10 / 14
第4章-2
しおりを挟む「まずはこれを見てください」
「・・・・なんだこれは」
机の上には一つの人形と青く塗りつぶされたラップを先端に付けた懐中電灯、そして3枚の紙にデスクライトが置かれていた。
「ママゴト、ではないんだよな」
「分かりやすい例は大体子供の知育玩具で表現できるもんなんですよ」
なるほど、子供でも分かるは本当にいい表現だと思う。
「しかしなぁ・・・それは上司を馬鹿にしてるように取れるとも思うんだが」
「状況は緊迫してるからこそボケて忘れないようにしてるんですよ!こっちだって必死なんですから!」
我聞はううむと胸の奥が痛むのを感じながら、沢渡が自分の為に用意してくれたことに感謝する。
「すまないな」
「いえいえ、そろそろ説明しますよ」
「うむ」
「まず原理としてはカセットデッキを人間でやっているようなものです」
「ほう?」
「陣矢君の症状から『特定の日時に起きた行動の再現』ではなく、『昨日の日時に起きた行動の再現』と言うことが分かりました」
「ふむ」
沢渡は二枚の紙にそれぞれ言葉を書く。一枚目には『学校に行く』、二枚目には『休日だから休む』。そしてその上に曜日を書いて、人形を二枚目の紙の上に配置する。
「本来であれば土曜日の行動はこの紙に書かれている通りに動いたとしましょう。しかし、彼はこれが出来なかった」
沢渡は懐中電灯のライトをオンにして、人形を青く照らす。
「この光はスマホのライトだとします。少々大きいですけどこれは目だけの光としてください」
「まあ、それはな」
流石にそのくらいのことは我聞でも理解できたが、話を遮る行為はしない。
「彼は一日の何処かで確実にこの光を浴びていた。彼のスマホの痕跡から彼がインプレゾンビであることは間違いないですから」
(インプレゾンビ?)
我聞はその言葉の意味を一切出来なかったが、とりあえずスマホの症候群とだけ認識して、小さく頷く。
「そして彼は次の日に同じようにスマホを開きますが、厳密には彼はこの段階で『再現』出来る状態ではないです」
「・・・・・・・何故だ」
「スマホはあくまでも仲介なんです。真の目的はとある行動をさせることにあります」
「・・・・・・・・?それはなんだ」
沢渡はデスクライトの電気を付け、人形を照らした。
「太陽光を浴びさせることです」
「・・・・・・・・・・・・・・・?」
やはり分からない。我聞は首を傾げて、沢渡の顔を覗く。沢渡は困った様子ではなく、軽く頷いて話を続ける。
「太陽光には7つの光があります。赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色あり、この中でも有名なのが紫外線と赤外線ですね」
「ああ、よくお世話になっているもんな」
鑑識にはそこそこ顔を出していた我聞はそこで紫外線で指紋を見つけたり赤外線で色々やっていたことを思い出す。
「この中にもあるのがブルーライトです」
「7色の中に含まれているからな」
「そしてこのブルーライトの効果として『起床後に浴びると体内時計をリセットする』らしいです」
「らしい?」
「ああ、すみません。ちょっと鑑識に連絡出来なかったんでネットで軽く調べました」
「・・・・・・・・・・・・・」
我聞は既に沢渡はアウトなのでは?と判断したが、今の所SNS以外では問題ないようなのであえて口にはしなかった。
「そんな目で見ないでください」
ああ、目は口程に物を言うというのを忘れていた。
「こほん、話を戻すとホルモンとかの活動で夜にブルーライトを見ると人は昼と勘違いしてしまうとかなんとか言われています」
「なるほど・・・・・・いや待て」
そこで我聞は気が付いた。
「『体内時計をリセットする』と言ったのか・・・?」
「はい、そうです」
「リセットする時間とやらはこの場合だと半日程度・・・だよな」
しかし、ここまでの情報を整理するとこの事件の恐ろしさが鮮明になってきた。沢渡は我聞の表情からおおよそ察したことを理解する。
「本来ならばそれで合ってます」
「・・・・・・・・なるほど、つまりお前が言いたいのは」
我聞は口を閉じて思考を整理する。
「ブルーライトこそがこの事件における最大の要因と言うことだな」
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる