15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜 【完結】

日下奈緒

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第10章 15歳差の恋、いま永遠になる

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その言葉に、私も、お父さんも、思わず「えっ」と声を漏らした。

「お父さんのお気持ちも分かります。でも……」

玲央さんは少し笑って、私の方をちらりと見た。

「ひよりさん、けっこうタフなんですよ。」

「おおっ……?」

お父さんが目を見開く。

まるで“初耳だぞ”とでも言いたげな顔。

「ひよりさんって、一度やると決めたらとことんやるタイプです。家事も、勉強も、俺の心配も……なんでも引き受けようとする。でも、俺はそれを支えたいんです。支えるために、結婚したいんです。」

玲央さんの言葉が、どんどん熱を帯びていく。

「僕が、全力でひよりさんを守ります。卒業できるよう、全力でサポートします。そして社会人になっても──僕が、誰よりも彼女を大切にします。」

その言葉に、父はしばらく口を開けたまま固まっていた。

部屋の中に、静かな沈黙が落ちる。

私は息をのんで、父の返事を待った。

……そして。

「……はぁー……」

父は、大きなため息をついた。

そしてぽつりと、笑うように、でもちょっと悔しそうに言った。

「……そこまで言うんだったら──結婚させましょうか。」

「えっ……」

その言葉に、今度は私が驚いた番だった。

「ただし。」

父は玲央さんをぐっと見据える。

「“大切にする”っていうのは、口で言うほど簡単じゃない。娘を守るってことは、家族として、ずっと背負うってことだからな。」

玲央さんは真剣にうなずいた。

「もちろんです。覚悟してます。」

「……よし。」

父が笑った。その笑顔は、少しだけ照れくさくて、少しだけ嬉しそうだった。

この日、私たちは家族としての“はじまり”を、ようやく父に認めてもらえた気がした。

そして一週間後。

ついにその日がやってきた。

私は、玲央さんのご両親と会うため、彼の会社へと向かっていた。

なのに。

ちらりと隣を見た。

「……お父さん、どうしてついてきたの?」

スーツに身を包んだ父は、まるで自分が主役かのように堂々としている。

「おまえがまだ二十歳だからだ。念のため、俺が責任をもって“確認”しに来た。」

「……確認って何を……」

言い返す余裕もないまま、私たちは玲央さんに案内され、会社の最上階へと上がった。

案内されたのは──“会長室”。

「こ、ここ……?」

革張りの椅子。高級感のあるデスク。

窓からは東京の街が一望できる、まるでドラマの中の世界だった。

ドアが開くと、そこには、柔らかく笑みをたたえた男性が立っていた。

「よくぞいらして頂きました。」

玲央さんにどこか似た目元。だが声には年季と風格がある。
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