悪役令嬢に成り代わったのに、すでに詰みってどういうことですか!?

ぽんぽこ狸

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サディアスの出した答え……。1

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 ふと目が覚める。私はきちんとベットで眠っていて、久しぶりにしっかりと睡眠を取ったお陰か頭はスッキリとしていた。

 ……早い時間に眠ったから、目が覚めちゃったんだね。

 掛け布団を押し上げて、ベットから降りる。ヴィンスは部屋に居ない。私が眠ったのを確認して彼も部屋に戻ったのだろう。

 薄暗い部屋の中、一杯のお水を飲んでまだテーブルの上にある白紙の手紙を見た。今は書く気も起きないし、こんな時間だから何をしようかと考えた。

 するとゴゥン、と外から謎の音がする。

 ……こんな時間に練習やっている人がいるのかな。

 割とこの学園では騒音はしょっちゅうあることだ。それは生徒同士の争いだったり、少し過激な魔法を使った練習だったりするが、深夜にというのは珍しい。

 私は、外を確認してみようと思いバルコニーに繋がる窓のカーテンをシャッと音を立てて開いてみた。そこには月夜に照らされて、ローズの瞳を輝かせるララの姿があった。

 彼女も丁度こちらを振り向いたところで、ふと私と目が合う。

「……ララ?」

 壊れた柵の上にララは立っていて、見てみれば寝巻きだ。私に気がついたララは、トンっとバルコニーに降り立つ。私は鍵を開けて窓を開く。

「何してるの?こんな時間に」
「…………別になんでもないわよ」

 少し考えてからララは答える。そんなことはないだろうと思いつつ外に出た。今日は月が綺麗な夜だ。夜でも少し明るくてララの顔がちゃんと見えた。

「貴方こそ、こんな時間になんで起きてるのよ」
「ん?……うーん、ちょっとね」

 風が吹いていて髪をさらっていく。私は手ぐしで寝起きの髪を整えながら、月見でもしようかなと思い、柵に体を預けた。

 ……よく分からないけど……ちょうどいいかな。

 ララには話すことがあったのだ。私は結局、彼女のそばに寄り添う事は出来ないみたいで、もちろんそれを今伝えるつもりは無いが、きちんと話をしておかないとと思っていた。

「少し話をしない?」
「いいわよ」

 了承して、ララも、同じように柵に体を預けてこちらを見やった。

「……」
「……」

 ……何をどう話をしたらいいのかな。

 そもそも、今回の騒動をララは何も知らないだろう、だから私の覚悟も何も彼女には分からない。見ようによっては、ララも、部外者では無いが、私は部外者でいいと思っている。

 だって部外者じゃないとしたらララは加害者側だ。ララは確かに悪くは無い。でも、彼女には配慮というものが少しだけ足りなかった。

 原作でもそうだ、ローレンスに近づくことによって、クラリスがどういう状況で、動かざる追えなかったことをララは分からなかった。

「……貴方、サディアスとは決裂したんでしょう」

 考え事をしていると、ララはおもむろにそう言う。その事は確かに、少しでも私の現状を見たら分かることだ。

「うん、まぁ」
「良かったのよ、あんな危険な男、貴方のそばに居るだけ害になるわ」

 ララは悪びれずにそう言う。でも、私はそうは思わない。私は、サディアスとそばに居たかった。

「……私は、好きだよサディアスの事、そんな風に言わないで」

 少し笑えば彼女は、仏頂面を極めて、眉間に皺を寄せる。

 私は、選んだんだ。サディアスに報いる道を、それが妥当だ。

 でも、正解じゃない。多分正しいことなんてない、だって私は結局、私の背負ったものを置いていってしまう。

「ララ……私は……ローレンスと貴方はよく話し合いをした方がいいと思う」
「なんでよ」
「お互いに、距離がありすぎると思うから、ララが望めば多分ローレンスは、優しいよ」
「……」

 優しく、きっとあの奇っ怪な性格の餌食にならずに済むと思う。ついでにララの押し付けないで欲しいとかそういった願いだって聞き入れるだろう。

 ララは強い、ウィングの製法だとか魔力に関する話だとか、彼女の生い立ちで、知り得た秘密も沢山ある。価値があるのだララには。

 ……だから、大丈夫。

「……」

 ララは少し、不服そうにしてそれから、鼻で笑う。

「優しくないわよ、あの人」

 ……そうなの?前のララは完璧だって、優しいって言っていたのに。

 私が首を傾げると、彼女は少し忌々しげにというか、機嫌悪そうに言う。

「わかったのよ……優しいって言わないわ。あの人は……多分よ……どうでもいい部分が多い人なのよ。だから、私に譲るのよ」
「譲る?」
「そうよ。貴方言ったわね。求めれば優しいって……なんて言うのかしら上手く言えないけど、求めたら譲ってくれるのよ、でも、譲るだけなの、それだけなのよ」

 彼女と私の感性の違いだと思うのだがあまりピンと来ない。私がさらに首を傾げると、ララはうーんと悩んで考えながら口にする。

「私たちは求め合わないのよ、貴方が言いたいのはアナみたいに、貴方みたいに、ローレンスと付き合えって言っているんでしょ?……でも無理よ」
「あんまり距離を詰めたくないって事?」
「……それも、違うわ……側にいて楽しいもの、デートにだって行きたいわ」

 求め合わないとは、どういうことだろう。確かに私が言ったことは、アナや私といる時みたいに、ローレンスに接したらいいという意味だったのだが、ララの中ではそれは、何かに反するらしい。

「……顔だってかっこいいし……声がいいわね、うん、それはそうなのよ」
「あ、分かる。なんて言うか、ローレンスって感じの声」
「何よそれっふふっ、まぁ、そうね。それはそうあの人って感じの声ね」

 彼女は少しだけ、好きな人のことを語る可愛い笑顔を見せて、それから、そのまま少し眉を下げる。

「でも、違うのよ」
「違うんだ」
「そうよ……」

 少し沈黙して遠くを見て言う。

「私たちは、お互いをお互いのまま、好きなのよ」

 ……お互いのまま、好き……?

「これ以上、混ざったりしないのよ。私は私なの、だから私の問題は私だけのもの、全部ローレンスと一緒にしないのよ」
「……」
「ローレンスも私を私のままにしてくれる。……だから、送りものをしてくれるとか、女性として大切にしてくれるとか、とてもローレンスは優しいけど、私たちが混ざるみたいな優しさは私だっていらないし、ローレンスだって持ってないのよ!」

 優しくて、でも、優しくないということらしい。




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