが彼女たちの為にも会ってやらんわけにもいくまい」
とは言え、既に男子をお生みになった徳妃様の地位は安泰。よほどの下手を打たないか謀られない限り失脚はありえないでしょう。
むしろ徳妃様は他の目下の妃達を守るべき立場にあるので、招かれるにしろもてなすにしろこちらは楽なものだ。
が、例外もある。たまに皇后に呼び出される時もあるし彼女のご機嫌を伺わなきゃならない事もある。あと正一品の妃同士で意見を交わし合い、後宮の有り方が現状で問題無いかすり合わせを行ったり。
「で、今日の相手は?」
「淑妃様だそうです」
「うへえ、僕あの人苦手」
「わたしはむしろ好ましいですけどね。あの方にはまだ向上心がありますから」
皇帝の御子は既に成人した男性が幾人もおり、後宮は既に安定期に入っていると評していい。また新たに皇子を生んだとしても皇帝になれる可能性は限りなく低い。故に、皇帝との子は次代に移った際の身の振り方の選択肢を広げる手段に成り下がっている。
しかし、天災に襲われたり、蛮族の侵略に遭ったりで上が一斉に脱落する可能性は決して低くない。その時我が子を据えられれば。そう僅かな望みを託して今もなお若き妃は皇帝の愛を得ようとしているわけだ。
淑妃様はそんな若手の筆頭と言うべき方だった。
皇后や徳妃様方を敵視しているけれど決して馬鹿じゃあない。衝突しないよう他の妃達との交流は欠かさず深めている。
そんな淑妃様を徳妃様は高く評価していて、お二人の関係は良好と言ってよかった。
「ちゃんと幼い弟を生んでいるんだから大したものだよ」
「折角ですからお会いになられては?」
「母親の違う兄弟とはなるべく会わない方がいい、って母上が」
「あー。争いの元になるからですか。それは残念」
「雪慧は弟達と会っているの?」
「他の妃に仕える下女と大切な皇子を会わせるわけないじゃないですか」
侍女に昇格したわたしは晴れてお茶会に同行させていただくことになった。
いや別に妃同士の腹の探り合いと立ち会いたいとは微塵も思わない。大人しく自室で待機したほうがよほど平和でしょうから。
「じゃあなんで嬉しそうなの?」
「やっと会いたかった人に会えるからですね」
「……誰?」
「旅の途中で知り合った友人です。淑妃様付き侍女になってるって聞いてます」
「ふぅん。雪慧ったら僕の知らない間に交流を深めてるんだ」
どうしよう。むくれる我が君が可愛い。もうちょっと意地悪してもいいかもと思っちゃったのは内緒だ。
膨らませた頬をつついてもバチは当たらないよね? それとも頬ずりしてもいいかも?
と、言うわけでわたしは徳妃様に同行して淑妃様の部屋へと向かった。
淑妃様方はやってきた徳妃様に予想していたよりはるかに丁寧に恭しく一礼した。招かれた部屋の掃除・整頓具合、そして出されるお茶やお菓子の類、もてなしの心が伝わってくる。
「改めまして、今日はお招きいただきましてありがとうございます」
「こちらこそ、今日はようこそお越し下さりました」
挨拶から始まった二人の妃の交流は賑やかに行われた。
腹の探り合いも無く、さりとて互いを褒めちぎるような余所余所しさもない。古くから付き合いがある友人のように自分の思ったことをそのまま口にした。
面白いのが徳妃様は堂々と対抗心を燃やす淑妃様を歓迎し、淑妃様も退屈させないよう面白い話を次々と披露する徳妃様を尊敬していたことだ。そして皇帝をもり立てて春華国にさらなる繁栄を、との意識で一致していた。
「そう言えば紅玉宮殿下がそろそろ成人の儀を迎えられるそうで。おめでとうございます」
「めでとうないわ。成人したらもう愛する我が子が後宮には戻ってこなくなるではないか」
「それは残念ですわ。その分わたくしが我が子を愛でるとしましょう」
「嫌味か貴様っ。……まあ、皇后様や貴妃様方も同じように自分の子を見送ったのだ。妾だけがわがままを言うわけにもいくまい」
「どの皇子殿下も立派に成長なさっていましたわね。この間久しぶりに目の当たりにして驚いてしまいましたわ」
「うむ。さぞや誇りに思っていることであろうな」
さて、妃方が交流を深めている間、淑妃様付きの侍女は料理を出したり皿を片付けたりと慌ただしく動く者もいれば、淑妃様の傍で意見を聞かれたら答える者もいた。主に恥をかかせまいと皆堂々と、かつ落ち着いている辺り教育の質の高さが伺える。
その中の一人にわたしのお目当ての人物がいた。
彼女はわたしがやってくると顔を輝かせて喜びをあらわにしてくれた。お茶会が控えていたので言葉こそかわさなかったけれど、元気そうで何よりだった。
「雪慧さん!」
お茶会が終わってから彼女を訪ねると諸手を挙げて歓迎してくれた。淑妃様付きの侍女頭にはこちらの侍女頭を通じて了解は得ていると、と伝えると彼女はわたしを自室に招いてくれた。
「久しぶりね。元気にしてた?」
それが彼女、帝都へやってくる途中で知り合った夜鈴との再会だった。
「ありがとうございます」
わたしが後宮で働きだしてから季節が二回ほど移り変わったある日、侍女頭からはお褒めの言葉をいただいた。それから渡された給与明細の木簡に記された額が跳ね上がったのは純粋に嬉しかった。
「これで目標まで一段と近づいたんじゃない?」
「目標?」
「あら、まさかここに勤めだした目的も忘れちゃったの?」
「あー、そう言えばそうでしたね」
わたしは見識を広げるために春華国を旅して回っていて、路銀稼ぎを動機として後宮で働いている。下女待遇だったのでこれまでは中々貯金が貯まらなかったけれど、侍女待遇に上がったからには一年も必要としないでしょう。
「寂しいわー。雪慧が去っていくなんて」
「まあ、その時はその時に考えますよ。決断は未来の自分に押し付けるとして、それまでは目先に専念して今以上に頑張らせてもらいます」
「ふふ、頼もしいわね。よろしくお願いね」
「はい」
さて、そうは言ったものの、この時には既に後宮内の生活も悪くはないと思い始めていた。既に実家に頼らずとも一人で生きていけるし、別に実家は仕送りを必要としない程度には裕福だ。
よってわたしの人生はわたしが決めてしまえる状態にあった。
それを踏まえ、自分の身のふりを考えなきゃいけない時は迫っていた。
父の命に従って旅を続けて実家に帰るか、それともこのままここにいるか。
(わたしは……どうしたいのかしら?)
わたしは家族を誇りに思っているし故郷に愛着があるから役に立ちたいと願っているし、いつか帰りたいとも考えている。きっと立派になった時初めて父はわたしのことを褒めてくれるだろう。そう想像するだけで期待に胸を膨らませてしまう。
一方、徳妃様の為に働き続けたいとも思え始めていた。
仕事仲間とも仲良くなったし他の妃との諍いも無く、とても平穏。頻繁に催し物が開かれるから退屈もしないし、衣食住が安定して賃金があるのだから文句のつけようがない恵まれた環境と言える。
「何より僕がいるからね」
「そうそう、暁明様がいるから――」
自分の世界に浸っていたわたしは即座に現実へと引き戻された。自室で椅子に座って休憩していたらいつの間にか傍に暁明様がいたのだ。
思わず悲鳴を上げそうになったわたしの口を彼は慌てて押さえる。
「ちょっと、どうして暁明様がここにいるんですか?」
「ちゃんと入り口の戸は叩いたよ。返事がなかったから入ったんだけど。前いいよって言ってくれたよね」
「そうでしたっけ? まあそれはいいですけど、さっきのお言葉は何ですか?」
「いや、お給金を記された木簡を眺めてたから完全に当てずっぽうなんだけど」
その勘がどんぴしゃで当たっているから鋭い。苦笑いでごまかしておく。
「今日の予定は?」
「今日はお茶会です。招かれる側なんでぶっちゃけ暇ですね」
後宮内ではただ皇帝の御通りを待っていればいいわけじゃない。皇帝に見初められるべく自分を磨く必要もあるが、皇帝の寵愛を受けたからと安心してはいけないのよ。
そう。もし隣の女が皇帝に愛されたとして、素直に祝福するか? 次は自分こそが愛されればいいと割り切るか?
むしろ、皇帝が見ていないこの後宮という閉ざされた空間で、邪魔者を始末すればいいのではないか?
そんな感じに孤立しないよう自分の味方は常日頃作っておくべきでしょうね。交流を深めるのもよし。恩を売るのもよし。立ち回りに気をつけて悪評を発生させないのも手だ。争いは常に起こっているとも言え、油断する暇もない。
妃同士のお茶会もその一つ。
例えば正五品の妃が正二品の妃をもてなしてその庇護下に入ろうとしたり、例えば正二品同士の妃が牽制のため接触するとか。後宮内でよほど大々的な行事が催されない限りは毎日どこかで必ず開かれている。
「まあ妾はもっぱら招かれる側なんだがの。面倒くさいんじゃが彼女たちの為にも会ってやらんわけにもいくまい」
とは言え、既に男子をお生みになった徳妃様の地位は安泰。よほどの下手を打たないか謀られない限り失脚はありえないでしょう。
むしろ徳妃様は他の目下の妃達を守るべき立場にあるので、招かれるにしろもてなすにしろこちらは楽なものだ。
が、例外もある。たまに皇后に呼び出される時もあるし彼女のご機嫌を伺わなきゃならない事もある。あと正一品の妃同士で意見を交わし合い、後宮の有り方が現状で問題無いかすり合わせを行ったり。
「で、今日の相手は?」
「淑妃様だそうです」
「うへえ、僕あの人苦手」
「わたしはむしろ好ましいですけどね。あの方にはまだ向上心がありますから」
皇帝の御子は既に成人した男性が幾人もおり、後宮は既に安定期に入っていると評していい。また新たに皇子を生んだとしても皇帝になれる可能性は限りなく低い。故に、皇帝との子は次代に移った際の身の振り方の選択肢を広げる手段に成り下がっている。
しかし、天災に襲われたり、蛮族の侵略に遭ったりで上が一斉に脱落する可能性は決して低くない。その時我が子を据えられれば。そう僅かな望みを託して今もなお若き妃は皇帝の愛を得ようとしているわけだ。
淑妃様はそんな若手の筆頭と言うべき方だった。
皇后や徳妃様方を敵視しているけれど決して馬鹿じゃあない。衝突しないよう他の妃達との交流は欠かさず深めている。
そんな淑妃様を徳妃様は高く評価していて、お二人の関係は良好と言ってよかった。
「ちゃんと幼い弟を生んでいるんだから大したものだよ」
「折角ですからお会いになられては?」
「母親の違う兄弟とはなるべく会わない方がいい、って母上が」
「あー。争いの元になるからですか。それは残念」
「雪慧は弟達と会っているの?」
「他の妃に仕える下女と大切な皇子を会わせるわけないじゃないですか」
侍女に昇格したわたしは晴れてお茶会に同行させていただくことになった。
いや別に妃同士の腹の探り合いと立ち会いたいとは微塵も思わない。大人しく自室で待機したほうがよほど平和でしょうから。
「じゃあなんで嬉しそうなの?」
「やっと会いたかった人に会えるからですね」
「……誰?」
「旅の途中で知り合った友人です。淑妃様付き侍女になってるって聞いてます」
「ふぅん。雪慧ったら僕の知らない間に交流を深めてるんだ」
どうしよう。むくれる我が君が可愛い。もうちょっと意地悪してもいいかもと思っちゃったのは内緒だ。
膨らませた頬をつついてもバチは当たらないよね? それとも頬ずりしてもいいかも?
と、言うわけでわたしは徳妃様に同行して淑妃様の部屋へと向かった。
淑妃様方はやってきた徳妃様に予想していたよりはるかに丁寧に恭しく一礼した。招かれた部屋の掃除・整頓具合、そして出されるお茶やお菓子の類、もてなしの心が伝わってくる。
「改めまして、今日はお招きいただきましてありがとうございます」
「こちらこそ、今日はようこそお越し下さりました」
挨拶から始まった二人の妃の交流は賑やかに行われた。
腹の探り合いも無く、さりとて互いを褒めちぎるような余所余所しさもない。古くから付き合いがある友人のように自分の思ったことをそのまま口にした。
面白いのが徳妃様は堂々と対抗心を燃やす淑妃様を歓迎し、淑妃様も退屈させないよう面白い話を次々と披露する徳妃様を尊敬していたことだ。そして皇帝をもり立てて春華国にさらなる繁栄を、との意識で一致していた。
「そう言えば紅玉宮殿下がそろそろ成人の儀を迎えられるそうで。おめでとうございます」
「めでとうないわ。成人したらもう愛する我が子が後宮には戻ってこなくなるではないか」
「それは残念ですわ。その分わたくしが我が子を愛でるとしましょう」
「嫌味か貴様っ。……まあ、皇后様や貴妃様方も同じように自分の子を見送ったのだ。妾だけがわがままを言うわけにもいくまい」
「どの皇子殿下も立派に成長なさっていましたわね。この間久しぶりに目の当たりにして驚いてしまいましたわ」
「うむ。さぞや誇りに思っていることであろうな」
さて、妃方が交流を深めている間、淑妃様付きの侍女は料理を出したり皿を片付けたりと慌ただしく動く者もいれば、淑妃様の傍で意見を聞かれたら答える者もいた。主に恥をかかせまいと皆堂々と、かつ落ち着いている辺り教育の質の高さが伺える。
その中の一人にわたしのお目当ての人物がいた。
彼女はわたしがやってくると顔を輝かせて喜びをあらわにしてくれた。お茶会が控えていたので言葉こそかわさなかったけれど、元気そうで何よりだった。
「雪慧さん!」
お茶会が終わってから彼女を訪ねると諸手を挙げて歓迎してくれた。淑妃様付きの侍女頭にはこちらの侍女頭を通じて了解は得ていると、と伝えると彼女はわたしを自室に招いてくれた。
「久しぶりね。元気にしてた?」
それが彼女、帝都へやってくる途中で知り合った夜鈴との再会だった。
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