13 / 18
第13話 外の世界が、俺たちを引き裂こうとしても
しおりを挟む
「……カイル、今のって……!」
レイが目を見開く。
突如鳴り響いたのは、数日ぶりの通信音だった。
備え付けられていた非常用端末が青く点滅している。
「待機エリアB-04、応答願います。こちら指令本部、応答願います」
耳慣れた軍の通信音声に、二人の時間が急に現実に引き戻される。
カイルはベッドから立ち上がると、冷静に応答を始めた。
「こちら、カイル=L=エルバート大尉。対象オメガと共に待機中。体調に異常なし」
レイはその背中をじっと見つめる。
あんなに優しく抱かれた夜の記憶が、あっけなく過去になっていくような気がした。
「……隔離解除は?」
「ウイルス反応、全て陰性確認。三時間以内に回収班を向かわせる」
「了解した」
通信が途絶えると、部屋には静寂が戻る。
だがもう、“二人きりの密室”ではなくなっていた。
レイは小さくつぶやいた。
「……帰れるんだ、やっと」
カイルがレイの方へ振り返る。
その瞳には、迷いと覚悟、両方が宿っていた。
「レイ、お前が望むなら、このまま全て元通りにもできる。番のことも、なかったことに」
「……できないよ。なかったことに、なんて。俺、カイルに……触れられた夜のこと、忘れられないから」
レイの声は震えていた。
でもそれは、怯えではなく――決意の震え。
「俺もだ。だからこそ、問いたい。お前はこれから先も、俺と一緒に生きたいか?」
「……わからない。怖いよ。番って、もう一人じゃなくなることでしょ?
誰かに全部、委ねるってことでしょ?」
レイの目に涙がにじむ。
それを拭うように、カイルがそっと手を差し出した。
「委ねろとは言わない。ただ……頼ってくれ。お前が一人で抱えてきたもの、少しでも、俺に背負わせてほしい」
「カイル……」
「回収班が来たら、いろんなものが変わるだろう。だが、俺たちの間は――変わらない」
その言葉に、レイは小さく頷いた。
ほんのわずかに、でも確かに、心を預け始めていた。
レイが目を見開く。
突如鳴り響いたのは、数日ぶりの通信音だった。
備え付けられていた非常用端末が青く点滅している。
「待機エリアB-04、応答願います。こちら指令本部、応答願います」
耳慣れた軍の通信音声に、二人の時間が急に現実に引き戻される。
カイルはベッドから立ち上がると、冷静に応答を始めた。
「こちら、カイル=L=エルバート大尉。対象オメガと共に待機中。体調に異常なし」
レイはその背中をじっと見つめる。
あんなに優しく抱かれた夜の記憶が、あっけなく過去になっていくような気がした。
「……隔離解除は?」
「ウイルス反応、全て陰性確認。三時間以内に回収班を向かわせる」
「了解した」
通信が途絶えると、部屋には静寂が戻る。
だがもう、“二人きりの密室”ではなくなっていた。
レイは小さくつぶやいた。
「……帰れるんだ、やっと」
カイルがレイの方へ振り返る。
その瞳には、迷いと覚悟、両方が宿っていた。
「レイ、お前が望むなら、このまま全て元通りにもできる。番のことも、なかったことに」
「……できないよ。なかったことに、なんて。俺、カイルに……触れられた夜のこと、忘れられないから」
レイの声は震えていた。
でもそれは、怯えではなく――決意の震え。
「俺もだ。だからこそ、問いたい。お前はこれから先も、俺と一緒に生きたいか?」
「……わからない。怖いよ。番って、もう一人じゃなくなることでしょ?
誰かに全部、委ねるってことでしょ?」
レイの目に涙がにじむ。
それを拭うように、カイルがそっと手を差し出した。
「委ねろとは言わない。ただ……頼ってくれ。お前が一人で抱えてきたもの、少しでも、俺に背負わせてほしい」
「カイル……」
「回収班が来たら、いろんなものが変わるだろう。だが、俺たちの間は――変わらない」
その言葉に、レイは小さく頷いた。
ほんのわずかに、でも確かに、心を預け始めていた。
24
あなたにおすすめの小説
若頭の溺愛は、今日も平常運転です
なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編!
過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。
ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。
だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。
……俺も、ちゃんと応えたい。
笑って泣けて、めいっぱい甘い!
騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー!
※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま 療養中
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる