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しおりを挟む……ボク、これは取り返しつかないぞ。絶対、後悔するだろ。
わかっていても、すでに手遅れだ。何にしたって、ちょろすぎるような気もするが、多分セックスってそういうもんだ。
たった一回で好きになったり、逆に嫌いになったりもするようなものなんだ。
理性で塗り固めた外ずらで年単位で接触し続けるよりもよっぽど、相手のことをよく知れる。
本能的な欲求だからこそわかりやすく、自分にとってその相手が、良いか、悪いかがわかってしまう。それが、ボクにとってのセージがかっちり嵌まってしまうほど良かっただけで、ボクがちょろいことだって確かだが、それだけ、セージがいい男だってことだ。
「っ!、う、……」
「ユキ、息止めないで、大丈夫、そんなに苦しくないよ」
ぐっと入口が押し広げられて、体が強張る。セージの言う通り、息は吐くけれど、生理的な怖さはどうにもならない。
「ユキ。手、俺の首に回して、爪たててもいいから」
「?、は、っ、……」
必死に握っていた服の裾から手を取られて、セージを抱きしめるような形に導かれる。それと同時に、彼はボクに覆いかぶさるように移動しておのずと、中に彼のものが入ってくる。拒否感よりも、すがるものがある安心感が勝ち、セージを搔き抱いて自らに引き寄せた。
「はっ、う、はぁ、っつ!……」
じりじりとなじませる、みたいにセージのがボクの中に入ってくる。痛みよりも、違和感と圧迫感に息が詰まるが、どうにか息をして、せめて、意識をそらそうと、セージの首の後ろで、自分の手を握ってみたり、つま先を丸めてみたりする。そうすると、いくらかましになって流した涙を拭う余裕が出てくる。
頬は汗と涙で湿っていて、ボクは今、相当余裕のない顔をしているだろうな、なんて考えた。
「……っ、ごめん。苦しいね。……、ユキ、もちょっと、がまん、して」
上から、苦しげな声が降ってきて、視線だけで、見上げると、余裕がないのはボクだけじゃないと理解できた。
……そっか、きついよな。ボク、初めてだし。
眉間に深くきざまれた皺、少し上ずった声。熱い吐息に、汗のにおい。もう外は明るいというのに、こんな朝から男二人で睦あって、何か悪いことをしているような気持になってしまう。
昨日の夜まで絶対にありえなかったことなのに、今現実にこうして、男に抱かれている。セージはゆっくりと抽挿し始めて、ボクはできるだけ力が抜けるように、彼の首筋に顔をうずめて、呼吸を落ち着ける。
「……、ふ、……、っ、は、……」
それでも、慣れた男女のセックスのようにはいかない、出し入れされる度に、内臓がこすりあげられて、腹の奥にずっしりしたジンと響くみたいな、痛みがあって、中がこすれて熱くて、引き抜かれるときには快感になって、気持ちがよくて。けど、楽にはならなくて、またすぐに、セージのを中に受け止めるのだとわかっている。
うずめられる時に、体は反射して身を固くするけど意味なんてなく、また重たい痛みと、与えられる圧迫感に、足が震える。
「んあ、っつ、はっ、あ、ああっ」
「大丈夫、ユキ、だいじょうぶ、だよっ。ごめん」
……なんで、謝んだろ、セージが、望ん、だのに。
それでボクは、それを流されるような、形でも了承したんだ。だから、お互い様だ。
……あ、もしかして、ボクがいやいやされてるって、思ってるの。
だから、ごめんなんて言うんだろうか。
なんだか、ボクはそう思うと、明確に意思表示をしていなかったと思うし、こんなに気遣って動いてくれているのに、申し訳ないような気がした。荒く呼吸をして、ゆっくりとしてくれるセージの首筋を引き寄せて、軽く、キスをする。チュッと子供っぽいリップ音がして、彼のうなじから背をゆっくりさする。
「せーじ、ン、く、はぁ、セージ」
名前を呼んでみると、中で彼のものが固くなって、少し面白い。
でも、ひどく自分勝手にはされないし、ボクが呼んで彼は何か要求があると思ったらしく、体を起こして、きちんと目を合わせる。
「……、ん、なに、ユキ……?」
カーテンの隙間から光が差し込む。その光はセージの体を照らし出しだし、引き締まった肉体が見える。
……なんていうか。人っぽいっていうか、艶めかしいっていうか。えっちだ。
かっこいいし、優しいし、ボクよりずっと男前。
そう認めると、閉じ込められるみたいに置かれた両手も守られているように感じて、辛そうにボクを抱くのも、ボクがそうさせている原因だと思うと、おかしなことに、心地いい。
……ああ、わるくないな。
「なん、でもない。もっと、動いてっ、いいよ」
「!……辛かったら、すぐ言って、ね」
そう言って彼はボクの頭のを撫でて、深くその熱いものを突き入れる。
ボクらはそうして、時間が許す限り、獣のように交わって、お互い果てると気を失うみたいにして、ぐっすり眠った。
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