どうも、卵から生まれた魔人です。

べす

文字の大きさ
1 / 21

1、どうも、卵から生まれる筈だった魔人です。

しおりを挟む

どよんとした暗い室内。
石で出来た冷たい台座の上で、僕は呆然としていた。

「…これが私の使い魔になる魔人だと?どう見てもただの太った小鳥ではないか…。」

目の前には赤髪の目付きの悪い男が僕を見下ろしている。
どうしよう…とキョロキョロ周りを見渡せば壁際にひっそりと立つ銀髪の男と目が合ったが、そこで別の男が口を開きそちらに意識を向けた。

「殿下、此度の召喚は失敗では?魔人を呼ぶ筈がこの様なただの鳥が召喚されるなど、聞いたことがありませぬ。」

「そうだな。とてもじゃないが、こいつを私の使い魔などには出来ない。誰か、始末しろ。」

赤髪の男がそう言うと、近くに居た男達が剣を持って近付いてくる。
それを見てガタガタ震えていると、そこへあの銀髪の男が目の前に割って入った。

「殿下、これはただの鳥などではありませんし、無闇に魔獣を殺してはいけません。この様な小さな魔獣は自らの危険を悟ると更に強い魔獣を呼び込み己を守ろうとする者もおります。万が一王都に被害が出れば取り返しのつかない事態になってしまうでしょう。」

僕、そんな事出来ないけど…。

僕が固まっているとどうやら赤髪の男は銀髪の男の言葉に僕を殺すのを思い止まったらしい。
僕をジロリと睨んでから、銀髪の男に不機嫌そうに告げた。

「なら、お前がどうにかせよ。私はこんな魔獣はいらん。」

「えっ。………畏まりました。」

鼻を鳴らして赤髪の男が部屋から出ていくのを確認すると、銀髪の男が僕の方を振り返る。

「……はぁ~あ、失敗したな…まさかあの馬鹿王子、俺にそのまま丸投げしてくるとは…。でも実際魔獣は生態が良く分かってないから下手に扱えないんだよな…。…お前、鳥型の魔獣か?そんな太ってるけど、一応鳥っぽいし飛べんの?」

「!!??」

さっきの優しげな声から一転、銀髪の男は髪をかきあげながら心底面倒そうな声で話し掛けて来る。
あまりの豹変ぶりに唖然としていると、銀髪の男は呆れたように溜息をついた。

「やっぱ飛べねぇの?それじゃ伝書鳥にも出来ねぇな。仕方ねぇな…もうちょいデカくなってから使い道考えるか。」

そう言って銀髪の男は僕の首根っこを摘むと、嫌そうな顔で何処か別の場所へと移動を始めた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話

処理中です...