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第13話 外の世界が、俺たちを引き裂こうとしても
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「……カイル、今のって……!」
レイが目を見開く。
突如鳴り響いたのは、数日ぶりの通信音だった。
備え付けられていた非常用端末が青く点滅している。
「待機エリアB-04、応答願います。こちら指令本部、応答願います」
耳慣れた軍の通信音声に、二人の時間が急に現実に引き戻される。
カイルはベッドから立ち上がると、冷静に応答を始めた。
「こちら、カイル=L=エルバート大尉。対象オメガと共に待機中。体調に異常なし」
レイはその背中をじっと見つめる。
あんなに優しく抱かれた夜の記憶が、あっけなく過去になっていくような気がした。
「……隔離解除は?」
「ウイルス反応、全て陰性確認。三時間以内に回収班を向かわせる」
「了解した」
通信が途絶えると、部屋には静寂が戻る。
だがもう、“二人きりの密室”ではなくなっていた。
レイは小さくつぶやいた。
「……帰れるんだ、やっと」
カイルがレイの方へ振り返る。
その瞳には、迷いと覚悟、両方が宿っていた。
「レイ、お前が望むなら、このまま全て元通りにもできる。番のことも、なかったことに」
「……できないよ。なかったことに、なんて。俺、カイルに……触れられた夜のこと、忘れられないから」
レイの声は震えていた。
でもそれは、怯えではなく――決意の震え。
「俺もだ。だからこそ、問いたい。お前はこれから先も、俺と一緒に生きたいか?」
「……わからない。怖いよ。番って、もう一人じゃなくなることでしょ?
誰かに全部、委ねるってことでしょ?」
レイの目に涙がにじむ。
それを拭うように、カイルがそっと手を差し出した。
「委ねろとは言わない。ただ……頼ってくれ。お前が一人で抱えてきたもの、少しでも、俺に背負わせてほしい」
「カイル……」
「回収班が来たら、いろんなものが変わるだろう。だが、俺たちの間は――変わらない」
その言葉に、レイは小さく頷いた。
ほんのわずかに、でも確かに、心を預け始めていた。
レイが目を見開く。
突如鳴り響いたのは、数日ぶりの通信音だった。
備え付けられていた非常用端末が青く点滅している。
「待機エリアB-04、応答願います。こちら指令本部、応答願います」
耳慣れた軍の通信音声に、二人の時間が急に現実に引き戻される。
カイルはベッドから立ち上がると、冷静に応答を始めた。
「こちら、カイル=L=エルバート大尉。対象オメガと共に待機中。体調に異常なし」
レイはその背中をじっと見つめる。
あんなに優しく抱かれた夜の記憶が、あっけなく過去になっていくような気がした。
「……隔離解除は?」
「ウイルス反応、全て陰性確認。三時間以内に回収班を向かわせる」
「了解した」
通信が途絶えると、部屋には静寂が戻る。
だがもう、“二人きりの密室”ではなくなっていた。
レイは小さくつぶやいた。
「……帰れるんだ、やっと」
カイルがレイの方へ振り返る。
その瞳には、迷いと覚悟、両方が宿っていた。
「レイ、お前が望むなら、このまま全て元通りにもできる。番のことも、なかったことに」
「……できないよ。なかったことに、なんて。俺、カイルに……触れられた夜のこと、忘れられないから」
レイの声は震えていた。
でもそれは、怯えではなく――決意の震え。
「俺もだ。だからこそ、問いたい。お前はこれから先も、俺と一緒に生きたいか?」
「……わからない。怖いよ。番って、もう一人じゃなくなることでしょ?
誰かに全部、委ねるってことでしょ?」
レイの目に涙がにじむ。
それを拭うように、カイルがそっと手を差し出した。
「委ねろとは言わない。ただ……頼ってくれ。お前が一人で抱えてきたもの、少しでも、俺に背負わせてほしい」
「カイル……」
「回収班が来たら、いろんなものが変わるだろう。だが、俺たちの間は――変わらない」
その言葉に、レイは小さく頷いた。
ほんのわずかに、でも確かに、心を預け始めていた。
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