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番外編 城南家の裏事情
第3話 城南陽菜の裏事情
しおりを挟む全く。うちの男共はそろいもそろって頭硬くて嫌になる。強情というより、素直じゃない子供みたいなのよね。
父さんは輝兄のこと、一番信頼してるくせに……自分に黙って入籍したのが許せないのよ。
だから、ちょっと拗ねてみたのよね。そうすれば、折れて頭下げてくるとでも思ってたのかな。まあ、それが一番問題なかったのか。
輝兄は菜々子さんのことで頭にカーッて血が上ってんのかしら。いつもなら根気よく説得するところなのに、出てっちゃって。反抗期かよっ。
ま、ずっと小さい頃から跡取りって言われてて、しかも弟の晄兄や私の方が優秀で、自信喪失だったのもあるかも。うーん、男心は面倒くさいわ。菜々子さんはどう思ってんだろ。
そして、今回最大の驚きは、晄兄ね。いきなりカミングアウトしたかと思ったら、『恋人と同棲する』って宣言してさー。でっかいダブルベッド部屋に入れたのはまじビビった。
しかも連れてきたのが、これまたどこのアイドルって感じの可愛い子で……法学部の大学生ってのが見事なオチよね。
私は元々、晄兄がゲイだってのは気付いてた。彼女がずっといなかったってのもあるけど、小学生のころから、女の子に全く興味なかったんだよね。
晄兄にとって、世界中で女性は母さんだけだった(私は女として見てもらってない。多分弟と思ってる)。強烈なマザコンなんだと思ってたけど、母さんが亡くなったあともそれは変わらなくて……。
大学生になってからかな、時々親友って人を連れてきてた。
――――もしかしたら、晄兄はこの人のこと好きなのかも。
彼に対する眼差しが、母さんに対するものと似てたのよね。けど、結局フラれたみたい。彼は晄兄とは親友のままでいたかったんだね。
そして今回。晄兄はあの、涼君を同じ眼差しで見てる。これはもう本気ってことよ。父さんはフェイクだって疑ってるみたいだけど、晄兄に関しては本気だね。
兄貴が事務所を継ぎたくないのなんて誰でも知ってること。だから、父さんに当てつけで連れてきたのもウソじゃないだろうけど。それにかこつけて、本気で好きな子連れてきたんだよ、あれは。
でもって……問題は涼君よね。正真正銘の苦学生だってのは、私が使ってる調査員に調べてもらってわかった。あ、誤解しないでね。やっぱり兄と事務所を思う妹としてはちゃんと素性は調べなきゃ。
菜々子さんの時ももちろん調査したわよ。結果はまあ、問題なかった。今まで輝兄はロクな女連れてこなかったのを考えたら、最高値をたたき出してたわ。
でも、涼君がゲイだって証拠は何も出てこなかった。勉強と生活に追われて恋愛どころではない人生だったようだけど。
――――晄兄は、涼君を落とすことができるか?
これからは、その様子を楽しむことにするかな。
え? 城南法律事務所の跡継ぎは気にならないのかって? そんなの、結局私がいなければどうにもならないのよ。それは誰もがわかってる。だから、収まるところに収まるのを黙って見てればいいの。
さて、父さんの巻き返しもあるだろうし、これは退屈しないですみそうだな。
つづく
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