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第12話 お前だけに、触れてほしい夜
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「ねぇ、カイル……」
珍しく、レイの方から声をかけてきた。
夜。部屋は薄暗く、非常灯のオレンジ色がぼんやりと空間を照らしている。
発情期は峠を越えたはずなのに、レイの体はまだ少し熱を帯びていた。
「どうした?」
「……その、こっち、来てくれる?」
いつものようにベッドの端で身を丸めていたレイが、布団を少しだけ開いて差し出す。
その仕草はあまりに恥ずかしげで、しかしどこか決意に満ちていた。
カイルはゆっくりと歩み寄り、レイの隣に腰を下ろす。
「今日は、どうした? 熱でもぶり返したか?」
「違う。ただ……あんたの匂い、欲しいなって思った」
その一言に、カイルの喉がかすかに鳴った。
それはΩの本能が求める“αの匂い”。そして、レイ自身の意志でもあった。
「レイ……本当に、いいのか?」
「……うん。少しだけ、触れて」
カイルは、言葉よりもずっと優しく、そっとレイの頬を撫でた。
レイは目を伏せたまま、その手に身を任せる。
「……ずっと怖かった。番になったら、また壊されるかもしれないって」
「壊さない。俺は、お前を守る番になる」
カイルの声は低く、穏やかだった。
その響きに、レイの肩から力が抜けていく。
「んっ……」
彼の指が首筋をなぞると、微かに咬み跡の痕が熱を持った。
そこが、“番の証”だということを、レイの体が思い出す。
「……カイル、もう少し、強くしてもいいよ」
「……レイ」
カイルの手が、ゆっくりとレイのシャツのボタンを外していく。
慎重に、恐れないように。触れるたびに、レイの瞳が潤んでいく。
「っ……やっぱり、恥ずかしい……」
「大丈夫。今日は、お前が望んだ夜だ。俺はそれに、応えるだけだ」
唇が重なる。呼吸が交じる。
甘く湿った吐息が、薄暗い部屋の空気を震わせる。
その夜、レイは初めて“自分の意志で”カイルを求めた。
触れて、委ねて、繋がっていく。
番であることの重みと優しさを、全身で確かめながら。
珍しく、レイの方から声をかけてきた。
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それはΩの本能が求める“αの匂い”。そして、レイ自身の意志でもあった。
「レイ……本当に、いいのか?」
「……うん。少しだけ、触れて」
カイルは、言葉よりもずっと優しく、そっとレイの頬を撫でた。
レイは目を伏せたまま、その手に身を任せる。
「……ずっと怖かった。番になったら、また壊されるかもしれないって」
「壊さない。俺は、お前を守る番になる」
カイルの声は低く、穏やかだった。
その響きに、レイの肩から力が抜けていく。
「んっ……」
彼の指が首筋をなぞると、微かに咬み跡の痕が熱を持った。
そこが、“番の証”だということを、レイの体が思い出す。
「……カイル、もう少し、強くしてもいいよ」
「……レイ」
カイルの手が、ゆっくりとレイのシャツのボタンを外していく。
慎重に、恐れないように。触れるたびに、レイの瞳が潤んでいく。
「っ……やっぱり、恥ずかしい……」
「大丈夫。今日は、お前が望んだ夜だ。俺はそれに、応えるだけだ」
唇が重なる。呼吸が交じる。
甘く湿った吐息が、薄暗い部屋の空気を震わせる。
その夜、レイは初めて“自分の意志で”カイルを求めた。
触れて、委ねて、繋がっていく。
番であることの重みと優しさを、全身で確かめながら。
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