「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています 【完結】

日下奈緒

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第八章 やっと気づいた気持ち ④

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「カイル、甘えてもいい?」

夕陽の残照が差し込む書斎の中で、私はそっとカイルの手を握った。

すると彼は、何も言わずに私を優しく抱きしめてくれる。

「いいよ。君の弱いところも、全部見せてくれ。俺が守るよ。」

その言葉は、ふわりと私の心を撫でるように優しくて──思わず目を閉じた。

「……俺を頼って欲しい。俺は、君の夫になる人なのだから。」

頬にそっと落ちてきたキスが、あたたかくて、やさしくて。

私は、このぬくもりを永遠に放したくないと思った。

だけど、胸の奥に沈んでいた言葉が、どうしても出てきてしまう。

「……周囲は、カイルとティアナ様が結婚すればいいって……そう言うの。」

ふと漏らした声に、カイルの腕の力が少しだけ強くなった。

「噂は、風のように吹き抜けていくものだよ。でも、俺の気持ちは、誰に左右されるものでもない。」

「でも、聖女様は美しくて、気品があって……私なんかより、ずっと……」

カイルの手が、私を静かに遮る。

「俺は君を選んだ。誰に何を言われても、何を思われても、それは揺るがない。君でなければ、ダメなんだ。」

目を見つめられて、逃げられなかった。

まっすぐで、強くて、あたたかい彼の瞳。

「君が笑えば嬉しい。君が泣けば抱きしめたい。君が不安なら、手を握る。」

「……カイル……」

「俺にとって、唯一無二の婚約者は君だけだよ。セレナ。」

そう言って、彼は私にもう一度、深く口づけてくれた。

迷いも、不安も、すべて溶かすように。

「カイル……」

揺れる気持ちを、もう隠していられなかった。

胸に満ちた想いが、溢れ出しそうで──私はそっと唇を開いた。

「好きです。あなたが。」

カイルが驚いたように私を見つめる。

けれど、すぐにその瞳が、やわらかな光を宿す。

「誰よりも強い心で、あなたを想っています。」

声が震えるのは、怖かったからじゃない。

この愛が本物で、どうしようもないくらい、心が彼に惹かれているから。

そんな私の告白に、カイルは──困ったように、けれどどこか嬉しそうに笑った。

「参ったな。」

「カイル……?」

彼は私の頬に手を当てて、真っ直ぐに言った。

「今夜は……帰れそうにない。」

その言葉に、胸が跳ねた。

嬉しい。私も──もう、彼を帰したくない。

「側にいて。」

その言葉を合図に、カイルは私をそっと抱き上げ、寝室のベッドへと運んだ。

そして、柔らかいベッドの上、優しく私を押し倒す。

「あなたを……愛したい。」

震える声で告げる私に、カイルは静かに頷いた。

「その気持ちに応えるよ。セレナの愛は、俺にとって糧だから。」

唇が重なるたび、肌が触れ合うたびに、私たちは何度も何度も、お互いを確かめ合った。

甘い囁きと吐息、指先の温もり、すべてが愛おしくて。

夜は静かに深まりながら、私たちを包んでいった。
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