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6章ーMr.Freedom
56話
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バルクはゆっくりと立ち上がる。首をいたわりながら、だが平気だという様にふるまう。
立ち上がる際、下を向きながら立ち上がっていた為、後頭部を空に向けた体勢となっていた。
詩音は高く飛び上がる。
「島原流、炎鉈」
そしてバルクの後頭部に向けてかかと落としを繰り出した。魔力に反応して足が炎に包まれる。
炎鉈がバルクに直撃する。飛んでからのかかと落としによる高威力、且つ炎による熱及び爆発の推進力で巨大な力がバルクの後頭部とうなじにかかる。バルクは再び地面とキスすることになった。
詩音は一歩下がり距離を取る。勝負が決まったとは思っていないが、確実に有効打を食らわせたと確信していた。
バルクは5秒ほど経っても起き上がらなかった。観客や司会も勝負が決まったと思ったそのとき、バルクが跳ねた。うつ伏せになったまま、飛び上がったのだ。そして静かに着地した。
「やっぱり立ち上がるよなぁ」
「ふむ……島原流とやら、中々良い武のようだ。今まで様々な戦士、武術家が挑んできたが、ここまで私にダメージを与えられたのは君が初めてだ」
「ならアンタを倒すのも俺が初めてになるかな」
「君は何か勘違いをしているね。私はほとんど君の攻撃を受けてあげたのだ。私からはほぼ攻撃をしていない」
バルクはフロントダブルバイセップスポーズをした。血管が浮きでて、皮膚がはち切れそうなほどパンプアップし、筋肉からの熱で陽炎ができている。
「ここからは私も攻撃をしよう。次は私のターンというやつだ」
瞬間、バルクは詩音に向かい一歩踏み出した。
「なっ!」
詩音は意表を突かれた。速かったのだ。あの巨体から、あの体重からは考えられないほど。
バルクは勢いはそのままに詩音に左手でパンチを叩きこんだ。
「島原流、紙風船」
詩音は一瞬で脱力し、後方に思い切り飛んで威力を受流そうとする。
だがバルクのパンチは紙風船を以てしても完全に威力を相殺できるものではなかった。詩音は空中で更に加速しはるか後方の闘技場の壁まで吹き飛ばされた。
壁に当たる瞬間、壁を叩いて受け身を取り、更なるダメージを回避する。
「は……はっや…………」
壁を背にして詩音は構え直す。対してバルクはまた高速で距離を詰めてきた。
「マジかよ……ッ!!」
あろうことか、そのまま詩音にタックルし壁に叩きつける気だ。
詩音との距離約2メートル。絶体絶命かに思えた。
だが詩音は一歩前に出た。
「島原流、旋馬蹴」
バルクと接触の瞬間、詩音は手で力を促しながら左前方に向かって旋回していく。そしてバルクの側方、背面を向けた状態のタイミングで足を後ろに突き出しバルクの足を引っかけた。
「うおおおおッ!!」
バルクは転ばされ、走ってきた勢いで壁に顔面から衝突した。壁は粉々に砕け散り、大穴が空く。近くにいた観客は大慌てで逃げて行った。
ここで島原流、旋馬蹴について解説していきたい。この技は戦国時代、歩兵対騎馬戦を想定して編み出された技である。自分に向かって走ってくる馬に正面から走り近づき、ギリギリのところで右、または左に旋回しながら避け、回り込む。側方に回り込んだところで、敵が切りかかってきたらしゃがみ、何もしてこなかったらそのままで、馬の脚めがけ足を突き出す。そして馬を転ばせ騎乗している武士ごと無力化する技である。馬の脚に自分の足を掛けるため、ダメージに耐えられるよう足を極限まで鍛えておく必要がある。また、この技は歩兵のみならず、騎兵も落馬した際の切り札として使っていた。
あれだけ強く壁にぶつかったのに、バルクはすぐに立ち上がる。そして突然詩音の視界から消えた。
気が付いたころには詩音の懐にまで近づいていた。
「更に速くなれんのかよッ!!!」
たまらず詩音は後方へ飛び下がる。だがバルクのパンチの方が速い。
詩音は反射で右腕で受けてしまった。
詩音はまたしても闘技場の反対側の壁まで吹き飛ばされてしまう。
今度は受け身がうまくできず壁に直撃してしまう。何とか倒れることなく着地は出来た。
「こ、これ……右腕、折れてんな。たぶん……」
詩音は右腕をかばう。修行の時以来の骨折、その激痛に懐かしさを覚えていた。応急処置の道具は当然ない。だからこのまま戦うしかなかった。
「右腕がもう使い物にならんのだろう、君。もう負けを認めて素直に私に殺されたらどうだね」
「ハッ。アンタこそもうこれ以上はキツイから早く負けを認めさせて終わらせたいってんだろ? 見え見えだぞ」
バルクは何も言い返すことなく、次の攻撃の準備に入る。
(だが流石にこれ以上まともにくらうのはヤバい。右腕も使えないしあまり打撃は効かなさそうだ。どうすれば…………)
バルクの圧倒的なパワー。詩音の腕を一撃でへし折るその力に詩音はどう攻めるか考えていた。そのとき、ある秘策を思い出す。
(いや、まだあるぞ! バルクにまだ出してない技が! 確か幕末、小柄だった日本人が巨大な欧米の外国人兵士に素手で立ち向かうため生み出されたあの技だ! 今の状況そのままだし、あれをやるしかねぇ!!!)
立ち上がる際、下を向きながら立ち上がっていた為、後頭部を空に向けた体勢となっていた。
詩音は高く飛び上がる。
「島原流、炎鉈」
そしてバルクの後頭部に向けてかかと落としを繰り出した。魔力に反応して足が炎に包まれる。
炎鉈がバルクに直撃する。飛んでからのかかと落としによる高威力、且つ炎による熱及び爆発の推進力で巨大な力がバルクの後頭部とうなじにかかる。バルクは再び地面とキスすることになった。
詩音は一歩下がり距離を取る。勝負が決まったとは思っていないが、確実に有効打を食らわせたと確信していた。
バルクは5秒ほど経っても起き上がらなかった。観客や司会も勝負が決まったと思ったそのとき、バルクが跳ねた。うつ伏せになったまま、飛び上がったのだ。そして静かに着地した。
「やっぱり立ち上がるよなぁ」
「ふむ……島原流とやら、中々良い武のようだ。今まで様々な戦士、武術家が挑んできたが、ここまで私にダメージを与えられたのは君が初めてだ」
「ならアンタを倒すのも俺が初めてになるかな」
「君は何か勘違いをしているね。私はほとんど君の攻撃を受けてあげたのだ。私からはほぼ攻撃をしていない」
バルクはフロントダブルバイセップスポーズをした。血管が浮きでて、皮膚がはち切れそうなほどパンプアップし、筋肉からの熱で陽炎ができている。
「ここからは私も攻撃をしよう。次は私のターンというやつだ」
瞬間、バルクは詩音に向かい一歩踏み出した。
「なっ!」
詩音は意表を突かれた。速かったのだ。あの巨体から、あの体重からは考えられないほど。
バルクは勢いはそのままに詩音に左手でパンチを叩きこんだ。
「島原流、紙風船」
詩音は一瞬で脱力し、後方に思い切り飛んで威力を受流そうとする。
だがバルクのパンチは紙風船を以てしても完全に威力を相殺できるものではなかった。詩音は空中で更に加速しはるか後方の闘技場の壁まで吹き飛ばされた。
壁に当たる瞬間、壁を叩いて受け身を取り、更なるダメージを回避する。
「は……はっや…………」
壁を背にして詩音は構え直す。対してバルクはまた高速で距離を詰めてきた。
「マジかよ……ッ!!」
あろうことか、そのまま詩音にタックルし壁に叩きつける気だ。
詩音との距離約2メートル。絶体絶命かに思えた。
だが詩音は一歩前に出た。
「島原流、旋馬蹴」
バルクと接触の瞬間、詩音は手で力を促しながら左前方に向かって旋回していく。そしてバルクの側方、背面を向けた状態のタイミングで足を後ろに突き出しバルクの足を引っかけた。
「うおおおおッ!!」
バルクは転ばされ、走ってきた勢いで壁に顔面から衝突した。壁は粉々に砕け散り、大穴が空く。近くにいた観客は大慌てで逃げて行った。
ここで島原流、旋馬蹴について解説していきたい。この技は戦国時代、歩兵対騎馬戦を想定して編み出された技である。自分に向かって走ってくる馬に正面から走り近づき、ギリギリのところで右、または左に旋回しながら避け、回り込む。側方に回り込んだところで、敵が切りかかってきたらしゃがみ、何もしてこなかったらそのままで、馬の脚めがけ足を突き出す。そして馬を転ばせ騎乗している武士ごと無力化する技である。馬の脚に自分の足を掛けるため、ダメージに耐えられるよう足を極限まで鍛えておく必要がある。また、この技は歩兵のみならず、騎兵も落馬した際の切り札として使っていた。
あれだけ強く壁にぶつかったのに、バルクはすぐに立ち上がる。そして突然詩音の視界から消えた。
気が付いたころには詩音の懐にまで近づいていた。
「更に速くなれんのかよッ!!!」
たまらず詩音は後方へ飛び下がる。だがバルクのパンチの方が速い。
詩音は反射で右腕で受けてしまった。
詩音はまたしても闘技場の反対側の壁まで吹き飛ばされてしまう。
今度は受け身がうまくできず壁に直撃してしまう。何とか倒れることなく着地は出来た。
「こ、これ……右腕、折れてんな。たぶん……」
詩音は右腕をかばう。修行の時以来の骨折、その激痛に懐かしさを覚えていた。応急処置の道具は当然ない。だからこのまま戦うしかなかった。
「右腕がもう使い物にならんのだろう、君。もう負けを認めて素直に私に殺されたらどうだね」
「ハッ。アンタこそもうこれ以上はキツイから早く負けを認めさせて終わらせたいってんだろ? 見え見えだぞ」
バルクは何も言い返すことなく、次の攻撃の準備に入る。
(だが流石にこれ以上まともにくらうのはヤバい。右腕も使えないしあまり打撃は効かなさそうだ。どうすれば…………)
バルクの圧倒的なパワー。詩音の腕を一撃でへし折るその力に詩音はどう攻めるか考えていた。そのとき、ある秘策を思い出す。
(いや、まだあるぞ! バルクにまだ出してない技が! 確か幕末、小柄だった日本人が巨大な欧米の外国人兵士に素手で立ち向かうため生み出されたあの技だ! 今の状況そのままだし、あれをやるしかねぇ!!!)
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