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16、余計なこと
しおりを挟む僕は座っているラルの前にしゃがみ、膝に手を置く。
そのまま上目遣いでラルを見つめると、「おい、何がしたいんだよ。」と睨まれた。
「あのさ、ラル。ラルって僕の事好きなの?」
いきなり直球で質問をぶつける僕に、ラルは固まる。
しかし少し経つといつもの様に耳を赤くして、「ふざけてないで離れろ。」と吐き捨てられた。
「ふざけてないよ。ちゃんと答えて。」
「答える必要なんか無いだろ。」
「あるよ、僕が知りたいんだ。」
いつになく引かない僕に痺れを切らしたのか、ラルは更に視線を鋭く睨み付けてくる。
「別にどっちだって関係無いだろ。俺はお前がここに居たいって言うから置いてるだけで…」
「そうだよ、僕が居たいから居るだけだ。それは分かってる。そうじゃなくて、ラルが僕をどう思ってるのか知りたいだけなんだってば。」
僕が口を尖らせると、ラルは途端に嫌そうな顔になった。
それでもまだ耳は赤いままだったので期待しながら待っていると、ラルがいきなり立上がり僕は体勢を崩す。
「ちょっと、急に立ち上がらないでよ。」
「…うるせぇな。お前がしつこいからだろ。お前、今普段俺に寄って来る女共みたいで鬱陶しい。」
言われた言葉に記憶を辿れば、ラルが毎日の様に貴族令嬢や町娘にしつこく付き纏われたと愚痴っていた事を思い出した。
あの時、ラルは何て言ってただろう。
確か、「しつこい女程嫌いなものは無い」とか何とか…。
そこで思い至ったのは、やっぱり好かれてなんていなかったんだという事実だ。
何だ、やっぱりラルは僕の事が好きじゃないじゃないか。
イザードの言う事は当てにならないな。
むしろ、この様子じゃかなり嫌われて…。
静かになった僕を訝しく思ったのか、ラルが僕の顔を覗き込んでギョッとした。
「!?おい、レヴィウス、お前なんて顔して…」
「顔?」
まさか涙でも出てるのかな、と頬を触ってみたが別に濡れてはいない。
ただ唇は無意識に震えていて、どこか顔の筋肉が強張っている気がした。
「僕、ラルが僕をそんなに毛嫌いしてるって知らなかったから、思ったよりショックだったみたい。…とりあえず、暫くここを出るよ。」
「は!?おい、待て!そういう意味じゃ…」
ラルの言葉を最後まで聞かず魔の国の自室に転移した僕は、そのままベッドに倒れ込む。
じっとベッドに突っ伏している間に思い出していたのは、ラルのサラサラの銀髪と、茶色い瞳。
まだ幼体だった頃、ラルは大きな手で僕をよく突付いたり撫で回したりしていたが、例え嫌がらせであっても触れてくれていたあの頃に戻りたかった。
「今思えば、幼体の頃の方がまだ優しかったな…。きっと今より嫌われてなかったから…。」
とにかく胸も目頭も熱を帯びる程痛くて、僕はそのまま痛みを堪えるように目を閉じ眠りについた。
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