15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜 【完結】

日下奈緒

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第10章 15歳差の恋、いま永遠になる

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それでいて、思っていたよりずっと人懐っこい雰囲気を持った男性だった。

「一ノ瀬 晴臣と申します。玲央の父です。」

穏やかにそう名乗った彼は、手を差し出してくれた。

私は思わず立ち上がって、少し緊張しながら手を握った。

「はじめまして、橘ひよりと申します。今日は……ありがとうございます。」

「玲央の母です。」

ふわりとした淡いベージュのワンピースを着た女性が、優雅に微笑みながら近づいてくる。

玲央さんに似た、穏やかで上品な顔立ち。けれど、彼よりもずっと感情が柔らかくにじみ出ていた。

「弟の海です。」

隣から顔を出したのは、玲央さんよりもずっとラフな雰囲気をまとった青年。

くしゃっとした髪に、人懐っこい笑顔。スポーツ系男子、といった感じ。

「妹の瑞樹です。」

今度はスカートの裾をつまんで、はにかむように挨拶してきた可愛らしい女の子。

きっとまだ高校生くらいだろう。

お父さん──つまり私の父──はその三人に取り囲まれ、目を白黒させながらも「ど、どうも……」と中腰で会釈している。

一方で、その様子を少し離れた場所から冷ややかに見ている人物が一人。

──玲央さんだった。

まるで「また始まったな」とでも言いたげな目。

愛想を振りまく家族と、それに巻き込まれる他人、という図がこの家では日常なのかもしれない。

「あなたとは前に一度お会いしたわよね、ひよりちゃん。」

玲央さんのお母さんが、私の顔を覗き込むように言う。

一瞬、戸惑ってしまった。

記憶をたどって──あ、確か……あの日。

「はい。その節はありがとうございました。」

ちゃんとした記憶ではなかったけれど、失礼にならないよう、そう答える。

そして私は改めて立ち上がり、深くお辞儀をした。

「橘ひよりと申します。今日は……お会いできて光栄です。」

家族に囲まれてしまって、正直ちょっと圧倒されているけれど──

玲央さんがこの家で育ったということ、そして、この家族とこれから関わっていくということを、私は今実感していた。

玲央さんが、ふっと目を逸らした。

たぶん、彼にとって“家族”という存在は、少し面倒で、でも本当はあたたかい場所なんだろう。

その“間”に、私は入っていくんだ。

「……あの、私、ひよりの父の橘と申します。本日は……その、父親として、同席を……」

「おお、そうでしたか!」

晴臣さんは笑いながら、すっと父に近づき、力強く握手を交わした。

「ご挨拶ありがとうございます。お嬢さん、しっかりした方ですね。あれは……ひよりさんが育ちの良さを自然と身につけておられる証拠ですよ。」

「あ、あの、それは……いや……恐縮です……」

父はどんどん小さくなっていった。

まるで“娘の彼氏の父”ではなく、“上司の会長”に面談されているかのよう。
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