最後の大太刀 ―柳生左門友矩―

いわん

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其之四:新陰流の稽古

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城内の道場。左門は木刀を振っていた。左門にとって、新陰流の鍛錬は、欠かさない日課であった。
そこに、家光公が現れた。木刀を手にしていた。
「左門。手合わせせい。加減は無用じゃ」そう言って、家光公は木刀を構えた。
「上様」左門が口を開く。「木刀では危のうございます。こちらの蟇肌竹刀にて」
「木刀では危ない、じゃと?」家光公の顔が赤く染まる。「わしに加減する気か?」
「……いえ、私が、上様の木刀で打たれたら、ということでございます」そう告げて、左門は、家光公に蟇肌竹刀を渡した。自らも、蟇肌竹刀を手にする。
「では、上様、よろしいでしょうか?」左門が問いかけた。
と同時に、家光公の蟇肌竹刀の一撃が飛んできた。難なく躱す左門。
その後も、家光公の猛攻は続いた。そのどれも左門は躱す。竹刀で受けようともしない。
「……上様、新陰流の基本をお忘れですか?」左門が問いかけた。「一刀流も同じかと思いますが」
「なんのぉ!」家光公が大上段に蟇肌竹刀を構えた。
大上段からの気合いの一閃。それをさらりと躱し、左門は家光公に面を打ち込む。左門の蟇肌竹刀は、家光公の頭上一寸手前で止められていた。その太刀筋に強張る家光公。
「剣の基本は『一撃必殺』でございます。無闇に何度も剣を振り回しては、ただただ疲れ、剣先が鈍るのみ、でございます。政も同様かと存じます」
左門は蟇肌竹刀を引くと、下がって家光公に一礼した。
――こやつ、十兵衛以上ではないか……少なくとも十兵衛は、わしの剣を受けたぞ……
家光公は背中に冷や汗が流れるのを感じたのだった。
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