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脳が結構バグっていた話
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オカルトとは少し違うが、不思議な話。
私の脳は、まぁまぁバグっていた。
知名度の上がってきた、「不思議の国のアリス症候群」。
私は小学生の時、ソレの気があった。
目の前のものが、異様に大きく近く、または小さく遠く見えるこの症状。幼い頃に起こり、成長すると自然となくなるという。確かに、大人になった今、もう見ることはない。
私の場合、見ているものが大きく近くなることはなかった。
だいたい、ずうっと一点を見ている時に起こりやすかった。
それが起こると、視界のまわりは暗く、黒い。視野が狭まる。そして見ている筈の景色が、遠く遠くの出来事に見える。
初代ポケモンの、白黒ゲーム画面が、めちゃくちゃ遠く遠く、どんどん小さくなる。
待って、今、四天王戦なのに。うっ、文字読みづらぁぁ……
とか。
ご飯を食べていたら、急に食卓が、向かいに座る妹が、遠く小さくなる。うっわ小さっっ。お箸で摘まめそう。
とか。
ぱちぱち、と箸越しに、米粒サイズになってしまった、妹の顔を挟んで見る。その箸も、自分の手も、遠い。
そんな症状だ。
当時、こういう状態は私にとってよくあることだった。他のアリス症候群の人もそうだろう。
「ぁぁー、またか」程度に思っていた。たまに起こる見え方の異常で、普通のことなんだと思っていた。親にも友達にも特に言わなかった。
成長してからその症状の名前を知って、少数派だと知る。
なるほどね!! 確かに不思議の国のアリス。そう納得する人が多いだろう。私もその1人だった。
今思えば、アリス症候群の延長だったのかもしれない。
高2の時だ。体育の後の、数学の授業の視界が、変になった。
視界のまわりが、暗い。視野がとんでもなく狭い。飛蚊がガンガンに飛び交う。現実が遠く感じる。黒板がめちゃくちゃ見えにくい。
それが毎週続く。体育の後の授業が、数学でなければ、そんなに酷くない。
身体を動かした後の、嫌いな授業。
精神的なものかな、と最初は気にしないようにしていたものの、授業の後半までそんな感じ。嫌いな数学でも、これはちょっと困る。
親に相談して、病院へ行こうということになり、脳のCTを撮ってもらった。CT機器の天井の近さにビックリしながら、目を閉じる。
そう時間はかからなかった撮影後。眼球がぽっかりと写る、自身の脳の輪切りを、医師と母と見た。
高ッッい金を出してもらったのに、やっぱり異常はゼロ。
「皺が多いですねー、良い感じです(*´ー`*)」
なんて言われて、記念にCT写真をいただいて帰ったのだった。
その診断に安心したのだろうか。
数学は相変わらず苦手なままだったが、視界が狭く暗くなる症状は、暫くしておさまっていった。
* * *
何年も前に話題? になった「デジャ・ビュ」。
既視感、と呼ばれるもの。あ、この情景視たことがある、という、一瞬の現象。
これは、大学生頃まであった。
例えば、友達と喋っている景色、内容。
例えば、部活の合宿での、とある光景。
何気ない日常の一コマに、「ああ、この景色見たことある。この前の夢でだっけ……?」と、ちょっと気持ち悪い感覚を残しながら、過ぎさっていく感覚だ。
ただ、私のデジャビュには、明らかな正夢もあった。
夢で確かに見たことが、現実でその通りになったことがある。
ひとつめは、マリオのゲームに関するものだった。ゲームボーイアドバンスの時代だ。
ポケモン四天王戦の白黒画面からカラーになった……それは置いておいて……
夢の中の私は、夢の中でもゲームをしていた。ゲーム人間あるある。
しかしその夢では、クリアしたはずの章マップで、分かりにくいところに、見覚えのないステージが、ぽつんと一つあった。
「あれ? こんなところにまだステージあったんや!」
嬉々として遊ぶ私──
朝、目覚めても、私はその夢をしっかり覚えていた。気になって、すぐに攻略本を確認する。すると、
「え、隠し……ステージ……!?」
夢で見たのと全く同じマップ位置に、隠しステージがあったのだ。全然、知らなかった。
だって、その章は序盤の二章かそこらで、攻略本を見なくてもクリアできていたから、そのページは初めて開いたのだ。
夢のお告げ、正夢ってこういうことか……
ぽかんとしながら学校に行ったのを覚えている。
印象深い正夢は、もう一つ。
これも中学の時。あ、さっきのも中学の頃。
数学の授業の夢だった。黒板には、三角形が書かれていた。
そしてその下には、『2.14』の数字。
夢の中の先生が笑って言う。
「答えは~、2.14。バレンタインみたいな数字になったね~」
ははは、とクラスに笑いが起きる。私はふふ、と笑う──
そんな夢を見た、1か月後ぐらいだったろうか。定期テストの返却があって、解説の授業があった。数学だ。
「えー、次、応用問題ね」
先生が、大きな三角定規を使って黒板に図を書く音を、ぼんやりと聞く。
はぁ、眠いなぁ。
応用問題はもちろんアカンかったな……
「さて──……」
作図の終わった先生が話し始めて、顔を上げる。
あ。
黒板には、三角形と、その下には2.14の数字。
いや、これだいぶ前に見た夢の、黒板の、三角形と数字……
2.14……全く、一緒……
「え~、なので答えは、2.14でした」
お、続けて、バレンタイン? バレンタインみたいって言うの先生!?
「次の問題ね~」
言 わ ん の か い !!
そりゃ言わんか、幼稚すぎるもん。なんなんあの夢……!
クソッ! テストの時にこの三角形にピンと来てたら……!! なんやねん私の回答『3』って!
せっかく夢でカンニングできていたのに、と、めちゃくちゃ悔しかったことを覚えている。
私の脳は、まぁまぁバグっていた。
知名度の上がってきた、「不思議の国のアリス症候群」。
私は小学生の時、ソレの気があった。
目の前のものが、異様に大きく近く、または小さく遠く見えるこの症状。幼い頃に起こり、成長すると自然となくなるという。確かに、大人になった今、もう見ることはない。
私の場合、見ているものが大きく近くなることはなかった。
だいたい、ずうっと一点を見ている時に起こりやすかった。
それが起こると、視界のまわりは暗く、黒い。視野が狭まる。そして見ている筈の景色が、遠く遠くの出来事に見える。
初代ポケモンの、白黒ゲーム画面が、めちゃくちゃ遠く遠く、どんどん小さくなる。
待って、今、四天王戦なのに。うっ、文字読みづらぁぁ……
とか。
ご飯を食べていたら、急に食卓が、向かいに座る妹が、遠く小さくなる。うっわ小さっっ。お箸で摘まめそう。
とか。
ぱちぱち、と箸越しに、米粒サイズになってしまった、妹の顔を挟んで見る。その箸も、自分の手も、遠い。
そんな症状だ。
当時、こういう状態は私にとってよくあることだった。他のアリス症候群の人もそうだろう。
「ぁぁー、またか」程度に思っていた。たまに起こる見え方の異常で、普通のことなんだと思っていた。親にも友達にも特に言わなかった。
成長してからその症状の名前を知って、少数派だと知る。
なるほどね!! 確かに不思議の国のアリス。そう納得する人が多いだろう。私もその1人だった。
今思えば、アリス症候群の延長だったのかもしれない。
高2の時だ。体育の後の、数学の授業の視界が、変になった。
視界のまわりが、暗い。視野がとんでもなく狭い。飛蚊がガンガンに飛び交う。現実が遠く感じる。黒板がめちゃくちゃ見えにくい。
それが毎週続く。体育の後の授業が、数学でなければ、そんなに酷くない。
身体を動かした後の、嫌いな授業。
精神的なものかな、と最初は気にしないようにしていたものの、授業の後半までそんな感じ。嫌いな数学でも、これはちょっと困る。
親に相談して、病院へ行こうということになり、脳のCTを撮ってもらった。CT機器の天井の近さにビックリしながら、目を閉じる。
そう時間はかからなかった撮影後。眼球がぽっかりと写る、自身の脳の輪切りを、医師と母と見た。
高ッッい金を出してもらったのに、やっぱり異常はゼロ。
「皺が多いですねー、良い感じです(*´ー`*)」
なんて言われて、記念にCT写真をいただいて帰ったのだった。
その診断に安心したのだろうか。
数学は相変わらず苦手なままだったが、視界が狭く暗くなる症状は、暫くしておさまっていった。
* * *
何年も前に話題? になった「デジャ・ビュ」。
既視感、と呼ばれるもの。あ、この情景視たことがある、という、一瞬の現象。
これは、大学生頃まであった。
例えば、友達と喋っている景色、内容。
例えば、部活の合宿での、とある光景。
何気ない日常の一コマに、「ああ、この景色見たことある。この前の夢でだっけ……?」と、ちょっと気持ち悪い感覚を残しながら、過ぎさっていく感覚だ。
ただ、私のデジャビュには、明らかな正夢もあった。
夢で確かに見たことが、現実でその通りになったことがある。
ひとつめは、マリオのゲームに関するものだった。ゲームボーイアドバンスの時代だ。
ポケモン四天王戦の白黒画面からカラーになった……それは置いておいて……
夢の中の私は、夢の中でもゲームをしていた。ゲーム人間あるある。
しかしその夢では、クリアしたはずの章マップで、分かりにくいところに、見覚えのないステージが、ぽつんと一つあった。
「あれ? こんなところにまだステージあったんや!」
嬉々として遊ぶ私──
朝、目覚めても、私はその夢をしっかり覚えていた。気になって、すぐに攻略本を確認する。すると、
「え、隠し……ステージ……!?」
夢で見たのと全く同じマップ位置に、隠しステージがあったのだ。全然、知らなかった。
だって、その章は序盤の二章かそこらで、攻略本を見なくてもクリアできていたから、そのページは初めて開いたのだ。
夢のお告げ、正夢ってこういうことか……
ぽかんとしながら学校に行ったのを覚えている。
印象深い正夢は、もう一つ。
これも中学の時。あ、さっきのも中学の頃。
数学の授業の夢だった。黒板には、三角形が書かれていた。
そしてその下には、『2.14』の数字。
夢の中の先生が笑って言う。
「答えは~、2.14。バレンタインみたいな数字になったね~」
ははは、とクラスに笑いが起きる。私はふふ、と笑う──
そんな夢を見た、1か月後ぐらいだったろうか。定期テストの返却があって、解説の授業があった。数学だ。
「えー、次、応用問題ね」
先生が、大きな三角定規を使って黒板に図を書く音を、ぼんやりと聞く。
はぁ、眠いなぁ。
応用問題はもちろんアカンかったな……
「さて──……」
作図の終わった先生が話し始めて、顔を上げる。
あ。
黒板には、三角形と、その下には2.14の数字。
いや、これだいぶ前に見た夢の、黒板の、三角形と数字……
2.14……全く、一緒……
「え~、なので答えは、2.14でした」
お、続けて、バレンタイン? バレンタインみたいって言うの先生!?
「次の問題ね~」
言 わ ん の か い !!
そりゃ言わんか、幼稚すぎるもん。なんなんあの夢……!
クソッ! テストの時にこの三角形にピンと来てたら……!! なんやねん私の回答『3』って!
せっかく夢でカンニングできていたのに、と、めちゃくちゃ悔しかったことを覚えている。
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