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第7部 妹の終焉と、家族の始まり
⑥
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「だったら、レオンに今の事情を正直に話して。」
私は静かにそう告げた。もう、偽ることに意味はない。
「分かった。」
意外にも、それに返事をしたのはお父様だった。
「レオンが納得するまで、説得するしかないな。」
その顔には、これまでの高慢さとは違う、どこか諦めと覚悟が混ざったような陰りがあった。
そうして、お父様は実際にレオンに会い、エルバリー家の財政の実情を話した。
屋敷の老朽化、使用人の削減、借金の山。かつての栄華など、もはや幻。
それを聞いたレオン・カザリス伯爵は、長い沈黙の末、こう答えたという。
「結婚費用はこちらで用意します。ただし、それ以上の資金援助はできません。」
淡々とした、だが誠実な言葉。
「調度品や式の準備も、うちの家で揃えます。必要なものはすべて、私が責任を持ちます。」
その決断に、誰よりも驚いたのはルシアだった。
彼女はようやく、自分が愛されている意味を知り始めたのかもしれない。
そして、カザリス伯爵の屋敷の近くで結婚式は執り行われた。
場所は、丘の上に佇むこぢんまりとした白い教会。
広くはないが、木の香りが心地よく、静謐で温かな空間だった。
「はあ……豪華なウェディングドレスを着るのが、夢だったのに……」
式の直前、花嫁控え室でため息をついたのはルシアだった。
白いが飾り気のないドレスに、彼女は何度も鏡を睨むように見つめていた。
「結婚できただけでも、感謝すべきでしょう?」
私がそう言うと、ルシアは不満そうに顔をしかめた。
けれど、もう以前のように噛みついてくる勢いはない。
教会の椅子に座る私は、列席者の静けさに耳を澄ませながら、つい小さくため息をつく。
――家族として出席していることすら、奇跡かもしれない。
そう思えば、この日が迎えられただけで十分だと、自分に言い聞かせた。
そして、教会の外でひそひそと囁く声が聞こえてきた。
ルシアの元同級生たちだ。皆、美しく着飾っているが、その笑顔の裏には冷ややかな影があった。
「王子と婚約まで行ったルシアが、こんな庶民的な結婚式だなんてね。」
「しっ……声が大きいわ。でもほんと、もうルシアと結婚するっていう人なんて他にいないんじゃない?」
「大丈夫かしら、旦那さん。ルシアにお金、せびられないかしら。」
ひそひそ声に混じる、半ば呆れたような笑い。
さすがに旧友たち。ルシアの性格も見栄っ張りなところも、よく知っているらしい。
私は思わず顔を背けた。恥ずかしさもあるが、それ以上に悲しみが胸に刺さった。
――だけど、これが現実。
ルシアが背負ってきた過去の“代償”なのかもしれない。
私は祈るように、式が静かに進むことを願った。
私は静かにそう告げた。もう、偽ることに意味はない。
「分かった。」
意外にも、それに返事をしたのはお父様だった。
「レオンが納得するまで、説得するしかないな。」
その顔には、これまでの高慢さとは違う、どこか諦めと覚悟が混ざったような陰りがあった。
そうして、お父様は実際にレオンに会い、エルバリー家の財政の実情を話した。
屋敷の老朽化、使用人の削減、借金の山。かつての栄華など、もはや幻。
それを聞いたレオン・カザリス伯爵は、長い沈黙の末、こう答えたという。
「結婚費用はこちらで用意します。ただし、それ以上の資金援助はできません。」
淡々とした、だが誠実な言葉。
「調度品や式の準備も、うちの家で揃えます。必要なものはすべて、私が責任を持ちます。」
その決断に、誰よりも驚いたのはルシアだった。
彼女はようやく、自分が愛されている意味を知り始めたのかもしれない。
そして、カザリス伯爵の屋敷の近くで結婚式は執り行われた。
場所は、丘の上に佇むこぢんまりとした白い教会。
広くはないが、木の香りが心地よく、静謐で温かな空間だった。
「はあ……豪華なウェディングドレスを着るのが、夢だったのに……」
式の直前、花嫁控え室でため息をついたのはルシアだった。
白いが飾り気のないドレスに、彼女は何度も鏡を睨むように見つめていた。
「結婚できただけでも、感謝すべきでしょう?」
私がそう言うと、ルシアは不満そうに顔をしかめた。
けれど、もう以前のように噛みついてくる勢いはない。
教会の椅子に座る私は、列席者の静けさに耳を澄ませながら、つい小さくため息をつく。
――家族として出席していることすら、奇跡かもしれない。
そう思えば、この日が迎えられただけで十分だと、自分に言い聞かせた。
そして、教会の外でひそひそと囁く声が聞こえてきた。
ルシアの元同級生たちだ。皆、美しく着飾っているが、その笑顔の裏には冷ややかな影があった。
「王子と婚約まで行ったルシアが、こんな庶民的な結婚式だなんてね。」
「しっ……声が大きいわ。でもほんと、もうルシアと結婚するっていう人なんて他にいないんじゃない?」
「大丈夫かしら、旦那さん。ルシアにお金、せびられないかしら。」
ひそひそ声に混じる、半ば呆れたような笑い。
さすがに旧友たち。ルシアの性格も見栄っ張りなところも、よく知っているらしい。
私は思わず顔を背けた。恥ずかしさもあるが、それ以上に悲しみが胸に刺さった。
――だけど、これが現実。
ルシアが背負ってきた過去の“代償”なのかもしれない。
私は祈るように、式が静かに進むことを願った。
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