15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜 【完結】

日下奈緒

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第10章 15歳差の恋、いま永遠になる

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そして、お父さんが座布団に腰を下ろしたその瞬間だった。

玲央さんは、すっと座布団を引き寄せ、きちんと正座をすると、深く頭を下げた。

「お父さん、どうか──ひよりさんを、私にください。」

その声は、まっすぐで、揺るぎない決意がこもっていた。

胸の奥が熱くなる。私のことを、こんなにも真剣に想ってくれているんだと感じた瞬間だった。

……ところが。

「よろしく……お願いします。」

なぜか、正面にいる父も、玲央さんと一緒に頭を下げていた。

「……お父さん、頭を下げなくてもいいのよ。」

母がそっと小声で囁いたのが、妙に可笑しくて、私は口元を押さえる。

「いえ……」

父は顔を上げながら、しきりに額の汗をぬぐい、どこか気まずそうに言った。

「相手が“一ノ瀬”さんという名字だと聞いて、まさかとは思っていましたが……本当に、あの“一ノ瀬グループ”だったとは。」

玲央さんが軽く頭を下げながら答える。

「はい。私自身は副社長という立場ですが、家業そのものは祖父の代から継いでいるものでして……」

その言葉に、父の顔色が変わる。

「……実は、私が勤めている会社も、一ノ瀬グループの傘下なんです。」

「ええっ⁉」

思わず、私は声をあげてしまった。

玲央さんも、驚いたようにまばたきをする。

「そうだったんですか?」

「はい。まさか、副社長に……いえ、御曹司がひよりの相手とは……」

お父さんは言葉を探すようにしながら、落ち着かない様子でお茶をすする。

「……恐れ多くて。」

まさかの展開。

玲央さんが深々と頭を下げれば、お父さんも敬語で対応してしまうし、なんならどちらが“お願いする側”か、分からないような妙な空気になっていた。

この場の誰もが、その気まずさをうっすら感じていたとき。

お母さんが、さらりと切り込んだ。

「お父さん、今は玲央さんの方が、あなたに“結婚の許し”をもらってるのよ?」

その一言に、場の空気がピシッと切り替わった。

「……!」

お父さんはガバッと顔を上げると、改めて玲央さんを正面から見つめる。

「……ただ、娘が大学を卒業するまでは、待ってもらえませんでしょうか。」

その声には、父親としての強い想いが込められていた。

威圧でも怒りでもない。

けれど、譲れない願いがあった。

「馬鹿な親だと思いますでしょうが……どうしても、娘が学業と家事を両立できるとは思えんのですよ。」

その言葉に、私の胸がぎゅっと締め付けられた。

玲央さんに対する否定じゃない。

私自身の、未熟さへの懸念だとわかっていた。

わかっていた。

この瞬間、玲央さんは本気だった。

誰に対してでもなく、私の父に──家族になる人として、きちんと想いをぶつけてくれている。

真剣な眼差しで、玲央さんは父をまっすぐに見つめた。

「どうか、僕に任せてください。」
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