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2、トイレは不要
しおりを挟む銀髪の男はラルと名乗ると、僕を神殿の自室に連れ帰り寝台近くに置いた小さな籠の中に放る。
近くには鏡が立て掛けられていたので、僕は何とか身を乗り出し自分の姿を確認してみた。
…真珠色の、まるまる太った小鳥だ。
確かにあの赤髪の男の言う通り、どう見ても強そうには見えない。
なんとも言えない気持ちで自分の姿を眺めていると、ラルがどこからかパンを取り出し徐に千切りだした。
「ほらよ、食え。取り敢えずデカくならなきゃ話になんねぇからな。」
無理矢理嘴にパン屑を押し付けられながら、僕はラルの顔を確認する。
銀色の髪はサラサラと腰まで伸び、瞳は茶色。
眉毛は垂れているのに今は目付きが悪いせいでとても善人には見えない。
第一印象は優しげな人間だと思ったのにな…
とガッカリしながらパン屑を口いっぱいに頬張っていると、ラルは何かを思いついたように僕の目を見た。
「お前、あれに似てるな、鍋磨くときに使う毛糸のタワシ。…じゃあもう名前はタワシでいいか…面倒くせーし。タワシ、取り敢えず飛ぶ練習しとけ。食っちゃ寝してるだけじゃますます丸くなるしな。そんでせめて何か運べる様になれ。」
とんでもなく失礼な名付けをされた気がするが、どうにもその名に違和感を覚える。
僕はもっと他に名前があったような…うーん、駄目だ。全然思い出せない。
うーんうーんと考え込んでいると、ラルは僕が排泄するのではないかと思ったらしい。
すぐ様僕を籠から出すと、近くに紙を置いてトントン叩いた。
「おい、トイレはここだからな。今すぐ覚えろ。そこらへんにしたら外に放り投げるぞ。」
そうは言われても、そもそも僕は排泄をしない。
食べた物は口から火玉を出す時の燃料として使用し、塵は火玉と一緒に吐き出してしまう為お尻からは何も出ないのだ。
どう伝えたら伝わるのかお尻を振りながら考えていると、ラルはそんな僕を何とも言えない顔で見つめた。
「…どうしよう、こいつすげぇ馬鹿かも。魔獣って普通の獣より知能高いんじゃなかったっけ?おい、トイレすんじゃねーのかよ、誰もケツ振って踊れなんて言ってねぇだろ。」
しかし考え込んでいた僕はラルの言葉を聞いておらず、気付いた時にはラルから阿呆鳥認定されていた。
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