15 / 21
15、相談
しおりを挟む「…申し訳ございません、もう一度宜しいですか。」
「だから、僕が触れるとラルの耳が真っ赤に染まるんだよ。人間の身体の事は良く分からないけど、病気じゃないかと思って。」
真夜中に魔の国に戻った僕は、イザードを呼び出しかねてから気になっていたラルの耳について相談した。
しかし何故かイザードは何度も僕に同じ事を確認し、そのまま手の平を目元に当て深く息を吐く。
「何?そんなにマズイ病気なの?」
「まぁ、マズイと言えばマズイのですが…。」
どこか不機嫌そうな顔で考え込むイザードに、僕は苛々した。
「何?ハッキリ言ってよ。」
「その…こんな事を口にするのは大変遺憾なのですが、その神官はレヴィウス殿下をお慕いしているのではないでしょうか。」
「は?」
思わぬ言葉に僕は眉を寄せる。
だってラルにそんな素振りは微塵も無い。
それに、赤くなるのは耳だけなのだ。
「僕の事が好きって事?…無い無い。だって、ラルはいつも僕には塩対応だし。それに好きなら顔も赤くなるんじゃないの?」
僕が好きだと近寄ろうとする他の奴らを例に上げれば、イザードは目を釣り上げ「その無礼者たちは血祭りに上げましょう。」と血気づく。
「あいつらの事はどうでもいいんだよ。今はラルの事が知りたいんだ。」
「…好きだからと言って必ずしも顔が赤くなる訳ではないと思います。本人では無いので断言は出来ませんが。」
「ふーん…。」
病気じゃなくて、僕が好きだからかもしれないのか…。
そこで僕は考える。
もしラルに好きだと言われたら、僕はどんな気持ちになるだろう。
今はどちらかと言えば育ての親としての親愛が強いが、僕だってラルが好きだから側に居る訳で、そんな人間に面と向かって好きだと言って貰えるならきっと物凄く嬉しい筈だ。
それがいつも冷たい態度を取られている相手なら尚更。
「…それが本当なら、本人の口から直接聞きたい。」
「え。」
僕はサッと立ち上がると、すぐにラルの元へと帰ろうとする。
しかしイザードが僕を慌てて引き留めた。
「そ、それは時期尚早では!?あの神官はかなり捻くれておりますし、もし殿下の事を慕っていたとしても素直に申し上げるとは思えません!それで殿下が傷付かれでもしたら…」
「えぇ?大丈夫だよ。好きなら好きって言うでしょ。否定するなら嫌われてるって事だと思うけど。」
「殿下の思われている以上に、感情とは複雑なものなのです!」
イザードはそう言うが、どちらかと言えば直情径行型の僕はなかなかその言葉が理解出来ない。
暫くうんうん悩んだ後、とりあえず「やっぱり本人に聞くのは止める。」と口にすれば、イザードはホッとしたように肩をおろした。
「それが良いと思います。いくら親しくともむやみに触れない方が良い事も御座いますからね。」
「難しいな。」
その時は大人しく引き下がったが、次の日の夜、仕事が片付いてソファーで一息付いているラルを前に、僕はイザードの助言を無視し早速行動を起こした。
26
あなたにおすすめの小説
身代わりの出来損ない令息ですが冷酷無比な次期公爵閣下に「離さない」と極上の愛で溶かされています~今更戻ってこいと言われてももう遅いです〜
たら昆布
BL
冷酷無比な死神公爵 × 虐げられた身代わり令息
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜
たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる